5月6日@LIQUIDROOM ebisu

5月6日@LIQUIDROOM ebisu

このむさ苦しさこそがヘヴィ・メタル
でしょ! NoGoDがツアーファイナル
でバンド史上最高動員を記録

3月にHEVEN'S ROCKさいたま新都心VJ-3を皮切りにスタートしたNoGoD のワンマンツアー「NoGoD ONE MAN TOUR-2013-【V-21 SHOWTIMES】」。フィナーレを飾るファイナルライブが5月6日、恵比寿LIQUIDROOMで行われた。
今回のツアーは、過去最大規模のワンマンツアーでもあり、ファイナルとなった6日は、NoGoD史上過去最高のライブ動員を記録した。さらに終演後、スクリーンで7月24日と9月18日にシングルのリリース、9月からふたたび全国ワンマンツアーを開催することが発表され、客席を埋めるオーディエンスを興奮させた。

今後の詳しい商品内容やツアーの情報は、NoGoDオフィシャルサイト、レーベル・サイトで随時発表していく予定だ。これからますます楽しませてくれるであろう彼らの活躍を心待ちにしよう。

5月6日@LIQUIDROOM ebisu ライブレポ
ート

海外ではポピュラーであるヘヴィ・メタルも、日本ではなかなか市民権を得るのは難しいというのが実際のところ———。

しかし。2013年5月6日。ヘヴィ・メタルを貫いてきたNoGoDは、音楽シーンに一石を投じてくれたように思う。

1980年代。かつて。日本でもヘヴィ・メタルというシーンが大衆的な人気を得た時代があった。LOUDNESS、44MAGNUM、EARTHSHAKERを筆頭に、ジャパニーズ・メタル、通称“ジャパメタ”が多くの世代から支持を受け、海外進出も果たし、そのシーンを揺るぎのないモノとし、それを歴史として残したのだ。その後、やはりロックがネイティヴではない日本には、メタル・シーンが大衆的に根付くことはなかったように思われるが、実はNoGoDのような若い世代のバンドを含め、日本にもしっかりとメタル・シーンは根付いていたのだ。コアなジャンルとされるヘヴィ・メタルではあるが、轟音の中にも軸となるメロディが活き、ごまかしのきかないテクニカルな演奏力をさらりとこなすさすがのスキルを持ち、絶対の歌唱力を誇るハイトーンな伸びやかなヴォーカルが肝となる個性は、もっと幅広く、多くの人たちの胸に響くべくモノであっていいと私は思う。

まさに。そんなヘヴィ・メタルをルーツとするNoGoDの音は、絶対的なポテンシャルを放ち、とことんヘヴィでありながら、懐かしくも新鮮で、たまらなくキャッチーなのである。

彼らは、2013年5月6日。そんなヘヴィ・メタルというジャンルの存在意義を、NoGoDの音と歌を通して証明してくれたように思う。

この日、恵比寿LIQUIDROOMで行われたライヴは、3月2日のHEVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3を皮切りにスタートさせた、『NoGoD ONE MAN TOUR-2013-【V-21 SHOWTIMES】』のファイナルでもあった。

今回のツアーは、ノーコンセプトで作り上げられたという、初期衝動を吐き出した原点回帰作であったという、メジャー3枚目のアルバム『V』を引っさげ、全国21本をまわったモノ。つまり、過去最大規模のワンマン・ツアーでもあったのだ。

オープニングは、アルバムの1曲目を飾っていた「現世ホラーショー」。ジャパニーズ・メタルを彷彿させる自信に満ちあふれた幕開けで、どメタルに攻めまくった後、これまたアルバムの流れと同じく、ヘヴィながらもキャッチーなサビを持つ「絶望、バイバイ。」で間髪入れずに盛り上げた。

