L→R GOT’S(Ba)、IWASAKI(Dr)、KEIGO(Vo)、KOHSHI(Vo)、TAKE(Gu)

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【FLOW】全てに意味がある、本当の意
味でのアルバム

FLOWの6thアルバム『MICROCOSM』は“小宇宙”をテーマとしたスケール感あふれる作品。壮大かつロック然とした楽曲たちが、自分自身の中にある小宇宙の旅へ誘う。現在のFLOWの全てが詰まった意欲作にビビれ!!
取材:フジジュン

アルバム制作は明確な展望がある中そこ
に近づいて行く作業だった

『#5』から約1年半振りとなるオリジナルフルアルバム『MICROCOSM』は、前作とはまったく違った角度から作品作りに挑んだ、スケール感のあるアルバムに仕上がりましたね!前作以降にリリースされたシングル「Sign」「CALLING」に続く点と点がしっかり線につながった印象をすごく受けました。直訳すると“(世界、宇宙の縮図としての)人間”という意味を持つアルバムタイトルにも相応しい作品になったなって。

KOHSHI
おぉ、もう100点の感想ですね! もう、ウチらしゃべることないです(笑)。

アハハ、ありがとうございます。

TAKE
まず今回、FLOWとしてはコンセプトアルバムが作りたかったんです。ただ曲を寄せ集めたアルバムではなくて、一曲一曲の持つ意味や縦の流れを重視して、まさに点と点が線でつながっていくような、本当の意味でのアルバム。だから、去年から明確な展望がある中でそこに近づいて行くために練り上げる作業を重ねていた。それがやっとかたちになったのが『MICROCOSM』なんです。

インスト曲「ECHOES」で始まり、一気にアゲるシングル曲から、メロウな「プラネタリウム」へと流れて。中盤、さらにヒートアップしたところから、美しいエンディングへ向かっていく。ライヴセットとしてもそのままいけるし、ストーリー性もありますね。

TAKE
どこか映画に近い構成というかね。頭から通してイントロデュースがあって、主人公がいろんな経験を経て、出口へ向かっていくという。聴き終わった後、映画を観た後に近いような印象や聴き応えがあるんじゃないかなって。こういう作品作りって、ずっとやりたかったけど、なかなか実現できなかったんですよね。

現在のFLOWなら、それを作れるって自信もあった?

TAKE
うん。『#5』で自己覚醒して、『NUTS BANG!!!』でハジけて、『カップリングコレクション』で確認して、『MICROCOSM』で現在のFLOWっていうのが十二分に表現できたと思ってます。自分たちの活動も縦の軸がしっかりつながっているんですよね。
KOHSHI
コンセプトアルバムってところで出発した時点では、どんな作品になるのか全然分からなかったんですけど、作業する中でそれぞれのアイデアも盛り込みながら、だんだんかたちができていきましたね。結果、すごい大満足できるアルバムになりました。FLOWの太い芯はしっかりありながら、今までの枠組みからはみ出したところがウマミだと思うんで。その辺を楽しんでもらえたら最高ですね。
KEIGO
『MICROCOSM』って一見、スケールの大きな作品に感じるんですけど、歌っていてスッと自分に入ってくる瞬間があったりするんですよ。レコーディングしていても、歌の印象が自分の中でどんどん変わっていったんです。大きなテーマを歌っている曲でも、自分の見てきた身近な景色がバーッと浮かんだりして。しっかり入り込めて作れた作品っていうのはすごく感じていて、それって今までにない感覚だったりしますね。

すごい分かる!  俺も今回、一曲一曲があまりにしっかり作り込まれているから、最初は情報量の多さに困惑したんです(笑)。

KOHSHI
素直な感想ッスね、それ(笑)。

それが歌詞でも宇宙とか星とか、すごく壮大な世界観を描いているけど、実はそこで歌っていることって本当に自分の身近なことだって気付いて。聴くうちにスッと入ってくる瞬間があるんですよ。

KOHSHI
確かに一回聴いただけじゃ分かんないと思うけど、それでいいと思ってるんです。最初はなんか情報量多くて、“なんだこれ!?”って感じで全然いい。

だからこそ、聴く度に理解が深まる楽しみかたがあったり、何度も繰り返し聴ける作品になったわけですし。それだけ作り手側の一曲一曲に対する思い入れも強いってことですよね。

