【セカイイチ】
取材:宮本英夫
“ああ、これが歌を作ることか”と思い
ました
リリース間隔が少し空きましたけど、その間はずっと制作モードで?
そうですね。3~4ヶ月の間に20曲ぐらい書いたんですよ。それからシングルを決めるまでに2ヶ月かかってたり、気が付いたら1年経っていました(笑)
1年前のアルバム『世界で一番嫌いなこと』は、打ち込みやエディットを駆使してバンドサウンドを再構築した画期的な作品でしたけれども。今振り返ってあの作品の手応えは?
前作は、2000年代以降のバンドサウンドの構築というのが目標だったんですよ。やって良かったし、セカイイチというバンドの幅広さも見せられたんですけど、その後にそういう音楽を作る連中がすごく増えて、この世界観を引きずるわけにはいかんなと思って、バランスをすごく考えてたんですけど…そんな狙いも何もなくできたのが、『あかり』だったんですよ。
確かに、もう一度生バンドの音に回帰したというか、とてもナチュラルなバンドグルーヴが心地良い曲です。
3分40秒ぐらいの曲なんですけど、3分40秒ぐらいでできましたね(笑)。“ああ、これが歌を作ることか”と思いました。
何か、テーマを思い浮かべながら作ったのですか?
何も考えてなかったです。急にワーッと全部降りてきて、“これは何や!?”と思って全部メモって、という感じです。
ざっくり言うと、“希望の歌”だと強く感じました。
そうですね、希望しかないですね。
ここの歌詞が良いんですよ、“君んとこまで迎えに行くんだぜ”というのが。“俺について来いよ”というのはよくあるけど、わざわざ迎えに行くというパワーがセカイイチっぽいなと(笑)。
超おせっかいですよね(笑)。今はとにかく、一緒に何かをやるというつながりを、広く深く求めている気がしますね。冒頭の歌詞にあるように、“何にもありゃしない”とか“何にも変わらない”とか言ってる、鬱々としてる人たちに向けたというか、そういう人たち全員を巻き込んでいきたい。僕もその気持ちは良く分かるので、全部巻き込んで台風の目になろうや、と。
曲をバンドで仕上げる過程はどうでしたか?
すんなり行きましたね。僕が打ち込みでデモを作って、吉澤くん(Dr)に聴かせたら、何かを感じ取ったらしく、フレーズを作ってきたんですよ。普通のエイトビートではなく、わけの分からないビートを(笑)。これはすごいなと思ってすぐ採用しました。僕が発信したいものをメンバーが感じ取って、自分の中のフィルターを通してちゃんと出してくれるようになったと思います。前のアルバムを作るまでは、みんな手癖でやろうとしているところがあったんですね。“そうじゃないから!”ということを前作で強く言ったんだけど、その意味が分かってなかったんですよ。でもアルバムを作って、ツアーに出て、明らかに周囲の評価が変わって、“セカイイチ、良くなったんじゃない?”と言われて、ライヴの反応もすごく良くなって、それからだんだん分かってきたんじゃないかな。今回は特に何の注文もしなかったし、それだけ良くなったと思います。すばらしいです。
デビューから3年半の作品を並べてみると、1枚ごとに相当変化してますね。これからの未来も非常に楽しみです。
確かに、ミニアルバムを含めて出したアルバムは4枚とも全然違う(笑)。でもたぶん次は、その4枚を全部足したようなものになるのかな、と思ったりしますね。しかも、足して×3ぐらいした感じになるかもしれない(笑)
アーティスト