取材:道明利友

全26曲収録の2枚組で、初回限定盤のDVDには21曲のPVも収録と、ボリューム感たっぷりのベスト盤になりましたね。

太志
聴いてほしいものを挙げたら、本当はもっとたくさんあって。“これ入れたいけど、我慢…”っていう曲もね(笑)。“シングルを集めたもの”みたいにはしたくなかったんですよ。シングルという形はとっていないだけで、もちろんどの曲も僕たちはベストを尽くしてやってきたからこそ、いろんな曲をどんどん入れていったら1枚には収まらなくなっちゃったっていう(笑)。
OKP‐STAR
“Aqua Timez”っていうものが、より色濃く出ている曲たちをまとめたっていう感じですよね、うん。
TASSHI
あとは、僕たちをまだ知らない人たちだったり、シングルでのAqua Timezの顔しか知らない人に対して、“僕たちはひとつのバンドとしてこういう音楽をやってます”っていうことも知ってほしかったですし。

では、そのAqua Timezが色濃く出ている曲たちの中で、バンドとしての転機になったような曲を挙げるなら?

mayuko
それはたぶん、2ndフルアルバムの『ダレカの地上絵』の頃だと思うんですよ。1stフルバム『風をあつめて』を作って、こういうところが足りないんだなとか、もっとこうしたいとか、“Aqua Timezのこういう面ももっと出していこう”っていう意気込みを強く持って臨んだのが、あのアルバムだったんですよね。なので、その中の「一瞬の塵」「秋の下で」とかは、みんなの成長がひとつ形になった曲だなと思います。
太志
1枚目は、ある意味すごくソフトな感じ。キャッチーからポップで聴きやすいものになったなっていうのは、今振り返るとありますよね。そういうものを作った後だからこそ、もう少しトガッたものをやりたかったんだと思いますね。

新曲の「最後まで」もいい意味ですごく荒々しい曲ですしね。こういう曲を聴くと、Aqua Timezはキャッチーだけじゃなくて骨太な側面も持ってるんだと感じます。

大介
そうですね。この曲は作る前に、高校に行って部活をやってる子たちを生で見せてもらったんです(“ウォークマン”『Play You.』キャンペーン、『ひとつになれる歌』とのコラボレーション曲。ひたむきに部活動を頑張る学生など、自分らしく生きることを音楽の力で応援するプロジェクト)。その風景が…小細工なしのエネルギーみたいなものをすごく感じて。それを曲にそのまま乗せたいなと思ったんで、ギターのボリュームもどんどん上がっていったというか(笑)。小ざかしいことはやりたくなかったので、勢いとかパワーを最重要視で。

エネルギッシュさやキャッチーさなどAqua Timezのいろいろな面が見える本作で、先ほど話にもあったシングルでの顔しか知らないリスナーが聴いたら驚くかもしれないなって思う曲を挙げるならどれになりますか?

TASSHI
例えば、シングルだけを聴いている人は、明るい部分、幸せな部分の“光”みたいなイメージがわりと強かったりすると思うんですよ。そういうイメージを持ってる人には、このバンドが持っていた原点として「青い空」を聴いてほしいですかね。僕はAqua Timezには一番最後に加入したんですけど、この曲を聴いて衝撃を受けたことが、このバンドに入ろうって決めたきっかけだったんで。音楽を通して伝わる言葉の威力に僕も気付けたんで、そういうものをもっと多くの人に聴いてもらいたいなって。
太志
“どん底から見える光”って、きっとあって。“どん底から見上げた青い空”みたいなものを描けたかなと思ってますね。それは、自分の人生にそういう時があったからリアリティーがあるんですよね。

Aqua Timezの曲は、“光”だけじゃなくて“影”の部分を描いている作品が多いですよね。この歌詞にも出てきますけど、現実の厳しさと真正面から向き合っていたり。でも、前を向いて生きていこうっていう意志は、昔から一貫している気がします。

太志
そうですね。前向き一辺倒も大事だと思うんだけど、特にフェスとか行ってみると、やっぱり深刻さよりも大事なものがあったりするから。ああいうところでは音楽の開放感をすごく感じれるし。その両方が大事なはずだから、片方だけになりたくないっていうのは思いますよね。ポジティブなものも、ネガティブなものも…思いっきり暗い曲って、ポジティブに生きたくてしょうがないから“闇”も感じさせるのかなって思うから。これからもそういう曲を書いていくと思います。

“闇”から“光”に向かって行く、リアリティーのある曲をこれからも変わらずに歌っていくんでしょうね。今回ベスト盤を出したところで、今後の活動に対してはどんな思いがありますか?

OKP‐STAR
こうやって自分たちの曲が集まってみると、多少ですけど、自分たちのことを振り返ってみたりはしますよね。この5年間、おかげさまでずーっと走ってこれたというか。この曲の並びを見ると、あまりにも走ってきたというか、次々と曲を出してきたなって感じるところはすごくあるので、これからは何をするに於いても、まずみんなで話し合って、次はこうしたいっていうことをもっと自分たちで決めていかないとなっていうのは、今改めて思ってます。より、自主性を持って。
太志
そうだね。今はぶっちゃけ何も考えてないんですよ。今までがさんざん考えてきたから、いろんなことを(笑)。このスパンでこの曲作りをやってきたっていうのがあるから、それを今は一回真っ白にしてるというかね。そういう中で、描きたいことが見えたらまた筆を振るえればいいかなとは思ってます。1回自分をリセットして、また先に向かっていけたらいいですね。
Aqua Timez プロフィール

アクアタイムズ:2003年結成。05年8月にリリースされたインディーズ1stミニアルバム『空いっぱいに奏でる祈り』に収録された「等身大のラブソング」が注目され、80万枚の大ヒット、ウィークリーオリコンランキングで1位を獲得する。06年4月にはEPICレコードより2ndミニアルバム『七色の落書き』をリリースし、09年10月に発表した初のベストアルバム『The BEST of Aqua Timez』がウィークリーアルバムランキング初登場1位を記録し、史上初となるインディーズ、メジャー両時代での総合首位を獲得した。Aqua Timez オフィシャルHP
Epic Records Japan

OKMusic編集部

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