【ビッケブランカ】『TUBERCULIN to
ur 2014』2014年11月8日 at shibuya
duo MUSIC EXCHANGE

取材:山口智男

 10月15日にリリースした待望の1stミニアルバム『ツベルクリン』を引っ提げてのリリースツアー。その初日となる東京公演は“ビッケブランカ=ピアノマン”にもかかわらず、1曲目からマイク片手にステージを左右に動きながら観客にアピール。そんな意表を突いた演出を観客は大歓迎。ギター、ベース、ドラムからなるバンドのダンサブルな演奏に煽られるように早速立ち上がると、手拍子でいきなりの熱演に応えた。

 ダンスナンバーからバラードまで多彩な曲が揃った『ツベルクリン』の全8曲を軸に、新旧のレパートリーを演奏した1時間半。音源の再現に挑んだオペラ調のパートを含む「Bad Boy Love」、逆にシンフォニックな原曲をあえて弾き語りした「never ever」など、曲ごとに趣向を凝らしたところにライヴならではの面白さがあった。途中、曲の出だしをやり直すというちょっとしたハプニングもあったものの、それでかえって肩の力が抜けたのか、それ以降、歌声がぐんぐんと伸びていったことを思えば、序盤のMCで“ツアー初日。何が起こるかわからないワクワク感を楽しんでください”と語った通り、それもこの夜の見どころのひとつだったと言ってもいい。

 曲を演奏するだけに止まらず、「秋の香り」のミュージックビデオにまつわるエピソードを喋って笑いを取ったり、「ココラムウ」では客席とコール&レスポンスを楽しんだり、バンドメンバーを人柄と併せて紹介したりしながら和気藹々とした中に一体感を作り上げていった。“自分は曲を作る人”と考え、“以前はライヴにあまり興味がなかった”という彼がライヴの面白さに目覚め、こうして、かつてライヴに興味がなかったとは思えないほどエンターテインニングなパフォーマンスに取り組んでいる。

 そういう意味では、バンドの演奏や自ら奏でるピアノの生音だけにこだわらず、曲によってはシーケンスも使ったサウンドも含め、ライヴパフォーマーとしては、まだまだいろいろな可能性を秘めているに違いない。改めて伝わってきた曲の良さ、ファルセットも交えた歌声の魅力とともにそんなのびしろを感じることができたワンマンライヴだったのだ。

セットリスト

  1. 現在ツアー中のため、セットリストの公表を控えさせていただきます。
ビッケブランカ プロフィール

ビッケブランカ:美麗なファルセットヴォイスと緻密なコーラスワークを独創性に富んだ楽曲に昇華させ、ポップとロックの間を自在に行き来する、新しいタイプのシンガーソングライター。2016年10月にミニアルバム『Slave of Love』でメジャーレーベルに移籍し、19年に発表したシングル「まっしろ」が日本テレビ系ドラマ『獣になれない私たち』の挿入歌に、同年6月に発表した3rdシングル「Ca Va?」がSpotifyのCMソングに抜擢されるなど幅広い世代から注目を集める。ビッケブランカ オフィシャルHP

OKMusic編集部

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