「俺たちがNoGoDだ! 東京、待たせたな! 会いたかったぜ!」

ヴォーカルの団長が客席を煽ると、フロアは高く掲げられたオーディエンスのメロイック・サインで埋め尽くされた。2曲目だというのに、フロアは、熱気が上がっていくのが目に見えたほどに盛り上がっていた。ライヴは、アルバムの流れと同様に前半戦はとことん激しく攻めまくられたが、中盤に差し掛かると、それまでの激しさが嘘のように、Kyrieが鮮やかで美しいギターフレーズを響かせた「翼」や、華凛のベース・ソロから始まり、お客さんとメンバーが一丸となった「球根」や、全員で一斉にタオルをまわした「鐘を鳴らせ」や、Shinnoのアルペジオから幕を開け、楽器隊全員でのユニゾンを聴き所とした、前回までの音源にあったⅢの続きである“Ⅳ-他者”と、そのシリーズのエンディングとして書かれた“Philosophia”の2曲が繋がっている大作「Ⅳ-他者/ Philosophia」や、ドラムのKが驚異的なツーバスを見せる、ハイスピードな「闘争本能」と、激しい曲もあれば、バラードもプログレッシヴな楽曲もインストもあるという、NoGoDの基軸を惜しげも無く吐き出したのだ。

 結成8年となるNoGoD。彼らは今、NoGoDというバンドが何なのか、自分たち的にもしっかりと見えてきたのだろう。アルバム『V』もしかり、この日のライヴは、“やりたいこと”を自由に楽しんでいたという印象だった。その純粋な想いが音となり、真っ直ぐにオーディエンスに届いたのだろう。オーディエンスは、NoGoDの音を全身で受け、歌も含む音そのものを楽しんでいたのだった。それは、音と歌だけで充分エンタテイメントだと証明してくれたライヴの形だった。

 この日、男子率が高かったことにも驚いた。途中、団長が、巧みなトークを何度か挟み込んでいたのだが、
「オマエら、楽しいか?」
「オマエら、NoGoDは好きか?」
「オマエら、今日はNoGoDの音を楽しみに来たんだろ?」
という団長の問いかけに、大きな歓声を返していたオーディエンスであったが、
「それともオマエら、このステージの上に居るイケメンを観に来たのかい?」
という団長の問いかけには、失笑が起きた。その光景に、問いかけた団長が、“すまない。調子にのりました。今の質問をした俺が悪かったです”と謝罪したほど(笑)、純粋にNoGoDの音楽を愛してくれるファンが集まっていたのである。バンドにとって、それ以上の幸せはない。なんとなく流行っているから携帯から着メロでダウンロードしてみた———という、コンビニエンスな音楽の受け取り方が目立ってきた今の時代に、こんなにも純粋にバンドとして、音を愛してもらえている彼らを素晴しく思った。ハイトーンな団長のヴォーカルの乗った楽曲はもちろんのこと、プログレッシヴなインスト曲にも、オーディエンスは全身を委ね、盛り上がっていたのだ。これぞ、音楽の在り方。ライヴの楽しみ方だと痛感した。

「変わらすに貫いて、信じて進んできた結果が今日だと思います。オマエたちの前で音楽が出来て、俺たちは幸せです」(団長)

 とメッセージを贈り、本編ラストを、今、ここまで歩んできたからこそ産み落とせた、光を感じさせる「感情」で締めくくったのだった。

 アンコールではメンバー1人1人がこの日と、ここまでの道のりを振り返ったメッセージを贈り、アンコールならではの選曲で熱した会場をさらに熱く盛り上げた。

「これからも、いままでのペースで音楽やっていくんで、またこうして集まりましょう。こんなもんじゃ終わらねぇからな! 次はもっといい景色を見せるから! 付いて来いよ!」(団長)

 NoGoDコールが鳴り止まぬ中、ツアーは最高の景色の中、幕を閉じたのだった。
“このむさ苦しさこそがヘヴィ・メタルでしょ!”と、嬉しそうにフロアを見つめていた5人。NoGoD史上、過去最高のむさくるしい空間になったこの日、彼らはシーンに大きな風穴を開けてくれた気がする。

 終演後、スクリーンで7月24日と9月18日にシングルのリリースを告知しライヴの情報など今後の展開を予告した彼ら。この先も、積極的な布教行脚で、メタル・シーンを日本に根付かせていってくれることを期待したい。 

Writer:武市尚子


<SET LIST>
01.現世ホラーショー
02.絶望、バイバイ。
03.空の公園
04.心臓
-MC-
05.翼
06.球根
07.鐘を鳴らせ
08.STAND UP!
-MC-
09.パンドラ
10.IV-他者/Philosophia
11.Sabbath
12.カクセイ
13.闘争本能
14.感情
-EN.1-
15.神風
16.激烈叫喚乱痴気教
17.祝福の唄
18.啓発フラストレス
19.ノーゴッド
-EN.2-
20.最高の世界

アーティスト

OKMusic編集部

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