【サクラメリーメン】みんなを元気付
ける夢の詰まったアルバム
サクラメリーメンが約1年半振りとなる3rdアルバムを完成させた。新作『四次元アドベンチャー』はさまざまなタイプの楽曲が並ぶ、サウンドの冒険を楽しめるような作品だ。
取材:土屋恵介
新作『四次元アドベンチャー』は、夢いっぱいの作品にしたかったそうですが、そのきっかけは?
トータ
今回初めてコンセプトを立ててアルバムを作ったんです。最初に“DR(ディーアール)”って言葉を置いて、“ドクター”“ドラマ”“ドリーム”とか、音楽は“DR”でつながってくんだ、“DR”なアルバムを作ろうって呪文のように言ってたんです(笑)。音楽とは副作用のない薬である、みんなを元気付けることも背中を押してあげることもできるってとこから、夢いっぱいの作品を作ろうってつながっていったんです。
切なくも強いメロディーの「四次元ビューティーガール」、爽快なポップチューン「TRAIN」、失恋の思いを綴ったゆったりとヘヴィな「Happy End」など、楽曲的には今まで以上にバラエティーに富んでますね。
トータ
そもそも、僕が10代の時に聴きたかったアルバムを作ろう、そうすれば10代にドンピシャな作品になるなって思いもあったんです。コンセプトを置いたら今まで通りの元気なアルバムになるかと思ったら、逆に大人っぽい曲ができた。確かに僕が10代に聴いてた曲も、失恋してないのにその気分になるものだった。それは、背伸びして大人の世界を覗いてる感じが楽しかったんだなって。結果的にそういうアルバムができたのは面白かったですね。
自分たちの新発見もすごくあったんじゃないですか?
イッペイ
派手なベースを弾くのが好きだったけど、淡々としたものを弾くこともカッコ良いって思えたのは発見でした。
亮太
今回、最初に自分たちで作ったイメージを取り払って、新しい解釈でレコーディングするってことをしたんです。情熱的な曲にしたくて、思いっ切り叩いてもそうならないとか、自分たちが思ってる解釈と違うとこに正解があったのは新しい発見でしたね。
トータ
僕の場合は、作曲する僕、ギターを弾く僕、ヴォーカルの僕、それぞれ違う目線で入らないと音楽が小さくなるって気付きました。今まではメロディーを作る僕が一番割合を占めてた。ヴォーカルもメロディーを作る僕に歌わされてたとこがあったけど、今回はいろんな歌い方をしつつも、僕というヴォーカリストがちゃんと存在してるなと思います。
アルバム全体的な歌詞は、いろんなことがある世の中だけど前を向いて進んでいこうという思いが感じられました。街の雑踏から始まって終わる、ストリングスやホーン、ピアノも入った軽快なナンバー「アドベンチャー」は、それを象徴してるような曲ですね。
トータ
まさにそうですね。雑踏の音は、僕が渋谷で録りました。雑踏で始まって終わるのは、空想の世界を旅してまた現実に戻っていく、このアルバムは終わるけどあなたの現実のアドベンチャーは続くよって意味が込められてるんです。一枚で完結する映画のようなCDになりましたね。
充実の新作が完成して、今どんな感想がありますか?
トータ
今まではその時の記録ってアルバムだったけど、作品としてのアルバムが作れたのがうれしいですね。
亮太
レコーディングで苦労して、3人が自身の音の解釈を見つめ直せたのはすごく良かったなって思いますね。
イッペイ
CDはできたけど、曲はライヴで成長するので、よりいいものに仕上げられるように、今度はライヴでアドベンチャーしていきたいですね。