【2PM】『LEGEND OF 2PM in TOKYO D
OME』2013年4月21日 at 東京ドーム

撮影:田中栄治・増田慶/取材:杉岡祐樹(プランテック)

 確かめるようにもう一度、広大な会場を見渡したジュンケイは、ペンライトの輝きで埋め尽くされた会場に2つの約束をする。ひとつは、眼前で見守る観衆から届いた大きな愛は絶対に忘れないこと。そしてもうひとつが、「死ぬまで魂を込めた音楽を、皆さんに聴かせ続けます」。

 シングル「Take off」での日本デビュー以来、2年足らずで東京ドームへ。アジアを代表する“野獣アイドル”として注目を集め、今年の1月から2月にかけて全国を巡ったアリーナツアーでは15万人を動員し、2月にリリースした2ndアルバム『LEGEND OF 2PM』では念願のオリコンウィークリーランキング1位に。日本でも絶大な人気を誇る2PMが、4月20日・21日に自身初の東京ドーム2デイズ公演『LEGEND OF 2PM in TOKYO DOME』を開催。両日合わせて11万人を動員する大盛況の中、圧巻と感動のステージを披露した。

 球場のバックスクリーン側に、両翼まで達する広大なメインステージ。その中央からグラウンドに向けて長いランウェイがあり、球場のちょうど真ん中にある長方形のサブステージへと連なる。またサブステージの左右にも、アリーナ席を分けるようにスタンド席に向かったランウェイがあり、その道は球場のフェンスにぶつかるところで直角に曲がって、そのままフェンスを沿うようにしてメインステージの両端へと繋がっている。

 グラウンドの空いたスペース、そして3階まで達するスタンド席には超満員の観衆が駆けつけ、6人の雄姿を見守ろうと各日5.5万人のファンが集った。カラフルなペンライトに埋まったその風景はかなり壮観だ。やがて開演時間になると、ステージ後方の両翼に配された大型LEDディスプレイに、ものものしい神殿が映し出されて会場がどよめいた。

 そして、神殿中に構えていた6人がひとりずつ紹介されるたび、甲高い歓声がこだまする。続いて地響きのようなリズムに合わせて、メインステージの両脇から太鼓を叩く男たちがせり上がり、追ってステージ中央に白い衣をたなびかせた5メートルほどの塔が6本出現した。その衣が引き剥がされると、純白の衣装に舞踏会を思わせる仮面を付けた2PMが現れる。記念すべき1日は、「マスカレード ~Masquerade~」の妖艶なアクトで幕を開けたのだった。

 “皆さんに逢いたかった!”(ウヨン)。“この瞬間を待っていました!”(チャンソン)。迫力のオープニングからダンサブルなナンバーをクールにたたみかけていった6人だが、最初のMCでは東京ドーム公演が実現した喜びを爆発させて満面の笑顔に。テギョンはイヤーモニターを外して大観衆からの声援をダイレクトに受け取り、早くも万感の表情だ。

 昨年5月に開催した武道館6DAYS公演では各日にひとりずつソロステージを披露したが、今回の公演は出し惜しみもしない。直前の生着替え中継で女性ファンを悩殺したウヨンが、レーザービームが乱反射するきらびやかなステージで「Sexy Lady」を披露すれば、自身が描いた“オクキャット”の着ぐるみを来て登場したテギョンは、この日のために日本語で作詞、作曲も手がけた「I LOVE U, U LOVE ME」を熱唱する。

 中盤には、ニックンが10人の弦楽隊と共に荘厳なピアノの弾き語りの「Let It Rain」で会場を魅了すると、ジュンケイは『ALIVE』のオープニングから「TRUE SWAG」へ繋ぎ、高速ラップも絡めてヴォーカルスキルの高さを改めて見せつける。そして、吸血鬼になったチャンソンから赤い瞳で見つめられる映像から始まった「Oh」で女性ファンからため息がこぼれれば、黒ぶちメガネに白シャツ姿という爽やかな映像からスタートしたジュノの「SAY YES」に黄色い歓声がこだまするなど、各ソロステージを一度に楽しめる豪華なセットリストになっているのだ。

 もちろん6人でのパフォーマンスは、ともすればそれ以上に圧巻の迫力とボリュームだ。メインステージ後方に設置された大小合わせて20枚ほどの巨大なLEDディスプレイは後方を埋め尽くす形で配されており、序盤の「Without U」では降りしきる雨の中にいるような世界観を構築。「I'll be OK」披露時には6人を乗せたサブステージが10mほどせり上がってアリーナ席の上を進み、会場の中央からバッターボックス側まで移動する大胆なギミックで観衆を驚かせた。

 さらには会場を周遊できるBOX CARや前述の長いランウェイも含め、隅々の観衆まで6人をより近く感じられる演出が方々に施されているのだ。日本を代表する広大な会場であっても距離は感じさせない。2PMがいかにファンを大切にしているかが、舞台装置や演出からも伝わってくるのが嬉しいところだ。

 また、今回の2DAYSでは新曲初披露の舞台も用意されていた。その新曲とは、5月29日にリリースするニューシングル「GIVE ME LOVE」である。TBS系金曜ドラマ『TAKE FIVE~俺たちは愛を盗めるか~』主題歌に起用されている同曲は、まず初公開のミュージックビデオが上映された。鍛え抜かれた肉体美とクールなビジュアルの両方を楽しめる美しい映像に観衆が舌鼓を打っていると、続いて同曲のライブアクトへ。小気味よい4つ打ちに壮麗なメロディーが絡み合い、よりハイレベルに進化したダンスもと強烈な魅力にあふれた一曲になっている。

