【Half-Life】
文:ジャガー
歌も楽器のひとつとして捉えつつも、歌
を立たせることが一番
「僕らがどうこう言っても、人それぞれ感じ方が違うと思います。曲を聴いてもらって、それが何処かの風景や、過去の出来事、現在、未来…何でもいいから思い浮かべてもらえたら、それが全てだし、何も感じなければメチャクチャ悲しいですけど、それもまた全てだし」(岡村)
自分たちの作った楽曲が、聴き手に委ねられた時の想いをこう語った岡村健人(Ba&Vo)。“いかに楽曲が聴き手の元で育っていくのか?”、その可能性を信じて本作を完成させたとのことだ。
「僕らから"初めまして"の作品になるわけだから、“恥ずかしい曲は作れんなー”って話をして、今持っているものを全部をぶつけようと。タイトルの“sympathy”って、同情や共感、共鳴という意味があるんですけど、いろんな想いをこの作品を通じて共感してもらえたらいいなっていう気持ちから付けました。まぁ、同情だけは避けないといけませんけども」(岡村)
1曲目「色彩」のイントロダクションからキャッチーでありながら、図太いロックサウンドを轟かせ、何とも言えぬ衝動が駆け巡った。さらに、上里洋志(Gu&Vo)の伸びやかな歌声を活かした緻密なアレンジにどんどん引き込まれる。
「考え方として、歌も楽器のひとつとして捉えつつも、歌を立たせることが一番ですね。あとはアレンジも慎重にゆっくり時間をかけて制作を進めます…が、自然に作っていても、やっぱり時間はかかってしまいます(笑)」(岡村)
何気ない日常がドラマティックに展開していく歌詞は、聴き手を掴んで離さない。作詞を担当した上里洋志と岡村健人は、それぞれどういう想いを言葉で伝えたかったのだろう。
「僕はメロディーと歌詞が同時に浮かぶので、言葉ひとつひとつのフレーズや響きを大切にすることを心がけつつ、日常を切り取った情景描写を描きたかったんです。ただ、2曲目『magic』に関しては、完全に言葉遊びですが」(上里)
「『想いの隅』は上京した頃を思い出しながら、家族に向けて書いたもので、一人暮らしをして初めて、わがままばかりの自分を今まで育ててくれたことの有り難さが分かったんですよ。でも、まだもうちょっとわがまま言って音楽を続けさせてもらうねって、そんなことをつらつらと書いた感じです。『色彩』は洋志が1番の歌詞を持って来てたので、そこから自分の中で物語を継続させて2番を書かせてもらいました。この曲でバンドのスタイル、方向性が見えたような気がするし、周囲からの評価が180度変わったので思い入れは強いですね」(岡村)