【甲斐バンド】『KAI 35th Annivers
ary KAI BAND NEVEREND TOUR“FINA
L”』2010年2月27日 at 東京厚生年金
会館大ホール

撮影:森リョータ/取材:石田博嗣

デビュー35周年記念ツアーを甲斐バンドで挑んだ甲斐よしひろ。5度目の再結成となるのだが、レジェンドの復活に回数は関係ない。それは熟成したパフォーマンスが物語っているし、何よりも観客の反応が全てだろう。1曲目の「ブライトン・ロック」のお馴染みのイントロが会場に響いただけで、客席は総立ちとなり、のっけから大合唱が始まっていた。その後も甲斐バンドはもちろん、ソロやKAI FIVEの楽曲がプレイされ、甲斐の歴史をひも解く珠玉のナンバーに場内のテンションは加速度的に上がり続けていく。その時代を一緒に歩んできたファンは、それぞれの想いを重ねて聴いていたことだろう。そんな中、スペシャルゲストとして甲斐名都が登場。甲斐の貫禄あるハスキーヴォイスと名都のフレッシュなハイトーンで「恋のバカンス」と「ラン・フリー(スワン・ダンスを君と)」を聴かせ、初となる親子共演でも客席を魅了した。そして、歓喜するファンに向けて“今は非常に深刻な時代。カラ元気でもいいから大丈夫だって言っているほうがいい”と「この夜にさよなら」を届けると、“孤独な夢の最中 沸いてくる勇気がほしい”と歌う「風の中の火のように」で本編の幕を閉じるのだった。“甲斐の35年ということは、みんなの35年でもある”という言葉を残した甲斐。彼の35年を振り返るには甲斐バンドのメンバーであり、ファンの存在が欠かせないということだ。とはいえ、回顧的なライヴで終わるのではなく、今の時代だからこそのメッセージも盛り込まれていたところに、彼のロッカーとしてのスタンスがうかがえる。そういう意味では、何年経とうが変わることのない甲斐のスピリッツにも触れることができたライヴだった言えるだろう。

セットリスト

  1. ブライトン・ロック
  2. ダイナマイトが150屯
  3. フェアリー(完全犯罪)
  4. エメラルドの爪先
  5. マドモアゼル・ブルース
  6. ナイト・ウェイブ
  7. BLUE LETTER
  8. 嵐の明日
  9. 昨日のように
  10. 恋のバカンス
  11. ラン・フリー(スワン・ダンスを君と)
  12. 安奈
  13. 目線を上げて
  14. 氷のくちびる
  15. ポップコーンをほおばって
  16. 翼あるもの
  17. 漂泊者(アウトロー)
  18. この夜にさよなら
  19. 風の中の火のように
  20. 電光石火BABY
  21. 朝まで待てない
  22. 冷血(コールドブラッド)
  23. 破れたハートを売り物に
  24. HERO(ヒーローになる時、それは今)
  25. 熱狂(ステージ)
甲斐バンド プロフィール

日本のロック・シーンに伝説的グループとして足跡を残している甲斐バンド。74年に甲斐よしひろ(vo)、大森信和(g)、松藤英男(ds)、長岡和弘(b)の4人により、シングル「バス通り」でデビューした。76年、当時としては異例の300時間かけて録音された3rdアルバム『ガラスの動物園』を発表し、、歌謡曲的な手法を最大限ロック化させた楽曲に、恋愛〜失恋や多感な若者の心情を切々と歌う「甲斐ワールド」の融合に成功する。その後、SEIKOのCMソングとしてオン・エアされた「HERO/ヒーローになるときそれは今」や、「安奈」「漂泊者(アウトロー)」と立て続けにシングルヒットを記録。その存在は、洋楽志向の若者たちも魅了した。以降、甲斐の描くテーマは、男の孤高のロマンティシズムやハードボイルド的なものへと変化し、サウンドもよりロック色を強めていった。また、70年代には年間100本を越すライヴを毎年のように敢行し、純然たるライヴ・バンドとして名声を確立している。当時のパフォーマンスの充実は、『100万ドルナイト』や『流民の歌』といったライヴ・アルバムに集約されているが、それはテレビ出演などのコマーシャリズムを避け、常にライヴを中心においた結果のあらわれといえる。84年には元ARBの田中一郎(g)が正式加入し、ギター・ワークの構成力を押し進めたが、86年3月、パーティの席上にて大森の「耳の不調」を理由に、解散を発表。日本武道館5日連続公演を最後に、「バンドは消えても曲は残る」という名ゼリフを残してその活動に幕を下ろした(正式には29日の黒澤フィルムスタジオがラスト・コンサート)。しかし、96年に期間限定というかたちで復活。そしていよいよ01年に15年ぶりのニュー・アルバム『夏の轍』を発表——本格的再始動を果たした。オフィシャルサイト

OKMusic編集部

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