text:石田博嗣

アルバム『URGE』を引っ提げてのツアーファイナルを飾ったC.C.Lemonホール2デイズ最終日は、1曲目からまさに“衝動”だった。フルスロットルでパワフルなサウンドが炸裂し、マグネシウムの爆発音がさらに客席の高揚感に火を付ける。序盤にしてライヴの主導権はJの手の中にあり、痛快で豪快、それでいて繊細でポップなサウンドを武器に、場内のテンションを加速度的にエスカレートさせていく。絶対的な安定感とパワー感でもってビートを繰り出すドラムのScott Garret、寡黙に重厚なギターリフを刻む藤田“CBGB”タカシ、CBGBとは対照的にステージを駆け回りアグレッシブにギターを鳴らすmasasucks、ボディブロウのように腹に響くベースを奏でながらも圧倒的な存在感を放つJ。決して“J featuring?”にはならず、この4人だからこその強固なバンドサウンドを築き、C.C.Lemonホールのフロアを大きく揺らしている。衝動の塊のような『URGE』を作った時のエネルギーをツアーで倍増させ、それを120%のパッションでぶちまけているといったところか。 中盤はディープなナンバーやミディアムチューンが続いたが、芯が熱いバンドサウンドに客席のボールテージが下がるはずもなく、そのままソロ1stアルバムのタイトル曲「PYROMANIA」から終盤戦に突入した。ジャンプナンバー「Go Charge」やアッパーな「So High」などを畳み掛け、観客たちを際限なく沸かせると、アンコールでは生のストリングをフィーチャリングした「walk along」のハートフルな歌を心に染み渡らせる。そして、オーラスのソロデビュー曲「BURN OUT」へ。ダイナミックなロックサウンドに客席は爆発的にテンションを上げ、この日最高の盛り上がりを見せるのだった。 ソロ活動10周年という節目の今年。やりたいことをやりたいようにやってきたJにとっては、ひとつの通過点にしかすぎないようだが、そのバイタリティーが彼を今日まで突き動かしてきたことを今夜のライヴで再確認した。それだけ、ロックの初期衝動をそのまま体現したようなライヴだったということだ。
J プロフィール

ジェイ:1992年にLUNA SEAのベーシストとしてメジャーテビュー。97年、LUNA SEA の活動休止を機にソロ活動を開始。翌年LUNA SEA を再開するが、00年12月の東京ドーム公演にて終幕し、本格的にソロ活動をスタートする。03年にはアリーナ・オールスタンディングによる、ソロ活動初の武道館公演を実施。その後もとどまることなく自身の音楽を追求し続け、17年3月にはソロデビュー20周年を記念したベストアルバム『J 20th Anniversary BEST ALBUM <1997-2017> [W.U.M.F.]』を発表。現在は10年に再始動したLUNA SEAとソロの両輪で活動中。J オフィシャルHP

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OKMusic編集部

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