取材:金澤隆志

7つの色で彩られたFUNKISTワールド

“SUNRISE 7”というタイトルは、すごく縁起がいい響きですね(笑)。

染谷
メジャーに来て1stアルバムいうことで、“7人の夜明け”という意味合いで、このタイトルにしました。

1曲目の「GO NOW」では、東京スカパラダイスオーケストラのホーン隊が参加しているのですが、その経緯は?

染谷
僕らもともとスカパラの大ファンで、彼らの海外ツアーのドキュメンタリーなどをテレビで観て、“俺たちもいつか!”と言っていて。それほどのファンだったので、絶対にスカパラさんにホーンをお願いしたかったんです。レコーディングの時は、みんなブースのガラスにへばりついて感動してましたね。“おい、ホンモノだぜ”って(笑)。
ヨシロウ
スカパラならではの、荒くて図太いホーンが最高! “この曲、熱くなるね”というお言葉を頂戴して、感動してしまいました。

インストの「ケイジアの風」は、それぞれのプレイヤビリティが前面に押し出された曲ですね。

染谷
これは陽子ちゃんの曲なんですよ。ケイジアとは南アフリカにある大きな木の名前で、それぞれが持ってるアフリカのイメージを表現しました。他の曲よりも“お前がそうくるなら俺はこうだ”とお互いを触発し合って、高め合えていると思いますね。
ヨシロウ
すごく生音の感触を大事にした曲で、エフェクター処理は一切なし! 楽器の木の音や、フルートを吹いている人間の息遣いまで伝わるようなものになりましたね。
染谷
描いていたのは、アフリカのストリートでやっている光景。その生々しい空気感が録りたくて。

ウィンターラブソングの「CHANIN」は“シャナン”と読み、これは女性の名前とのことですが。

染谷
女性の名前をタイトルにしたかったんだけど、英語の名前は使い古されているので、他にいい名前ないかなと考えていた時に思い出したのが、この名前で。僕の母親が、もし娘が生まれた時にはこの名前にしようと考えていた名前なんです。妖精が魔法の鈴を鳴らした時の音色の響きがこういうふうに表現されるそうで、この曲のテーマにピッタリだなって。
ヨシロウ
フィーチャリングで参加しているのは、インディー時代から仲の良いO.S.D.とLoco-passionの2バンド。メジャーに行っても、昔から一緒にシーンを盛り上げてきたバンドと変わらず絡んでいきたい、一緒に音を奏でていきたいという気持ちが詰まった曲ですね。

「レイン29」はアッパーな曲が多い本作において、色合いを異にする、繊細で物悲しいバラードですね。

染谷
このアルバムには“頑張ろうぜ”というメッセージが詰まった曲が多いけど、僕たちは“頑張れば何でもできる!”と言いきれるほど強くはない。とてもポジティヴで、前向きなアルバムになっているだけに、そういった弱さや悲しみをしっかりと表現しておきたかったんです。だから、最後にこの曲を収録することを決めました。

前奏がラジオドラマみたいな「フレンズ」は、アルバムに於ける最大の見せ場ですね。これはどんなアイデアが発端となったのですか?

ヨシロウ
「フレンズ劇場版?予告編?」のことですね。バカなことを本気でやりたくて(笑)。インディーズ時代からこういうバカなコーナーを設けているんです。
染谷
もちろん劇場版はないんですけどね(笑)。単純に“もしも「フレンズ」という曲が映画化されたら?”という体で予告編を作ってみよう、と。

ナレーションに下條アトムさんが参加しているあたりに、本気の度合いが感じられますよ。

染谷
どうせやるならとことんやろうということでお願いしたんですけど、実際来ていただいたら、“この人にこんなことやらせていいのか?”という罪悪感でいっぱいで(笑)。下條さんがひと言発すると目の前にその景色が広がるんです。大げさじゃなくて、本当に言葉の魔術師ですよ。下條さんが入れた後にメンバーが言葉を入れたんですが、あまりの完成度にまったく手を抜けなくなってしまって(笑)。
ヨシロウ
最終的にバカを通り越して感動巨編に仕上がりました(笑)。

その後の楽曲本編では、メンバー全員がリレー形式で歌っていますね。

染谷
それぞれが作詞作曲したパートを歌っているんです。レコーディング中にバンドのスタッフが海外に旅立つことが決まって、それぞれが彼に手紙を書いたんです。その内容がそのまま歌詞になっているんですよ。実在する人物への手紙なので、感情がすごく込められました。

全体を通して聴くと、曲の描く世界観は違っていても共通して備わっているのは、FUNKISTならではの躍動感、生命感のように感じました。

染谷
それは全員で“せーの”で録っている部分が大きいかも。今のレコーディングでは、楽器ごとに順番に録っていく方法が主流で、それだと確かに形は整うんだけど、全員で一丸となって録ったテイクには絶対に勝てないんですよね。やっぱり、メンバーの気持ちがひとつになっているものには…。
ヨシロウ
俺たちが求めているのは、キレイな音ではなく、気持ちがいい音なんです。
染谷
今回のレコーディング合宿では、睡眠を削ってまで一緒に音を出し続けていたんですね。これほどずっと一緒に音を出し続けた1週間は、結成以来初めてじゃないかな。それだけに、これまでにはなかった音のまとまりやグルーヴ感が曲に備わっていると思います。
FUNKIST プロフィール

01年に結成。染谷西郷(vo)、宮田泰治(g)、ヨシロウ(g)、春日井陽子(flu)、JOTARO(b)、オガチ(per)、住職(dr)からなる7人編成。日本のみならず、南アフリカ、アジア、インドなど、世界中所狭しと駆け回り、年間100本を超えるライヴを繰り広げてきた生粋のライヴ・バンドである。

染谷の故郷でもある南アフリカ仕組みのビートフルなリズムに染み入るメロディー&リリックが混ざり合い、ジャンルの壁を超えたFUNKIST独自のスタイルを生み出した。些細な日常の様子から世界中の様々な問題までを等身大の自分達で表現するその音楽は“笑顔あり”“涙あり”聴く人の心を掴んで離さない。そんな彼らのオーディエンスを巻き込んでのライヴは、老若男女問わず人と人を繋げ、国境も超えられる程の熱い想いで地球規模の大切なメッセージを伝えている。

08年4月、SHIBUYA-AXにて開催されたワンマン・ライヴで大成功を収めたことが皮切りとなり、5月に催された『9条世界会議ヒロシマ』では6,000人を超える観衆を前に圧巻のパフォーマンスを披露。そして7月には、<ポニーキャニオン>より1stシングル「my girl」でメジャー・デビュー。09年7月に10-FEET主催の『京都大作戦 2009』へ参戦、サブ・ステージながら1,000人以上を集客するなどしてFUNKIST旋風を巻き起こした。FUNKIST Official Website
公式サイト(レーベル)

OKMusic編集部

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