【インタビュー 後編】wyse、シング
ルを語る「「キミグラデーション」は
「Break Off」と対をなす」

13年ぶりとなる全国ツアー<wyse Live Tour 2017 Breathe>を大成功させたばかりのwyseが、2月7日にニューシングル「Break Off / キミグラデーション」をリリースする。テレビ東京『じっくり聞いタロウ』2月度エンディングテーマに起用される「Break Off」はツアー中にレコーディングが行われ、そのファイナル公演で初披露されたバンドの新たな息吹を感じさせるナンバーだ。
先ごろ公開したインタビュー前編では、全9都市10公演の全国ツアーを振り返りつつ、アレンジャーに三代堅、ドラマーにMOTOKATSU (THE MAD CAPSULE MARKETS)を迎えた「Break Off」の制作エピソードを語ってもらった。
後編では「Break Off」の歌詞に込めた意図、カラフルなポップチューン「キミグラデーション」が生まれた背景をはじめ、360度客席に囲まれたセンターステージとなる2月10日のTOKYO FM HALL公演<Opening of the 20th year Special Live「360°-1999-2018-」>について深く語ってもらった。結成20周年イヤーの幕開けとなる公演はメンバー曰く、「間違いなく予想を上回るライブになる」とのことだ。
   ◆   ◆   ◆
■今までなかったんじゃないかな

■イントロが鳴った瞬間にほぐれる曲って
──ニューシングル「Break Off」では、“君の生きる この回路を遮断してしまえたら”と歌っていますよね。
TAKUMA:そこは彼女だったり、大切な人との思い出を遮断しろって言っているわけではなく、そういうことをいつまでも考えて迷っている自分自身の弱さを断ち切りなさいっていう。この曲では恋愛のことを歌ってますけど、1年間、挑戦して進んできた僕たちのことにも当てはまると思うんですよ。迷ったり考えたりすることは大事だと思うんですけど、一度信じた道を信じ続けるのであれば、前に進むことを阻む邪念を断ち切る強さが必要ですよね。聴いてくださる方が自分の気持ちや状況と重ね合わせてくれたら嬉しいですね。
▲月森(Vo)


──それと気になったのは出だしの“悲しみが 悲しみを超えてしまう前に”という歌詞なんです。これはどういうことを意味しているんだろうって。
TAKUMA:例えば自分が、あるひとつの悲しみを抱えているとして、その悲しみの中に一度入り込んでしまうと、なかなか抜け出すのは難しく、そこに留まってしまいがちになる。本当はそこから抜け出して違うところに行きたいんだけど、人間って悲しみに依存して共に生きていこうとする傾向があるので。
──それは、かなり深いですね。
TAKUMA:悲しみのもうひとつ深い、先の場所へ行ってしまうんですよね。そうなるとどんどん抜けられなくなるから、元の部分を、根元を断ち切らないとっていう。“悲しみが 悲しみを超えてしまう前に”っていうフレーズに“ハテナ”を感じる人って多いかもしれない。でも、そこでひっかかってもらえることが実は大事だったりするんです。
──wyseからのメッセージですね。「キミグラデーション」(テレビ埼玉『モテ福』2月度エンディングテーマ)のほうは対照的なぐらいカラフルでライブでハンドクラップで盛り上がりそうな曲ですが、この曲はどういうふうに生まれたんでしょうか?
TAKUMA:「キミグラデーション」のほうは構築するというよりバンド感を出して、ある意味、「Break Off」と対比をなすような曲にしたいなと。ツアーを廻っている中で、“こういうときにこういう曲があったらいいな”と思ったので、ライブの画が見えるようなイメージで作りました。この曲に関してはデモとそんなに方向性は変わってないですね、過去のwyseにありそうでなかった曲かもしれない。
月森:「キミグラデーション」は僕が楽しい曲です(笑)。
HIRO:オマエはお客さんか?(笑)。
月森:ははは。歌ってはいますけど、ウチは僕以外のメンバー全員が曲を書くので、お客さん第1号みたいな感覚で曲を聴くんですよ。ホンマにライブが見えるというか、参加しやすい曲だと思うし、“早くライブで一緒に盛り上がりたい!”っていう曲になっていると思います。
▲TAKUMA(Vo&B)


