【ユニコーン】『ユニコーンツアー2
014 “イーガジャケジョロ”』2014年
5月7日 at 東京国際フォーラム ホー
ルA

撮影:山本倫子/取材:宮本英夫

 再始動後3枚目となるアルバム『イーガジャケジョロ』のリリースにともなう今回のツアー。その『イーガジャケジョロ』は、メンバー全員のボーカルとハーモニーがこれまで以上によく聴こえる作品だったが、その威力はライブでこそ発揮される。奥田が歌い、ABEDONが美しくハモり、EBIが歌い、テッシーと川西が渋い喉を聞かせる、その一体感を“これぞバンド”と言わずに何と言おう。ユニコーンはコーラス・グループだったのだ(と、初めて気付いた)。メンバーそれぞれの見せ場もたっぷりあり、特にEBIと川西は“何もそこまで”と思うほどの張りきりっぷりで、“川西さんが頑張ってる日に当たってよかったと思います”(奥田)“いつも頑張ってるっつーの!”(川西)と、かけあいも弾む。謎の小芝居、意味なしジョーク、オチのないMCなど、ユニコーンのライヴに欠かせないさまざまなスパイスを散りばめつつ、ライヴは快調に進んでゆく。

 ツアー中なので詳細は明かせないが、『イーガジャケジョロ』の曲を中心に、昔のあんな曲やこんな曲もやってくれるので、古いファンにも新しいリスナーにも納得のセットリストだろう。演奏については圧巻と言うほかはなく、ユニコーンが圧倒的な技術とセンスを持つ超個性派集団であることをまざまざと見せつける。たぶんそれが照れくさくて、ジョークでごまかしたくもなるのだろう。ユニコーンを語る時の“ゆるさ”は、その歌と演奏に宿るすさまじい緊迫感と説得力に裏付けされている。若いモンが真似しようと思っても、絶対に出せないのは、その深い味わいだ。2時間を優に超えるライヴのあと、心に浮かんだフレーズはやっぱり“これぞバンド!”だった。
ユニコーン プロフィール

1986年に広島で結成されたロック・バンド。バンド名はT.レックスのアルバム『ユニコーン』に由来している。87年にアルバム『BOOM』でメジャー・デビュー。89年4月発表の1stシングル「大迷惑」がブレイクし、80年代後半のバンド・ブームを代表する存在に。「大迷惑」を収録した同年6月リリースの3rdアルバム『服部』より、徐々にその音楽的才能/造詣の深さが顕在化し、90年10月の4thアルバム『ケダモノの嵐』、91年9月の5thアルバム『ヒゲとボイン』でさらにその屈強なるアーティスト性に拍車がかかっていく。後期ビートルズを意識したサウンド・プロダクツ、シリアスな中にも遊び心を忘れない詞世界、鬼才トッド・ラングレンを思わせる珠玉のメロディ・ラインなどが生きた自由奔放な楽曲で人気を呼ぶも、93年9月に解散を発表。メンバーのソロ活動が始まり、バンドの存在は伝説的なものとなっていく。そして、解散から15年後の2009年元旦。オフィシャル・サイトでまさかの再結成を宣言し、同年2月に復活のシングル「WAO!」、アルバム『シャンブル』をリリースすること、全国ツアーを行なうことを明らかにした。その後も精力的に活動を続け、2014年3月には再始動後3枚目となるフル・アルバム『イーガジャケジョロ』をリリース。ユニコーン オフィシャルサイト
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OKMusic編集部

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