IWASAKI
そうですね。今回は選曲の段階で曲順まで決まっていたので、本当に向かうべきところに向かって行くという感じで。この曲にこのドラムが入ってる意味とか、次の曲へつなげるためのドラムとか、いろんな要素を理解した上で叩くことができたので、一曲一曲への思いは自然と強くなってると思います。
GOT’S
インストや曲と曲がつながるアイデアが最初にあって…
TAKE
って話をしたら、一番食い付いてきたのがGOT’Sだったんです。“それ、やりたい(棒読みで)”って(笑)。
GOT’S
そう(笑)。そういう作品作りって今までやったことがなかったから単純に楽しみだったし、テーマに“小宇宙”って出てきた時点でいろんなアイデアも出てきたりして。例えば、「ENEMY」とかも普段、あんなにベースを歪ませたり、加工したりしないんですけど、そこにも意味があっていいんじゃないかと。

全ての歌や音、言葉に意味や裏付けを感じますよ。

TAKE
全部、意味も裏付けもありますよ!  最初の段階から必要なものだけが集まっていたからこそ、一曲一曲にその場所での在りかたみたいなものもあるし。例えば、「AMBIENCE」のストリングスだと、サウンドの世界観に前半で地球をスタートして、一周回ってきて後半で回帰するみたいな感じがある。デジタルなサウンドから人の温かみを感じる生楽器の音が入ってきて出口へ向かっていくという流れの中で、そこにある必要性があったり。

作りかたとしては、映画のように最初にプロットがあって、そこに必要な楽曲というピースを埋めていくという感じですよね。

TAKE
そう。そこでシーンごとの風景を楽器隊が作って、その風景に対するメッセージ、ストーリーをリリックで付けてもらったという感じですね。作品作りとしては非常に無駄なく、集中して作れた初めてのアルバムとも言えて。だからこそ、出来上がった時には“ヤバいな”って感じしか思わなくて、“これから大丈夫かな?”って。今は結構、抜け殻なんです(笑)。

アハハ。でも、コンセプトに合わせるために背伸びしたり、無理した音作りをしているわけでなく、あくまでFLOWの自然なかたちでの進化の延長線上だから。今作の向こう側も想像できるし、このままのセットリストでのライヴも想像できます。

TAKE
そうですね。『MICROCOSM』の世界観をライヴとして表現するっていうことはやってみたいです。ただある種、一本の世界観が完成しちゃってますから、“過去楽曲からどの曲が入ってくるんだろう?”ってのも正直ありますね。急にスカッとした曲が間に入ってくるのも変な感じだし。

でもまぁ、新曲たちがライヴに登場したら、ベテラン楽曲たちも黙っちゃいないでしょうね。“ワシの出番はまだか?”って楽屋でイライラしてますよ、きっと。

KOHSHI
アハハ。すごいんだけど、芝居が古い役者たちがね(笑)。
KEIGO
“…イケるかな? ワシらはいつまで待つんだ?”って。
KOHSHI
“今回、テーマが宇宙なんで着物はやめてください!”って感じで。そんなこと、誰も言えないですよね(笑)。

聴く人がそれぞれの小宇宙に旅できる一
枚になればいいなって

TAKE
あと、今回は全体通じてメッセージが強い作品になって、良い楽曲と良いリリックが相まったなっていうのはすごく感じていますね。俺ら、もはや駆け出しの新人ではないわけで、メンバーも30、40歳を超えた中堅バンドってところでの人間としてのリアリティーが出せたというか。今思ってること、思えてることがひとつメッセージとして伝えられるものになったんじゃないかなって。

俺も同世代ってところもあって、すごく響く部分が多っかったです。例えば、“男とは?”ってところや怒りを歌った「SOUL RED」であったり。「ENEMY」などは日常をシンクロさせたリアリティーを帯びたところでの、捨てられないパンクマインドみたいなものが呼び起こされました。