──月森さんとTAKUMAさんのヴォーカルのかけあいが楽しめる曲だし。
月森:そうですね。僕、Aメロからだいぶ楽しく歌ってます(笑)。今回は2曲ともハードロックじゃないからね (※と、HIROに向かって)。
HIRO:ははは、そうですね。でも、アルバム『Breathe』にしてもそうなんですけど、最近のwyseからは刺激をもらえるんですよ。「キミグラデーション」は洋楽テイストの曲なので、ギターもクランチサウンドが合うなと。自分の引き出しにないことをしたのが面白かったですね。
MORI:「キミグラデーション」はTAKUMAから原曲が上がってきた時点でライブのイメージが十分伝わってきたので、デモを元にバンドで作り上げていった感じですね。こんな爽やかなイントロがTAKUMAから出てくること自体不思議だったし、俺の中では西海岸のイメージですね。
TAKUMA:なるほど。
MORI:すごくストレートでカラッとしたサウンド。自分の中で昇華して挑んだんですけど、気持ちいいミディアムテンポなのにギターは忙しいです(笑)。
月森:ツアーを廻っていると各地で色が違って、拳を振り上げる人もいれば、頭振る人もいるし、笑顔で楽しんでいる人もいれば、端っこのほうで静かに見ている人もいて。この曲は、いろいろなスタイルで観ている人たちみんなが参加できるんじゃないかなって。


TAKUMA:僕たちも“じゃあ行こっか”って感じで肩肘張らずに始められて、一体になったみんなが手拍子してノレるような曲。イントロが鳴った瞬間、空気がほぐれるタイプの曲って今まであまりなかったんじゃないかな。だから歌詞も難しくならないように。こういう曲調で哲学的にしてもね。
──TAKUMAさんの歌詞は哲学や数学が入ってくるタイプが少なくないですからね。
TAKUMA:いやいや(笑)、単純にライトなほうがいいっていう。笑顔になれたらいいなと思って書きました。
■選曲もライブっぽい構成の10曲×3種類

■セットリストを組む感覚で決めました
──それと「Break Off/キミグラデーション」にはドラマーにMOTOKATSU (THE MAD CAPSULE MARKETS)さんが参加しているんですよね。これも今までにない試みでは?
TAKUMA:何人か候補ドラマーが挙がったんですけど、“今までやったことがない人と一緒にやるほうが新しいものになるんじゃないか”って。特に「Break Off」はバンドサウンドとシーケンスの融合だから、マシンのように叩けてなおかつパンチがあって上手い人ということで、MOTOKATSUさんに叩いてもらおうということになったんです。MORIは以前から面識があったらしく、「MOTOKATSUさんなの?」って驚いてました。
▲HIRO(G)


MORI:2〜3年前にお会いして以降、仲良くさせてもらっていたので「偶然だね」って。もちろん、THE MAD CAPSULE MARKETSのことも知っていましたし、MOTOKATSUさんが参加してくれるって聞いて、僕はすごく安心感がありました。実際、イメージ通りのドラムを叩いてくれましたから。
TAKUMA:2曲とも「もっとこういう感じで叩いたほうがいい?」とか「さっきのテイクより、こっちのほうがいいかな」とか何度も考えてチャレンジしてくれたんですよ。そういう姿勢がすごく嬉しかったですね。だって、凄いドラマーだし完璧なのに、「もっともっと」ってwyseの音楽に向き合ってくれたんですから。ミュージックビデオにも参加してくれて本当に感謝ですね。
▲MORI(G)


