【aiko】『Love Like Pop vol.17.5』
2014年11月1日 at 横浜アリーナ

撮影:岡田貴之/取材:高良美咲

 初っ端からぴょんぴょん飛び跳ね、ステージを端から端まで駆け回る。ずっと変わらない、常に全力のスタイルはやっぱりaikoだ。そして、待ちわびていたように観客が“aiko~!”と声を掛けると、aikoはそれに対してちゃんと応える。長年の活動の中で大切にしてきている、そんなコミュニケーションも距離感を感じさせない理由のひとつ。

 その後も楽曲によってはブラスやストリングスが加わるなど、厚みのある音の上で伸びやかに歌うaiko。その姿には“バンド”を従えるヴォーカルとしての意識を感じた。また、ライヴ中盤にはセンターステージにバンドとともに、衣装と髪型をポニーテールに変えたaikoが現れ、降り注ぐ照明に包まれる中、360度をまんべんなく見渡しながらしっとりと歌い上げる場面も。一転、アグレッシブに攻める楽曲を連発すると、会場の一番後ろまで伸びた花道も臆することなく駆け抜け、何度も何度も客席の近くに行き、ひとりひとりの観客と目を合わせて歌う。

 定番の“男子! 女子! そうでない人!”コールの後の「ボーイフレンド」では銀テープが舞い、煌びやかな幕開け…かと思いきや、楽曲の印象を植え付けるはずのイントロのバンジョーが鳴らずに、史上初(?)のやり直しに。そんなトラブルも笑いに変え、巻き返す姿はさすがだ。そして、ライヴ中は終始、会場全員が腕に付けていたザイロバンド(aiko曰く、“束縛バンド”)が楽曲に合わせて彩り豊かに輝き、時に激しく、時にゆるやかに揺れ動く光から、会場の熱量が見てとれたのも特筆すべきところ。

 Tシャツ&デニム姿で登場したアンコールの最後に、最新アルバム『泡のような愛だった』の幕開けを飾る「明日の歌」を披露すると、“また、笑って会えますように”と語り、この日の感謝の気持ちを即興で歌い上げる。幸せがあふれ出した、束の間の3時間だった。

セットリスト

  1. 運命
  2. be master of life
  3. 風招き
  4. 愛の病
  5. 花風
  6. サイダー
  7. キスの息
  8. ドライヤー
  9. 気付かれないように
  10. 恋のスーパーボール
  11. ポニーテール
  12. 大切な人
  13. キラキラ
  14. 染まる夢
  15. 舌打ち
  16. 相合傘
  17. ボーイフレンド
  18. Power of Love
  19. あたしの向こう
  20. <ENCORE>
  21. シアワセ
  22. どろぼう
  23. 明日の歌
aiko プロフィール

アイコ:1975年、大阪生まれのシンガーソングライター。98年にシングル「あした」でメジャーデビュー。3rdシングル「花火」が大ヒットを記録し、全国区で注目の存在に。等身大の目線と心情で描かれた恋愛における微妙な女心が多くのリスナーの共感を呼んでいる。aiko オフィシャルHP

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

新着