text:石田博嗣

今年の2月、デビューから25年間活動を共にしてきたドラマー梶浦雅裕が脱退するという衝撃的なニュースが流れた。メンバーは“残る3人で終焉の瞬間までTHE MODSを続けていく”とHPでコメント。そして、それから約4ケ月後、ついに3人によるTHE MODSが我々の前に姿を表したのである。 会場となったShibuya O-EASTに足を踏み入れると、開演時間を待つことのできないオーディエンスたちの“モッズ”コールが響いていた。白い幕で仕切られたステージの向こうで、音合わせが行なわれるだけも歓声が沸き上がり、すでに異様なまでの熱気が充満している。いつものTHE MODSのライヴの光景であるとはいえ、半年ぶりのライヴであり、梶浦脱退後のライヴということで、いつになくテンションが高い。しかし、それはTHE MODSの新たなる門出を祝うというよりも、“俺たちはTHE MODSについていくぞ!”という彼らの意思表示だったことを終演後に痛感するのだった。 言うまでもなくライヴは1曲目から壮絶な盛り上がりを見せる。2曲目がプレイされた頃には2階にある関係者席にまで、客席からの熱気が立ち込めていたほどだ。また、気になるドラムなのだが、そこには名うてのドラマーではなく、弱冠23歳という若いドラマーがキャリアを重ねた3人の音に負けない力強いビートを叩き出していた。3曲目が終わったところで森山達也(Vo&Gu)が“半年ぶりです。いろいろ心配かけました。こんな形でやってます”と挨拶代わりのMCを入れる。3人になったことはパワーダウンかもしれないが、それでもここから新しい歴史を刻み始めたことをステージングやサウンドでもって訴えかけるTHE MODS。そんな彼らに触発されるように客席はさらにヒートアップし、“一体感”といった範疇を超えた、ひとつの熱気の塊となって繰り出されるさまざまなメッセージの詰まった楽曲に呼応していた。 ロックとは生き様が見える音楽である。“綺麗な想い出にならずに、ボロボロになるまでやっていこうと決めた”という宣言のようなMCもあったほど、この日のライヴでは、26年目に入って再びゼロから前に進もうとしているTHE MODSの現在の姿を、折れることのないスピリッツを痛いまでに感じた。「LIVE WITH ROCK'N'ROLL」の“感謝します 逃げなかったことを”というフレーズに思わず涙したのは、僕だけではないはずだ。
THE MODS プロフィール

ザ・モッズ:1981年にアルバム『FIGHT R FLIGHT』でメジャーデビュー。以来、時代に流されることなく、音楽に対する真摯な姿勢を貫き、ファンのみならず多くのアーティストたちにも多大な影響を与え続けてきた。技術や理屈だけでは作り出せないバンド然とした強靭なサウンドと、リーダーである森山の類稀なる歌唱力とカリスマ性が最大の魅力である。THE MODS オフィシャルHP

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