ジ・インターネット、新作を控え1年
半ぶりに日本上陸

ジ・インターネットのジャパン・ツアーが、1月25日(木)、東京・TSUTAYA O-EASTにてファイナルを迎えた。
初のソロ・アルバムを発表したマット・マーシャンズとシドをはじめ、2017年は各メンバーのソロ・プロジェクトを中心に活動してきた彼ら。2016年の<FUJI ROCK FESTIVAL>出演以来1年半ぶり、単独来日公演としては約2年ぶりとなった今回のツアーでは、大阪と東京でそれぞれ一夜限りのライブが行なわれ、チケットはいずれもソールドアウト。『Ego Death』からのナンバーや個々のソロ楽曲を織り交ぜながら、メンバーひとりひとりの魅力とバンドとしての成長を存分に見せつける濃密なステージが展開された。以下、東京公演のオフィシャルレポートをお届けする。
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■2018年1月25日(木)東京・TSUTAYA O-EAST公演レポート
日本列島が記録的な寒波に見舞われた中で行われた、ジ・インターネット3度目の来日公演。「Gabby」からスタートしたのも意外だったが、バンドの配置が独特だった。キーボードのマット・マーシャンズ、ギターのスティーヴ・レイシー、ベースのパトリック・ペイジ・セカンドがほぼ横並び。ドラムのクリストファー・スミスこそ少し下がっていたけれど、顔がばっちり見える位置だ。そのゆるやかな線の前を、ヴォーカルのシドが浮遊するように動く。今回のアジアとオセアニアを回るツアーは、個々のソロ活動を経て、バンドとしての4作目をドロップする前のタイミングで組まれたため、セットリストも『Ego Death』などからの曲が半分、ソロ作からの曲が半分という構成。自分の曲で前に出やすいための横並びにしていたわけ。3曲目でスティーヴくんの「Thangs」と「Ryd」を投入。弱冠19歳の天才トラックメーカーで、張り切って歌う姿が好ましい。ほかのメンバーが歌う間、シドは傍でコーラスをつけたり、にこやかに立っていたり。何かとお騒がせなオッド・フューチャー一派に属しているけれど、ジ・インターネットの面々は穏やかでクールな雰囲気だ。
ベッドルームとスタジオで作り込まれた重層的な音を、ドラムマシーンに頼らず再現できるのは、屋台骨を支えるドラムのクリスが凄腕だから。レゲエのダブを取り入れた曲での切り替えも見事だった。そして、何よりも高音なのに芯があり、でも柔らかに響くシドのヴォーカルの心地よさ。ブランディ~アリーヤの流れをくむウィスパー・ヴォイス唱法を完成させていて、「Just Sayin」のコーラスで “you fxxcked up”と、かなりキツイ言葉をみんなに叫ばせても下品にならない珍しい人だ。実は、一派に属するフランク・オーシャンがR&Bシンガーとしてほぼ初めてバイ・セクシュアルをカミングアウトしたあと、シドも続いた。ソロ作『Fin』は女性目線のまま、恋人を“ガールフレンド”と歌っている点でも歴史的な作品なのだが、それも瑣末なことだと思えるほど、シンガーとして素晴らしく、ひとりの人間としてチャーミング。センシュアルに歌い上げた「Body」が個人的にハイライトだった。今回のステージでそれぞれの魅力もよくわかった夜だった。ああ、次のアルバムが待ちきれない。
Text by 池城美菜子 Minako Ikeshiro

Photos by Masanori Naruse
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■リリース情報


日本限定デジタル・ベスト・アルバム『ジ・インターネット-ジャパン・ヒッツ・コレクション』

2018年1月19日(金)配信開始

iTunes購入リンク:

https://itunes.apple.com/jp/album/id1332143346?at=10lpgB&ct=886446933160_al&app=itunes

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