──それと今回のシングルのスペシャルなところは2曲に加え、3種類発売されるAタイプ、Bタイプ、Cタイプに今回のツアー<wyse Live Tour 2017 Breathe>中にライブレコーディングされたボーナストラックが各10曲ずつ収録されていることです。
MORI:そうですね。全30曲1曲もかぶりなし。
TAKUMA:シングルなのにCD1枚の収録時間が50分超えてますから。ヘタしたらアルバムより長い(笑)。仙台と北海道のライブをレコーディングして、それを収録したんですけど、これもやって良かったですね。
──初期の懐かしい曲が現在のwyseのヴァージョンで聴けるのも嬉しいし。
TAKUMA:わりと新旧グシャッと入っているので、最近wyseを知った人は“こういう曲もあるのね”と思うだろうし、ずっと観に来てくれている人は“あの曲のライブテイクが入っているから、このディスクを買おうかな”って選べますよね。
HIRO:当時のCDが入手困難な曲も入っているので、昔の曲を聴きたかった人も楽しめるんじゃないかな。選曲もライブっぽい構成で、いつもやっている「I believe」を最後に持ってきたり、ツアー中のオープニング曲だった「Primal」が1曲目だったり、それぞれ10曲のセットリストを組む感覚で決めていきました。
■見たことないような凄い遊び方するから

■一緒に遊ぼうよ!”って感じ
──では最後に、目前に迫ってきた2月10日にTOKYO FM HALLで開催される<Opening of the 20th year Special Live「360°〜1999-2018〜」>について意気込みを。このライブは360度から観ることのできるセンターステージになるんですよね。
MORI:2017年はいろいろなことに挑戦してきて、今回のライブも全く新しい試み。なので、スタッフチームといろいろ確認し合いながら準備しているところです。この前、僕とHIROは会場の下見に行ってきたんですけど、実際に見て、また新たな課題が生まれましたね。
HIRO:挑戦なので問題は山のようにあるんです。でも、1個1個クリアした先には必ず楽しいことが待っているはず。360度のステージなので僕らギター陣のエフェクターはどこにセットしようとか、TAKUMAのマイクスタンドの位置についてもあれこれ考えたり。
──フットペダルとかマイクスタンドを設置すると、その方向にばっかり身体が向いてしまいますもんね。
TAKUMA:そう。だから僕は生声ですね(笑)。まぁ、それは冗談として、お客さんにとっても「どんなライブになるんだろう」ってワクワクしながら来るほうが楽しいと思うんですよ。今までとは違う予想を超えたものになるだろうし、セットリストも含めて特別なものになります。周年ライブは誕生日みたいなものなので、この日は1人1人が“行かなあかん”と思ってもらえる日にしたいし、初めて見た人にもwyseの良さが伝わる内容にしたい。wyseらしい笑顔に溢れた日になるだろうし、この日からがまたスタートだろうとも思ってます。
月森:単純に360度なんて初めてだし、“見たことないような凄い遊び方するから一緒に遊ぼうよ!”って感じですね。
TAKUMA:最初で最後かもしれないし。
月森:そう。今後、こういうスタイルのライブがやれるかどうかなんてわからないから、“これは見とこうよ”って。
取材・文◎山本弘子
◆シングル「Break Off」/「キミグラデーション」


2018年2月7日(水)発売

【Aタイプ】1,700円(税抜)

「Break Off」/「キミグラデーション」

▼Bonus track

Primal / Magic / Vision / Countless Trigger / Slow Time / 終わらない夜のマーメイド / Fake Monster / My name is Japanese Breaker / Like sewing up / Glorious Story

【Bタイプ】1,700円(税抜)

「Break Off」/「キミグラデーション」

▼Bonus track

Heart / Plastic Monkey / 誘惑なパラダイス / Vanilla Sky / RinNe / Air / Miss txxx/ L.A.S.P.U.P. / 無色の雪 / Chain

【Cタイプ】1,700円(税抜)

「Break Off」/「キミグラデーション」

▼Bonus track

Open Your Eye's / Rainy / To Shy / float / Tears of snow / Feeling / Rollin' Rollin' / BLAST / With... / I believe

■<Opening of the 20th year Special Live「360°〜1999-2018〜」>

2018年02月10日(土) TOKYO FM HALL

OPEN16:30 / START17:00

▼チケット

4,800円 / 5,300円 (別途 D代)

一般発売:12/16(土)10:00〜

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