【三月のパンタシア】
その場で生まれた生の感情を素直に歌
うことができた

女性ヴォーカル“みあ”を中心としたプロジェクト、三月のパンタシアが新段階に突入! 新章の幕開けを飾るニューシングル「ルビコン」に込めた真っ直ぐな想いと、ついに決定した初のワンマンライヴに向けた意気込みを訊いた。

まずは今年3月にリリースした1stアルバム『あの時の歌が聴こえる』から振り返っていただけますか?

インディーズデビューからそれまでの1年半の活動の集大成となるアルバムだったので、そこをひとつの区切りとして次のステージに進みたいっていう気持ちがありました。今回のシングルは新たな1歩を踏み出す、まさにその1歩目となるシングルなので、すごく気合いが入る部分はありましたし、自分の経験をちゃんと歌に投影して、物語の中に入っていけるようにしたいという想いもありました。

アルバムからは初となる通算4枚目のシングル「ルビコン」に投影した自分の経験というのはどんなものですか?

この曲に関しては、まずかぎかっこが付いているサビの歌詞《「大丈夫だよ」》と《「一人じゃないんだ」》っていう部分を心のど真ん中に伝えられないと成立しないと思ったんですね。シンプルな言葉なので、その裏側に圧倒的な強い想いがないと歌えないなと思って。そこで自分のこれまでを振り返って、どう言ってもらえたら心が突き動くのかなって考えたら、“あの時にもらったあの言葉だな”って思える経験があったんです。自分がすごくしんどくて、顔を上げられなくて、うつむいてばかりいた時に、グッと手を引っ張ってくれた。真っ直ぐに前を見て、真っ直ぐな言葉で、まずそういう自分を怒ってくれた。でも、その言葉ひとつひとつには愛があって…だからこそ、“大丈夫だから。ひとりで抱え込まないで”っていう言葉に涙がボロボロ出てきて。その人の言葉はちゃんと信じたいと思ったし、その人のためにも自分は変わらなきゃ、ちゃんと前に進まなきゃって、心の底から思えたんですね。その時に感じたことを曲の根っこにしたら物語全体が自分の中にストンと落ちて。

この曲の中のふたりは離れ離れの場所にいますよね。

そうですね。アニメ『Re:CREATORS』のEDテーマとして使っていただいているので、アニメとも寄り添える曲にしたいなと思って。アニメが“現実世界”と“創造世界”というふたつの世界がキーワードになってるんです。だから、“どんなに離れて遠い場所にいても心はいつも側にあるんだよ”っていう想いを意識して歌ってます。寂しいんだけど、心のつながりや絆を信じているからこそ、未来に進むことができるんだっていうことを大切に歌いました。実際のレコーディングでは、今は違う場所にいるので、歌っていくうちにどんどん寂しくなって余計に恋しく思ってしまったんですけど、サビでちゃんとあの時のことを思い出せたから“私は大丈夫だ”って思えて。“これからも自分の足で歩いていくんだ”っていう気持ちも生まれたし、素直に自分の感情を乗せて歌えたなと思います。

“ルビコン”というタイトルに込めた想いというのは?

“ルビコン川を渡る”っていう古代ローマの故事から付けたんですけど、“もうあとには戻れないという重大な決意をする”って意味があるんです。ふたつの世界の間にある境界線を越えて重大な決意をするっていうニュアンスが曲の世界観ともぴったりだなって。

みあさんの人生におけるルビコン川というと?

音楽活動を始めたことですね。すぐに決断できることではなかった…当時、すごく悩んでいることがあったんです。自分に自信がなくて、うじうじと悩んでいたんですね。そんな自分も嫌いだったので、自分が好きなことにがむしゃらになれたら、必死になれたら、そんな自分を変えられるんじゃないかっていう想いもあって、まったく知らない世界に飛び込みました。

変われました?

うん、そうですね。初期の頃は誰かのためになる歌を歌いたいって思っているけど、誰にも必要としてもらえないんじゃないかってネガティブに考えてしまうこともあって。でも、少しずつ自分の歌が好きだって言ってくれる人に出会えて、その言葉ひとつひとつに励まされ、好きなことを続けていいんだって思えるようになったんです。そう思えてからは、それまで勝手に抱えていた不安やわだかまりがなくなったし、例え転んだとしても必ず立ち上がって歌い続けていくんだっていう覚悟もできました。そうやって変われたのは、やっぱり自分の表現したものを好きだって言ってくれたり、期待してくれたりするファンやスタッフのみなさんのおかげだなって思いますね。

2曲目には小説『茜色の記憶』のテーマソング「リマインドカラー 〜茜色の記憶〜」が収録されてますが、とても繊細な表現をされてますよね。

この曲は小説の主人公である、くるみちゃんになったつもりで歌いました。すごく悲しいし、辛いんだけど、泣いちゃダメだ、笑っていなきゃっていう、この曲の主人公の健気さにグッときたので、その泣き笑い感をどうしても伝えたかったんですね。だから、これまでは切ない泣き曲だと、痛みを放出するようにダイナミックな表現をしていたんですけど、今回は心の中に痛みや苦しさは隠して、頑張ってやさしく微笑むように歌おうとするけど、どうしても我慢できなくなって、ところどころであふれ出してしまう感情を表現したくて。表現として難しい部分ではありましたけど、生まれてきた感情を素直に歌えたので、ちゃんと1歩を踏み出すことができた作品になったという自信があるし、その真っ直ぐな想いが心の真ん中に届くといいなと思いますね。

そして、初のワンマンライヴも決定しました!

ずっとやりたいって言い続けてきたことなので、その願いが叶うっていう嬉しさがありますね。そのために自分がやらないといけないこともたくさんあって。日々格闘中なんですけど、それすらも楽しくて、すごくワクワクしてます。当日はみんなが楽しくて幸せになれる空間にしたいし、その場で生まれた生の感情をひとりひとりに歌っていきたい。そうやってみんなでつながっていって、そこにはひとつの大きな愛しかない!っていうライヴにできたら一番幸せだなって思いますね。

取材:永堀アツオ

シングル「ルビコン」2017年8月30日発売 Ki/oon Music
    • 【初回生産限定盤(DVD付)】
    • KSCL-2959~60 ¥1,500(税抜)
    • ※トールデジパック仕様
    • 【通常盤】
    • KSCL-2961 ¥1,100(税抜)
    • 【期間生産限定盤(DVD付)】
    • KSCL-2962~3 ¥1,500(税抜)
    • ※描き下ろしアニメジャケットデジパック仕様

『三月のパンタシア ワンマンライブ ~きみとわたしの物語~』

11/25(土) 東京・shibuya duo MUSIC EXCHANGE

三月のパンタシア プロフィール

サンガツノパンタシア:どこか憂いを秘めたヴォーカリスト“みあ”の歌声に、多くの人気ネットミュージシャンやイラストレーターらが魅了され、結成されたプロジェクト。みあの歌声で紡がれるストーリーが、時にやさしく、時に切なく、聴き手の心に寄り添い多くの共感を呼んでいる。作品の世界観を彩る美しくどこかノスタルジックなイラストや、イラストと連動して作り上げられている映像作品も話題だ。2016年6月にシングル「はじまりの速度」でメジャーデビューを果たした。三月のパンタシア オフィシャルHP

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着