【連載】Hiroのもいもいフィンランド
vol.51「HIMついに解散」

昨年大晦日のヘルシンキTavastiaでのカウントダウンライブHelldoneをもってついにHIMが解散。HIMのこれまでに発売になった8枚のスタジオアルバムと4枚のベストアルバムはワールドワイドに800万枚の売り上げを記録し、2005年に発売になった『Dark Light』はこれまでにフィンランドのバンドとして初めて北米でゴールドディスクを獲得。この記録はこれまでに破られていないというほどフィンランドではメタルを聴かない人でさえ誰でもが知っている超大物バンド。
年末のHelldoneは世界中からHIMファンが集まるHIMの祭典でもあり毎回チケット争奪戦になるところ、昨年は加えてHIMのファイナルライブとあり、大晦日のチケットはあっという間に売り切れ、なんとかチケットが獲得できたヘルシンキのアイスホール公演に行ってきました。当初の発表ではスタンディングのみ発売だったものの、あっという間に予約完売になり追加で売りに出たスタンド席がとれ、寒い中いい場所を確保するため早くから外に並ぶ必要がなかったのはよかったかもしれません。特にこの日、交通事故があったらしくバスがくる幹線道路が一時通行止めで、乗る予定のバスがなかなかこず、寒さで足踏みしながら1時間半ほどまったので、それ以上外で待つ必要がなかったのは正直なところ助かりました。この日のライブはチケットの高額転売を防ぐため、すべて名前入りで、入場の際本人確認を行うとのことで、入場に時間がかかるかもしれないので早めに会場に来るようFBのイベントページで告知がはいって、席だから急ぐ必要はないものの念のため開場後30分ほどして、会場についてみると、あれ、誰も並んでない。さっと入れました。予告通りIDチェックはあったものの、テロが多いご時世で手荷物検査がなかったのは意外。とりあえず自分の席についてみると、ステージ前はまだあまり人が入ってなく、端よりなら2列目もあいてるではないですか。スタンディングエリアの後ろ側がお酒も飲める18歳以上エリアに仕切られていたのですが、ステージ前より、そちらのお酒が飲めるエリアのほうが人が多い。ステージ前ゲットよりまずは飲む!(笑)これはフィンランドの特徴かもしれません。最初のバンドJimsonweed の頃には少なかった観客も、2番目の The 69 Eyesが始まるころにはかなり増え会場が埋まってきました。タイムテーブルではHIMは21時頃とあったのですが、21時ちょうどぐらいにスタート!
彼らの4作目のアルバム『Love Metal』のオープニングナンバーでもあるハードでかっこいい曲「Buried Alive by Love」でこの日のライブの幕があいた!メンバー、そして黒のパンツに黒のジャケット、黒のニット帽をかぶったフロントマンのヴィッレ・ヴァロが登場すると大きな歓声が沸き上がる!フィンランドでは5公演ある中の最初の公演。そして自分にとっては最後となるHIMのライブがとうとう始まった。待ちきれなかった気持ちと寂しい気持ちが混ざり合ったちょっと複雑な気持ちの中、うわー、この曲大好き。懐かしい。あ、この曲も大好き!と息つく暇もなく次々とヒット曲が続く。初めて知ったHIMの曲が『Love Metal』に収録されていた「The Sacrament」で、この曲の切ないキーボードの演奏が始まると、じわーーーーと目頭が熱くなる。息子にせがまれて買ったフィンランドのヒット曲が詰まった2枚組CDに収められていたのがこの曲で、フィンランドにいいバンドがいるじゃない!と気づかせてくれた曲。この曲との出会いがなかったら、今こうやってこのBARKSの記事を書いてることもなかったかもしれません。個人的にはアメリカ進出前のこの4作目までのアルバムが最高に好きなのだけど、それ以降にももちろんお気に入りの曲はたくさんあり、生で聴けるのはこれが最後かと思うと無我夢中で聴き入りました。メランコリーに聴こえるアルバム収録より、生サウンドはハードで、意外とヘビーにアレンジされてあったりもしました。ヴィッレはほぼ定位置。ステージを前後には動くものの、左右にはほとんど動きません。マイクをたびたび口に含み、その音響を楽しんでるかのようでした。「この曲「Funeral of Hearts」で、地獄に行こう!」という彼らしいスピーチ(笑)であっという間に最後の曲に。ここまで至るまでとにかく好きな曲が立て続けに続き、HIMがこれまでにどんなに多くのヒット曲を生み出していたのかを改めて実感しました。
アンコール1曲目は彼らのライブではおなじみのビリー・アイドルのカヴァーで「Rebel Yell」、そのあとに1stアルバムからの曲「When Love and Death Embrace」のイントロが聴こえてくると、あぁこれが最後の曲だなとわかりました。スローバラードのこの曲では観客が携帯にライトを灯し、会場中にライトの灯りが揺れ動きそれが感情をさらに高め、涙がじわじわ、、、。「グッドナイト。」という言葉とともにステージを後にしたヴィッレ。その後もリンデ、ミゲ、ブルトン、コスモはなごりがあるかのように演奏を続けます。それが終わると、あぁ、ついに終わってしまったという寂しさに襲われました。
解散発表後に目にしたインタビューなどでフロントマンのヴィッレは解散の理由を、新しい曲はできていたもののメンバーで集まって練習してみたらHIMの曲としてはどうもしっくりこなかった。まだ人気があるうちに解散する方がいいだろうという結論に至ったようでした。HIM解散後、メンバーそれぞれ音楽を続けていくだろうということで、ヴィッレ本人はソロで続けるか、新しいバンドを結成するかまだわからないということでした。このHIMのフェアウェルツアー、国外も含めすべてソールドアウトだったそうです。日本まで及ばなかったのが残念ですが、ファンの皆さんはメンバーの今後の活動を要チェック!
セットリスト:

1.Buried Alive By Love

2.Heartache Every Moment

3.Your Sweet 666

4.The Kiss of Dawn

5.The Sacrament

6.Tears on Tape

7.Wings of a butterfly

8.Gone with the sin

9.Soul on Fire

10.Wicked Game

11.Killing Loneliness

12.Poison Girl

13.Bleed Well

14.Heartkiller

15.Join Me

16.Stigmata Diaboli

17.In Joy and Sorrow

18.Right Here In My Arms

19.Funeral of Hearts

E1.Rebel Yell

E2.When Love and Death Embrace
文・写真:Hiromi Usenius

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