取材:三宅正一

16年振りのニューアルバム『シャンブル
』到着!

予兆めいたものが一切ない中での再始動だったので、本当に驚きました。隠すのが大変だったのではないかと(笑)。

川西
大変でしたねえ。公園に穴掘って、そこに叫んでましたからね。“ユニコーンが復活する!”って(笑)。去年ジュンスカが復活したから、ライヴの打ち上げとかで“川西くんはユニコーンやらないの?”とか訊かれてたんですよ。そんな中ずっと“ないっすよ”とか言ってましたからね。

阿部さんが提案したことから全てが始まったんですよね。解散から15年、阿部さんはなぜこのタイミングで再始動の話をみなさんに持ちかけたんですか?

阿部
ひとつ決定的なものというのはないんですけど、その中には自分の心境もあるし、音楽シーンの状態もあるし、いろいろなものが合致して話をし始めたんだと思うんですよね。もちろん、今でもそれぞれミュージシャンとしていいところを持ってる人たちなので、それを活かしきれた場合は絶対面白くなるだろうなという予想はありましたね。ただ、実際にやってみないと分からないという部分が大きいので、とにかくスタジオに入ってみようということになりまして。
手島
あと、大きかったのは、川西さんは来れなかったんだけど、ユニコーンの舞台監督の結婚パーティの時に4人で演奏したんです。その時周りも楽しそうだったし、僕自身も楽しくて。余興で1、2曲やる感じかなと思ったら結局30分ぐらいやって。さすがみんな現役なだけあってパワーがあるわけですよ。もともと音量で押すみたいなバンドじゃなかったんだけど、そういうところも変わってなくて。すごく幸せを感じたんですよね。あれがあったから再始動って話が出てきた時に自然と“はい”って返事ができたと思う。
EBI
僕もあの時“これならできるかもしれないな”って思いましたね。で、やるんだったら早くやりたいと思った。

そこからスタジオに入って?

阿部
2008年の1月に話をして、4月ぐらいにみんなで集まろうよってことになって。でも、民生は忙しかったんだよね。
手島
民生はツアー中だったから、最初は1曲だけで、阿部くんは2曲、他は3、4曲、川西さんだけ10曲ぐらい(笑)、みんなで持ち寄って。で、どんどんレコーディングしながら民生と阿部くんも書き足していったという流れでしたね。

それぞれ、他のメンバーのデモを久しぶりに聴いてどういう感想を抱きましたか?

阿部
EBIはEBIらしい感じだなあと(笑)。
EBI
変わらないんですよねぇ(笑)。
奥田
怖いぐらい変わってない(笑)。

民生さんはユニコーンの曲のデモを作るという意味で意識したことはありましたか?

奥田
いや、そんなに。軽い気持ちで(笑)、どのようにでもなるかなと思いながら。ただ1曲だけだとやる気がないと思われる危険性があるので(笑)、まじめにやってるところを見せないと、とは思ってましたけどね。最初は自分が歌わない曲があってもいいと思ってたぐらいだから。

この『シャンブル』というアルバムは、15年ぶりなのに非日常な感じがまったくしないんですよね。でも、同時に新たな1stアルバムのようなフレッシュな聴き応えがあるという。

奥田
昔からそうなんだけど、それぞれがデモを作ってる時は何か考えてるんだろうけど、どうせスタジオに持って行ったら変わるからさ。みんな曲を作って、歌って、楽器も弾いてっていうバンドなんで。だから、どういう曲にしよう、どういうアルバムにしようとか考える必要もないというかね。変わってなんぼだし、それが面白いからやるわけだし。
阿部
うん。だから、僕もついこの前、“この曲のここはこういうことだったんだ!”っていうのに気付いた部分がありましたよ。どの曲のどの部分かは秘密だけど(笑)。
奥田
このバンドの中に入ると、曲を作る人間から歌を歌う人間まで、その都度変わるから“それは知らんがな!”みたいな部分が増えるわけですよ(笑)。で、だから楽しい。

「ザギンデビュー」という曲では民生さんと阿部さんがそれぞれサックスとトランペットを吹いてますが、それもそのユニコーンならではの楽しさがあればこそですね。

奥田
ほんとはスカパラを呼びたかったんだけど、内緒でレコーディングしてたから呼べなかったんだよ!(笑)。

でも、実際にやってしまうところがユニコーンなわけで。

阿部
そうですね。それぞれ苦手な部分ってあると思うんですよ。でも、それを違う手法で補うのは、わりと得意なバンドだと思うんですよね。そういう意味ではね、ホーンも不得意なところからやらなきゃいけないので、ほんとに独特な音が鳴っていると思いますね。それが面白いと思う。
奥田
リズムだけはいいからね。音は鳴ってないけど!(笑)

そこで改めて訊きたいのは、メンバーみんな音楽的嗜好もそれぞれ微妙に違って、一見相容れなそうな5人を引き合わせているのは一体何なのか、ということなのですが。

奥田
まあ、みんなそれぞれ好きなものはあるけど、それとこれとは別で成り立ってるというか(笑)。で、そこで盛り上がって新しいものができたら、やっぱり刺激になるんですよ。それだけじゃ続かないから結局1回解散したんだと思うし。みんな自分の好きなことをまじめやりたいという気持ちもあっただろうしね(笑)。それでもまた戻ってくるということは、いいところだけを考えられるということだから。すごく楽ちんですよ(笑)。

そして、3月からはいよいよ全国ツアーが始まります。これぞユニコーンのライヴ、というものを期待してます。

阿部
そうやってみんな焚き付けるけどね、いざライヴが始まれば“長げえな!”とか“早く終われ!”ってなるんですよ。

そんなことない!(笑)

阿部
ほんとに?(笑)じゃあ、頑張りますよ!
奥田
僕らもどうなるか分からないので、スリル満点なライヴになることは間違いない!
ユニコーン プロフィール

1986年に広島で結成されたロック・バンド。バンド名はT.レックスのアルバム『ユニコーン』に由来している。87年にアルバム『BOOM』でメジャー・デビュー。89年4月発表の1stシングル「大迷惑」がブレイクし、80年代後半のバンド・ブームを代表する存在に。「大迷惑」を収録した同年6月リリースの3rdアルバム『服部』より、徐々にその音楽的才能/造詣の深さが顕在化し、90年10月の4thアルバム『ケダモノの嵐』、91年9月の5thアルバム『ヒゲとボイン』でさらにその屈強なるアーティスト性に拍車がかかっていく。後期ビートルズを意識したサウンド・プロダクツ、シリアスな中にも遊び心を忘れない詞世界、鬼才トッド・ラングレンを思わせる珠玉のメロディ・ラインなどが生きた自由奔放な楽曲で人気を呼ぶも、93年9月に解散を発表。メンバーのソロ活動が始まり、バンドの存在は伝説的なものとなっていく。そして、解散から15年後の2009年元旦。オフィシャル・サイトでまさかの再結成を宣言し、同年2月に復活のシングル「WAO!」、アルバム『シャンブル』をリリースすること、全国ツアーを行なうことを明らかにした。その後も精力的に活動を続け、2014年3月には再始動後3枚目となるフル・アルバム『イーガジャケジョロ』をリリース。ユニコーン オフィシャルサイト
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