中島 愛

中島 愛

【中島 愛 インタビュー】
“中島 愛はこれをどう歌うのか?”
と常に試されているような制作だった

昨年活動を再開した中島 愛が完成させた復帰後初のアルバム『Curiosity』。タイトル通り多彩な曲調に挑戦し、その中にあってもぶれない歌声を聴かせるド直球ポップのアルバムとなっている。

タイトルの通り、好奇心の赴くままに作ったような楽曲の振り幅の広いアルバムですね。

楽曲としては振り幅が広いですけど、それとは別に歌の部分で、そこに込めたメッセージが言葉としてどれだけ伝わるか…雰囲気っぽく歌いたくなってしまう曲でも、いかにはっきり言葉を立てて歌うかを意識しました。なので、“明るい声”と“言葉がハキハキと聴こえるもの”にできたら、と思っていました。それと、アルバムに一貫して流れるド直球のポップさを感じていただけると思います。これだけ幅広い楽曲が並ぶ中で、総合的に自分が真ん中に立っているという部分を感じてもらうためには、私自身にパワーがなければいけないわけで。そういう意味では、“中島愛はこれをどう歌うのか?”と常に試されているような気持ちになる制作でした。

そんなアルバムで最初に録ったのは?

CMJKさんが作編曲してくださった「未来の記憶」という曲です。続いて前山田健一さんの曲「Life’s The Party Time!!」、欅坂46さんなどを手がけているバグベアさんの「残像のアヴァロン」、そしてRasmus Faberさんの作編曲で、ポルノグラフィティの新藤晴一さん作詞の「サブマリーン」という流れで録っていきました。

アルバムで一番変化球っぽい曲ばかりですけど(笑)。

そうなんです(笑)。ジャンル的にも振り幅の一番広いところから作っていったので、レコーディング当初は“このアルバムはどう仕上がるんだろう?”と驚きながら進めていましたね。

「未来の記憶」はテクノの細かいビートとゆったりしてキャッチーなメロディーとのギャップが癖になりますね。

ファンファーレの音色もじわじわと浸食されていくように耳に刻まれていくので、非常に中毒性が高い曲ですね。作詞は文筆家の甲斐みのりさんで、文学的で詩的な言葉選びが印象的です。“未来の記憶”という少し矛盾したタイトルも、この独特すぎる曲調とマッチしていると思います。「残像のアヴァロン」は壮大なスケールでメロディーはキャッチー、どこかアニソンのような趣を持った曲で。デビュー曲「天使になりたい」が比較的近い曲調ですけど、ここまでファンタジーな世界観の曲は初めてですね。作詞の岩里祐穂さんはアーサー王の伝説をもとに書いてくださったそうです。

「サブマリーン」は渋谷系っぽいサウンドで、さっきおっしゃられていましたが、小説家としても活躍されている新藤晴一さんの作詞という。

新藤さんは“私の声で毒を吐いているのを聴いてみたい”とコメントしてくださって、学校や社会を“猟奇の森”と表現したシニカルな視点が新藤さんらしいなと思います。ただ、歌詞の意味のままに歌うと暗い海の底に沈んでいってしまうので、明るい曲調やメロディー感のみを意識して、まったく違う気持ちのような明るい声で歌っています。

洋楽のガールポップとかR&Bの雰囲気でファルセットを多用しているところで、「Jewel」は今まで歌っていなかった初挑戦の曲ですね。

リスナーとしては最近の洋楽が好きで、そのテイストが歌えるのはすごく嬉しかったですね。張り上げるだけでなくどこかで抜け感も出したくて、あえてファルセットで歌っているところもあります。作編曲の本間昭光さんが歌詞や私の声に合わせて現場でメロディーを作り直してくださったんですが、それだけに歌詞とメロディーの寄り添い方がドンピシャなものになっていて、歌う時にもすごく気持ちを乗せることができました。

また、中島さん自身が作詞を3曲担当していて。「思い出に変わるまで」はかつての恋心を隠して胸に大切にしまっている曲ですが、どんなことをテーマに書いていったのですか?

この曲はラブソングのかたちを取っていますが、書いた時の気持ちとしては、久しぶりに地元に帰った時に風景が変わっていたり、好きだったお店がなくなっていた時の切なさを綴っています。自分だけが取り残されてしまったような感覚というか…実際に地元の同級生と久しぶりに会った時に、みんなは結婚していたり社会人でバリバリ働いていたりしていて、自分だけがまだ子供のままのような気がしたことがあって。そんな気持ちを懐かしい風景や恋の気持ちに置き換えて歌っています。なので、自分の失恋経験を歌っているというわけではないんです(笑)。

ラストに収録の「愛を灯して」はバグパイプが出てくるアイリッシュな感じのサウンドなのですが、何となくライヴでファンが灯すペンライトの情景が浮かびました。

曲調としては、私が先頭に立ってライヴでみんなを盛り上げるようなイメージがありますね。歌詞を書いた時はキャンドルをイメージしましたけど、ペンライトの光のことも重ねています。ペンライトはみなさんが最上級の愛情を持って灯してくださるものですから!

キャンドルはどこからインスパイアしたのですか?

去年の11月頃にオフをいただいてフィリピンに行ったのですが、その時期は日本で言うお盆で、フィリピンの習慣では亡くなった方をお迎えするのに家やお墓の周りにたくさんのキャンドルを灯すんです。それを見て、誰かを思って灯す光はいいなって、自分を大切に思ってくれる人がいることを胸に刻みながら生きていくのは素晴らしいなと思って。そういう経験もあって書いた歌詞ですね。

つまり、ファンのことを思って愛を灯すと。

活動を再開する時は待っててくれる人がいるのか不安でしたけど、多くの方が温かく迎えてくれたので、そのことを忘れないようにと自分に向けて歌っている部分もありますね。3月末から東名阪のツアーもありますし、ライヴの定番曲として長く歌っていきたい曲です。

取材:榑林史章

アルバム『Curiosity』2018年2月14日発売 Flying Dog
    • 【初回限定盤(Blu-ray付)】
    • VTZL-143 ¥3,800(税抜)
    • 【通常盤】
    • VTCL-60467 ¥3,000(税抜)

『Megumi Nakajima Live Tour 2018 “Curiosity of Love”』

3/30(金) 愛知・Zepp Nagoya
4/01(日) 大阪・Zepp Osaka Bayside
4/08(日) 東京・Zepp Tokyo

中島 愛 プロフィール

ナカジマメグミ:2007年にアニメ『マクロスF(フロンティア)』の歌姫を決定するオーディションにエントリーし、見事ヒロインのランカ・リー役を射止め、翌年にはランカ・リー=中島 愛としてのデビューシングル「星間飛行」を発表し、オリコン週間ランキングで初登場5位にランクインする。そして、09年には初の本人名義となるシングル「天使になりたい」をリリース。14年3月より本人名義の音楽活動を休止していたが、17年2月リリースの「ワタシノセカイ」で復帰を果たす。中島 愛 オフィシャルHP

中島 愛
アルバム『Curiosity』【初回限定盤(Blu-ray付)】
アルバム『Curiosity』【通常盤】

アルバム『Curiosity』
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「サブマリーン」MV

OKMusic編集部

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