 さらにその後も、多勢のバックダンサーを従えてミリタリー調の大迫力フォーメーションダンスで魅せる「I’ll be back」に、LEDディスプレイや会場中に設置された照明を駆使して幻想的なダンスホールを生み出した「Heartbeat」。ファンのためにとジュンケイが作詞作曲した名バラードで、観衆から贈られる大合唱が胸を打った「離れていても」と、東京ドームだからこそ実現できるスケール感満載のパフォーマンスが続く。

 そして終盤は“最後まで羽ばたきましょう!”と、観客の声援に応えながらメンバー同士でじゃれ合ったりとファン垂涎の見所満載の「Ultra Lover」。サブからメインに向かうランウェイで突然、徒競走がはじまった「Hands Up」など素の表情がかいま見えるアットホームなアクトで代表曲を続け、暗闇の中でサイリウムを手に激しくダンスする幻想的なアクトが鮮やかな「This Is Love」で本編は終了した。

 さて、冒頭に紹介した“約束”は、アンコール時にジュンケイが放った一説だ。ここでメンバーはそれぞれにファンへの感謝の言葉を並べたが、“皆さんは感動そのものでした”と語ったテギョンは、やがてこらえきれずに泣き崩れてしまった。観客からのサプライズで白一色のペンライトに染まった会場を見渡し、何度も言葉を詰まらせながら“ここにいる皆さんがいれば、未来の不安もなくなります”とチャンソン。ジュノが“良い感じですか!?”“皆さんこそが音楽をやる理由、生きる理由です!”と笑顔を見せれば、ウヨンも目標だった東京ドーム公演が実現したことをファンに感謝。最後はニックンが、“もっともっと努力して、皆さんの誇りになります!”と力強く宣言した。

 ダブルアンコールでは「離れていても」を再び観衆と一緒に熱唱。《離れても その心の空で 照らし続けてるから 忘れないで ぼくはいつでもそばにいるよ》という歌詞には、“2PMからファンへ”という想いが込められているが、こうして聴いているとファンから2PMへの想いとも重なっていると思えるから不思議だ。日本デビューから約2年、ファンと真摯に向き合ってきた彼らだからこそ、その言葉、その歌に宿る大きな愛。アンコールも含めて全33曲。3時間を優に超える長丁場で、笑顔と涙にあふれる素晴らしい一夜を会場にいる全員で完成させたのだ。

 全ての演目を終えても“帰りたくないですね…”と名残惜しそうに苦笑したテギョンは、メンバーそれぞれがランウェイやサブステージを巡って今一度、観衆に感謝の気持ちを届ける中、メインステージの中央で観衆に背を向け、瞳を閉じてじっと立ち尽くしていた。その胸には、どんな想いが去来したのか。そして最後に、ニックンが大粒の涙を流すと、メンバー全員が彼に寄り添い抱きしめる一幕も。6人の絆の強さを感じさせる感動的なステージで、2PMやファンにとって念願の東京ドーム公演は大団円を迎えた。

セットリスト

  1. Opening ~ The Legend
  2. マスカレード ~Masquerade~
  3. I was crazy about you
  4. Breakthrough
  5. HOT
  6. Without U
  7. Don't Stop Can't Stop
  8. ウヨンSolo Stage 「Sexy Lady」
  9. テギョンSolo Stage 「I LOVE U, U LOVE ME」
  10. I Can't
  11. I'll be OK
  12. Beautiful
  13. So Bad
  14. Missing You
  15. Back 2U
  16. ニックンSolo Stage 「Let It Rain」
  17. ジュンケイ Solo Stage 「TRUE SWAG」
  18. GIVE ME LOVE
  19. I hate you
  20. I'll be back
  21. I'm your man
  22. Heartbeat
  23. チャンソンSolo Stage 「Oh」
  24. ジュノSolo Stage 「SAY YES」
  25. 離れていても
  26. Take off
  27. Stay with me
  28. Ultra Lover
  29. 10 out of 10(10/10)
  30. Hands Up
  31. This Is Love
  32. <ENCORE>
  33. Forever
  34. Hands Up(Remix)~Take off(Remix)
  35. 離れていても ※21日のみ
2PM プロフィール

2008年、韓国にてデビュー。Jun.K、ニックン、テギョン、ウヨン、ジュノ、チャンソンの6人からなる、韓国出身の男性アイドルグループ。男臭く野性的なイメージから、“猛獣アイドル”や“野獣アイドル”とも言われている。2009年に韓国音楽界最高の名誉の1つと言われる『Mnet Asian Music Award (MAMA)』で、最高賞となる「Artist of the year」を受賞。その後、破竹の勢いで中国、東南アジアをはじめとするアジア全域を席巻。瞬く間にアジアNo.1アーティストに昇り詰めた。2010年9月に日本デビューを発表し、翌年5月にシングル「Take off」で本格日本デビューを果たすと、同年12月に開催したアリーナツアーでは10万人を動員。2012年、『第26回ゴールドディスク大賞』に於いて「ニュー・アーティスト・オブ・ザ・イヤー・アジア」を受賞し、5月には武道館6デイズのライヴを敢行。2013年2月に発売した2ndアルバム『LEGEND OF 2PM』はオリコン・ウイークリーチャート1位を獲得し、15万人動員の全国アリーナツアーも成功させ、さらに4月には初の東京ドーム2デイズライヴを開催した。2PM オフィシャルHP(レーベル)
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