取材:宮本英夫

デビューからわずか1年で駆け上がった夢の大舞台。デビュー曲「花になれ」の印象的なイントロが鳴り始め、山村隆太(Vo)が“準備はいいか?”と叫び、大歓声の中で歴史的なライヴの幕は切って落とされた。9月まで行なわれていた全国ツアー『Unclose』とはひと味違い「花になれ」を1曲目に持ってきたり、中盤にインディーズ時代の未発表曲「ハイドレンジア」を歌うなど、スペシャル感いっぱいのメニューがうれしい。とにかくフレッシュに、ケレン味なく歌って演奏するのみという姿勢がすがすがしい。“念願の武道館に辿り着きました。すごい人だ…”と、やや緊張感を漂わせつつも、メンバー紹介では子供の頃の写真などを使って爆笑を誘うなど、大舞台を楽しんでいるのは大物の証。次のアルバム収録曲の「Calling」や、ギターの阪井一生がメインヴォーカルをとる「タイムカプセル」、さらに「ハイドレンジア」では尼川元気(Ba)もメインヴォーカルをとるなど、見どころ聴きどころが次々に現れる。後ろで支える小倉誠司(Dr)のリズムの正確さが、その中心にあることは言うまでもない。「labo」での客席とのコール&レスポンスの盛り上がりなどは、すでに新人離れしている。あっと言う間に本編最後の「Over the rain~ひかりの橋~」になってしまった。“最高に楽しかった。ありがとう。日々つらいこともあるだろうけど、できるだけ笑顔でいて、またライヴで会いましょう”と山村は言う。アンコールは、次作アルバム収録の壮大なバラード「フレイム」だ。ロック、ポップ、ダンス、バラード、さまざまな要素をキャッチーなメロディーとシンプルな演奏で表現するflumpoolの世界は、武道館によく似合っていた。バンドのスケールの大きさを再確認した充実のライヴだった。
flumpool プロフィール

フランプール:山村隆太、阪井一生、尼川元気の3人でのアコギユニットを経て、知人の紹介で出会った小倉誠司が加入して結成。2008年10月1日リリースした配信シングル「花になれ」がデビュー10日間で100万ダウンロードを突破して話題に。翌年には日本武道館公演を成功させ、3年連続でNHK紅白歌合戦にも出演を果たした。17年12月に山村が歌唱時機能性発声障害であることが判明し、治療に専念するため活動休止。19年1月13日、バンドの結成日でもあるこの日に大阪・天王寺公園でゲリラライヴを実施し、活動再開を発表した。20年5月にアルバム『Real』をリリースし、22年3月にはコンセプトアルバム『A Spring Breath』を発表。15周年イヤーとなる23年は10月にベストアルバム『The Best flumpool 2.0 ~ Blue[2008-2011]& Red[2019-2023]~』をリリースし、同月6日には日本武道館でのワンマンライヴを開催。flumpool オフィシャルHP

OKMusic編集部

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