路上ライヴを中心に精力的な活動を行なう日比直博のシングルが届いた。何年経っても変わらない人を好きになる気持ち。うれしくて、悲しくて、胸が痛くて…そんな初々しい心情を綴った作品である。
取材:ジャガー

待望の全国リリースのシングルが完成しましたが、今のお気持ちを教えてください。

より多くの人に曲を届けられる手段ができたっていうのはうれしいですね。歌が好きで音楽をする方もいると思うんですけど、気持ちを伝えたくてその手段が歌だったっていう僕みたいなのもいて。だから、自分の音楽は相手に伝わらないと意味がないっていうのが大前提にあるんですね。例えば、“こんなこと思う”っていうのをピアノで弾き語って歌う、それを聴いた人が感じ取ってくれて、泣いてくれたりして、ここに共感が生まれることが何よりもうれしくて。自分は伝わったことで快感を覚える人間なんやなって改めて思います。

これまでにデモ音源や、ミニアルバムを制作されていますが、その度に「片想う」「野菜ジュース」は収録されていますよね。それだけ日比さんにとって思い入れある楽曲なのかなと。

そうですね。先日あったワンマンライヴのお客さんがほとんど路上ライヴで知り合った人たちで。他にも、いろんなかたちで僕のことを応援してくれている人たちに会えたのも路上のおかげで…僕にとって路上ライヴは大事な存在で、切っても切れない関係なんです。その路上ライヴでずっと歌い続けてたのが『片想う』だったので、1stシングルを出すなら自分の原点であるこの曲しか考えられなかったですね。

歌詞カードを見なくても言葉がすんなり入ってくる、切ないバラードですね。

“片想い中が一番楽しい”ってよく言うじゃないですか。でも、“毎日、相手を想うと切なくてしんどいわ”って僕は思うんですよ。途方に暮れる切なさって片想い特有の気持ちやし、どうせなら歌にしたいなっていうので、作り始めた曲なんです。でも、何かが足りなくてしばらく寝かせて置いてたら、ある時全然違う曲を作っていた時に “僕は君がいなくても生きていけるし 君は僕がいなくても生きていけるんでしょう でもどうしても一緒にいたいんだ”っていうフレーズが出てきて、これだと。この言葉を『片想う』に当てはめてみたらぴったりハマって。最後に出たフレーズが、実は一番言いたいことで、そのために他の歌詞もあるような曲になりました。

当たり前すぎる現実を改めて実感する時ほど、心苦しいことはないですからね。あと、2曲目「野菜ジュース」では、メロディーの明るさと歌詞の悲しさが正反対過ぎて驚きましたね。

ストーカーみたいな曲ですね(笑)。けど、歌詞が覚えやすいから、子供に一番人気があって、ドロッドロの失恋ソングを楽しげに歌われた時の罪悪感ったらないですね(笑)。そういう点では、少し申し訳ないと思います。でもね、子供の頃に何気なく口ずさんでた曲って体に染み付くもんで、大人になった時に改めて聴いたら当時の自分では気付かなかった歌詞の深さに気付いて、二度楽しんでもらえるんじゃないかなって。そういうのを考えると楽しみも増えますね。

大きい括りで物事を捉えた「色彩」には、どういう想いが込められているのですか?

いろんな捉え方があると思うんですけど、これは僕と音楽との出会いを書きました。音楽によって出会わせてもらった人、生き甲斐も見付けることができて感謝してるんです。その音楽への感謝の気持ちを初めて歌った曲ですね。今までは恋人、友人、自分と対人への歌だったので、こういうかたちの曲を書いて新しい一面を見ることが自分でもできました。
日比直博 プロフィール

82年9月26日生まれのO型。ストレートな歌詞、ストレートなメロディ、ストレートな歌声、直球ど真ん中の男性シンガーソングライター日比直博。関西のストリートを中心に活動を展開し、ライブハウスではバンド・スタイルでのライヴを行っている。

07年8月より音楽制作を始めたにも関わらず、08年3月にはライブウスで初ライヴを敢行。08年7月には、テレビ大阪が主催する『Next Break Kansai vol.1』にて準グランプリを獲得。その後、自主制作されたアルバム『一歩芽』をリリース。この頃からバイトを辞めて路上ライヴだけでの生活を始める。暖かいお客さんにも助けられ、ストリート・ライヴのみの販売にも関わらず4ヶ月間で売り上げ3,000枚を記録。

同年12月、梅田amHALLにて音楽歴1年未満では異例ともいえる500人ワンマン・ライヴを成功させ、同時に1stミニ・アルバム『路上の花』をリリース。本作も2ヶ月間で3,000枚の売上を達成する。09年7月には心斎橋BIG CATでのワンマン・ライヴを開催。オフィシャルHP
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