取材:ジャガー

“聴いていて気持ちのいい言葉”

そもそもネットラップを始めたきっかけを教えてください。

中学生から日本語ラップというものに出会い、ずっとリスナーとして聴くだけだったんですけど、高校生の頃に“自分でもやってみたい”なと。クラブカルチャーは知っていたんですが、周りにそういう友達もいないし、なんとなく怖いイメージがあって。なかなか勇気が出ないままだったんですが、インターネット上で音源を投稿できる掲示板『Underground Theaterz』を見つけて、これなら自分でもできるんじゃないかと思って始めたのがきっかけです。

まさに新時代の音楽ジャンルであるネットラップですが、入口がとても広いですよね。

パソコンとマイクさえあれば曲が作れるという手軽さがいいですよね。あと、世界中の人に聴いてもらえる可能性があることも魅力ですね。少しでも多くの人に聴いてもらいたいなという気持ちがあったので、そこは大きかったです。

デビュー前から、自分の作品がニコニコ動画をはじめ、多くの人に反響を呼んでいましたが、率直な感想はいかがですか?

純粋にうれしいです。もちろん、意見はいろいろあるので、いい意見も悪い意見も素直に聞いています。それだけたくさんの人に自分の音楽を聴いてもらえてるのが、本当ありがたいですよね。

では、今作を作るにあたってのテーマは何だったのですか?

インディーズで出したミニアルバム『RAP BEAT』より、いろんな方向性に飛ばすことですね。さまざまな音楽にラップという歌唱法を用いて、“RAP MUSIC”に昇華するのがらっぷびとのコンセプトなので、そこをさらに押し出していきたかったんです。実際、作り終えてみて達成できたんじゃないかと。

特に思い入れのある楽曲をひとつ挙げるとするならば?

『人として軸がぶれているらっぷ』ですかね。らっぷびとが初めて大きく注目された楽曲でもあり、そのお陰でインディーズでのCDデビューや原曲者でもある大槻ケンヂさんにお会いできるきっかけにもなったので。今でもらっぷびとの代表曲なんじゃないかなぁ。

どの曲も心地良いメロディーに軽やかに乗るリリックに高揚しました。

メロディーはわりと勘で作っている部分が大きいんですが、歌詞はその時々で“聴いていて気持ちのいい言葉”を考えているので、そこはこだわりですね。逆に、あえて聴き心地を落として歌詞の内容を重視したりする時もあります。最初から最後まで聴いていただけると“らっぷびと”という人間の音楽性、方向性、人間性が分かると思いますので、じっくり最後まで聴いてもらいたいですね。ただ、『RAP MUSIC』もあくまで“らっぷびと”の一部なので、一曲をひたすら聴くなり、ネットでの活動を見るなり、このアルバムをきっかけに“らっぷびと”に関心を持ってもらいたいです。本当にやりたいことがたくさんあって…まだやったことのない音楽にラップを乗せるのもそうですけど、バンドとコラボしてみたり。とにかく自分の方向性をできる限り多岐に渡って伸ばしたいんですよ。

改めて今作はどういう作品になったと言えますか?

最初から最後まで同じような曲はないので、いろんな音の上でのラップを楽しんでもらいたい。僕自身を包み隠さず曲にしているので、らっぷびとを知ってほしいです。この作品を完成させるにあたって、インターネット上で知り合ったトラックメーカーやラッパーが参加してくれていたり、オタクだからこそ生まれた曲もあり、そのお陰でコラボもできているという、本当に一枚の中にいろんな要素が含まれているので。
らっぷびと プロフィール

1987年9月16日生まれ、東京都世田谷区出身のらっぷアーティスト、らっぷびと。都内出身にも関わらず渋谷ではよく道に迷い、自宅から自転車で20分程度の距離しか離れていないスタジオに何故か片道2時間かかってしまうほど極度の方向音痴。アーティスト人生初めての取材を自宅で寝過ごすほどの鉄の心臓の持ち主。

07年9月、アニメ『さよなら絶望先生』オープニング・テーマに起用された大槻ケンヂと絶望少女達「人として軸がぶれている」に、ラップを乗せた動画が<ニコニコ動画>内のランキングで連日2位を獲得。アマチュア・アーティストでありながら、信じられないほど完成度の高い楽曲と原作の世界観をフューチャーした絶妙なリリックがクチコミで話題を呼び、<YouTube>などのその他動画投稿サイトにも人気が飛び火。当時の動画は既に削除されてしまったものの、アクセス数は累計で40万PVを突破した。

06年夏には“ネットRAP”出身者のみが出演するライヴ・イベント『World Wide Words』が発足。以降、毎年継続的に開催されているが、その勢いは年々大きな広がりを見せている。らっぷびともそういった環境の中で楽曲製作を行い、08年8月発売のミニ・アルバム『RAP BEAT』に参加しているトラック・メイカーの多くが、ネット上で知り合った仲間達だった。
09年2月に<EMIミュージックジャパン>より、1stシングル「All Day,All Night」でメジャー・デビュー。そして、現在ネット出身である新世代のラッパーやトラック・メイカーが力を付け、インターネットの垣根を越えた音楽のシーンで頭角を現し始めている。その中の一人として最も話題を集めているアーティストがらっぷびとなのだ。らっぷびと オフィシャルサイト
公式サイト(レーベル)
公式サイト(アーティスト)

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着