【光岡昌美】自分の成長の過程をその
まま形にしたって感じです

自分の全てをさらけ出したという1stアルバム『Black Diary』。タイトル通り彼女の内側に潜むダークな部分を中心に描かれているが、ただ絶望を歌うのではなく、そこから一歩進む勇気を教えてくれる一枚だ。続くシングル「FREE BIRD」では、より光を感じさせ、新たな世界を開拓する!
取材:ジャガー

待望の1stアルバム『Black Diary』が完成しましたね。

そうですね。3年ぐらい前からノートに書き綴っていた歌詞に曲を付けるという作業が多かったので、アルバムだからと気負いするわけでもなく、自然な形で取り組むことができました。

全体のサウンドイメージとしては、90年代のJ-POPを感じさせますが、そこからロックナンバーに走ったり、よりキャッチーになったりと、その振り幅の大きさをすごく楽しむことができました。

私自身、そういう90年代のJ-POPがずっと好きだったりするので。特に『CHESS BOARD』は、自分の中でもすごくロックテイストな曲ですね。何かに追い込まれている感じを出したくて、歌声もちょっと強めですし。Aメロでは声を押し殺したものを三唱ぐらい重ねることで怪しげな雰囲気を出してみたりもしました。タイトル曲の『Black Diary』は歌声をラジオヴォイスに変えたことで、曲自体が生きたように思います。ここまで歌声をいじることは今までなかったので、私も作っていく中で楽しんでました。

歌詞は挑発的な内容で、今までにないハードな一面も表現されていますよね。

心と心の駆け引きみたいな。『Black Diary』で表現した世界観は、このアルバム全体を通してのテーマでもあるんです。

“Black Diary”というタイトルから、もっとドロドロした人間の内側を出すのかなと思っていたのですが(笑)。

それはすごく曲に助けられてるんですよ(笑)。この歌詞でアコースティックだと…ものすごく暗くて重すぎると思うんです。でも、いろんな音色が混ざって曲ができているので、聴こえ方も捉え方も上手くマイルドになったんじゃないかなと。“Diary”っていうのは、アルバム一曲一曲の歌詞を見てもらって、曲を聴いてもらうと分かると思うんですけど、印象が全部違うんです。だけど、どれも光岡昌美なので、それこそその日の感情とかで内容も変わる日記として感じてもらえたらうれしいなって。本当、自分の成長の過程をそのまま形にしたって感じですね。

自然体だからこそ、聴き手に訴えかけるものが強いんですね。

今回『ぼくたちの失敗』で初めてカバーにも挑戦したんですけど、この曲で使われている言葉はすごく素朴で淡々と進んでいくのに、言葉ひとつの重みというか、聴いてる人の情景にすごく当てはまるんですよ。私が聴き手の立場になっても共感できたので歌ってみたくなったんです。

ストリングスの響きと優しい歌声とのハーモニーが心地良かったです。

実は人の曲の方が歌いやすかったりするんですよ、感情移入がしやすくて。自分が書いた歌だと、どうしても客観視ができないんですよね。逆に、他の人の曲だと情景を思い浮かべながら、自分の今の現状と重ねたりして、すごく歌いやすかったりするんです。

きっと作詞家であり、歌い手であるといった点から生まれる葛藤なんでしょうね。

自分の言いたいことだけを書いてきた分、情景よりも自分の中にあったものが描かれているので、どうしても情景から入ることができないんですよ。リアルすぎて、“ちゃんと聴いてくれる人に伝わっているのかな?”って不安になったりします。

そのリアルさが説得力を出しているんだと思いますよ、常に自信に満ちあふれている人はいませんし。人間の持つ弱さや不安を理解できる人こそ、強い人だって教えてくれる作品なのではないでしょうか。

そうですね。本当に自由に感じてもらいたいです。私もすごく自由に取り組むことができたので。自分の今まで感じていた暗闇の部分、光に当たらない部分というのは、シングルでは伝えきれなかったところもあるので、このアルバムでやっと全てを詰め込めたような気がします。

そして、間髪を容れず5thシングルとなる「FREE BIRD」をリリースと。こちらも伸びやかな歌声が印象的ですね。付け加え、一度聴くだけで自然と涙があふれてくるメロディーが胸を締め付けます。この曲は、今までのバラード以上に寄り添うというか、体に入ってきました。

私も最初に曲を聴いた時はジーンとしましたね。すごくメロディーがきれいだったので、暗い歌詞ではなく、明るい希望のある歌詞を書きたいとも思いました。曲を聴きながら、近い将来や十年後といった“未来の自分”を想像しました、“未来の自分は何をしてるんだろうな”って。

“失ってきた何かひとつずつ数えてる 引き換えにいつか手にしたものなら 今ちゃんと握りしめてる”の部分が特に考えさせられます。

私自身、そのキーワードがすごく好きだったりします。

改めて歌詞の内容を比較してみると、どんどん前を向いた内容に変化していますね。これからもその変化から目が離せません!

その時の私の精神バランスが分かりますね(笑)
『Black Diary』2009年01月28日発売PONY CANYON
    • 初回限定盤
    • PCCA.02819 3990円
    • ※オリジナル写真集28P+透明三方背ケース
    • 通常盤
    • PCCA.02821 3150円
「FREE BIRD」2009年02月11日発売PONY CANYON
    • 期間限定生産盤(DVD付)
    • PCCA.02875 1890円
    • 通常盤
    • PCCA.02876 1260円
光岡昌美 プロフィール

ミツオカマサミ:2007年にシングル「Hana」でデビュー。透き通った優しい歌声と同世代が抱える心の葛藤をリアルに描いた歌詞が反響を呼んだ。アーティストとしての可能性を見出すべく、光岡名義での活動を一時休止したものの、11年にアルバム『PAST TRUNK』で活動を再開させた。 オフィシャルHP

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。