TAKE
この年になってくると、現実と直面しなければいけない機会も増えてきますしね。若い頃だったら見えなかったことや流していたことも、今はそういうわけにはいかなかったり。
KOHSHI
そこで、楽曲を通じて伝えたい想いみたいなところは昔から変わっていないし、結論もあまり変わらないんだけど、そこに対しての裏付けとか、過程みたいなところを今回は特に重要視して、表に出して歌詞を書いていますね。出口よりも骨組みを大事にしているから、歌っていることの安定感も違うというか。
KEIGO
普段の生活も20代の頃に比べたら、より現実感がありますからね。例えば、ニュースを聞いて感じる怒りだったりも、いろいろな経験を重ねた今の年齢だから生まれる感情だったりして。だから、歌ってる自分の中でも怒りや悲しみの対象が明確だし、KOHSHIの歌詞からもハッキリしたイメージが沸くんですよね。
KOHSHI
“MICROCOSM”ってタイトルで“小宇宙”って意味なんだけど、そこには人ひとりの中の小宇宙って意味が込められていて。そういう意味でも自分とガッツリ向き合えた一枚になったと思うし、十人十色でそれぞれの小宇宙があると思うので、聴く人がそれぞれの小宇宙に旅できるような一枚になってくれればいいなと思っています。

自分自身の中にある小宇宙へ旅立つきっかけになればと?

KOHSHI
そう。今作は4曲目の「UNION」から曲を書き出したんですけど、そこから短編小説じゃなくて、長編小説を書いてるような感覚で一気に書いて、行き詰ることもなかったというか。だって、全部つながってるんだもん!みたいな。だからたぶん、「UNION」ができた時点で、アルバム全体の世界観が決まっていたと思うんです。あと、この作品を制作している時、すごい影響を受けたのが、スタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』。歌詞のフレーズとか、映画ともリンクさせているところがあったりして…それがどこかは言わないんですけど(笑)。そんな仕掛けみたいなものを探すのも面白いんじゃないかな。
TAKE
仕掛けって意味では、サウンド的にもいろいろ散りばめています。音的なアプローチでは“ヒューマニズム回帰”みたいな裏テーマがあって。最近、デジタル化が進んで便利になっている反面、人としてのつながりが希薄になっているところもあるから。人ひとりの人生がいろんな経験で巡り巡って、最終的には人としての本質の部分に回帰していくみたいなことを表現したくて、1曲目の「ECHOES」と最後の「FOE」に「CALLING」のギターをサンプリングして、同じ音だけど違うふうに聴こえるって仕掛けが隠されているんですよ。言い出したら結構、仕掛けが散りばめられていますね。
KEIGO
全部知ろうと思ったら、攻略本が必要ですよ!(笑)
TAKE
アハハハ。もう一個言うと、「プラネタリウム」では、「流星」の時にギターで録った流れ星のフレーズを入れていたりして。デビューしてからの軸みたいな部分も、そういう仕掛けで表現できたらいいなと思ってやってたんですけど…まぁ、気付かないでしょうね(笑)。そこは押し付けるわけでなく、そういうところにまで気付くくらい聴き込んでくれたら、すげぇうれしいです。

レコーディングにはどれくらいの期間をかけたんですか?

TAKE
2カ月くらいですね。今回はありがたいことに、その期間はアルバム制作だけに集中してできたので、そういう意味でも一曲一曲のブレってのもなかったです。
GOT’S
前もってできていた曲って「Sign」くらいだったもんね。
KOHSHI
だから、逆に言うと11曲くらい一気に歌詞を書かなきゃいけなくて、そんな経験も初めてだから“えぇ!?”って。さっきは“作詞は順調でした”みたいなこと言ったけど、実際は“終わりが見えねぇ!!”ってかなり焦ってました(笑)。

アハハ。しかし、その甲斐あって自信を持って聴かせられる作品になりました。とにかく、まずはCDを聴いてほしいですね!

TAKE
そうですね。今回、かなりの挑戦作です! こういう作品を作らせてもらったことに感謝してるし、それに相応する作品は作れたと自負してます。もう、“ホントお願いします! 聴いてください!!”って感じで。今回ばかりは中途半端な結果では終わりたくないんです(笑)。勇気や元気を得てもらったり、聴く人の中で何かが変わったらうれしいし、僕らはそれをライヴで共有できるのが最高の幸せなので…(力強く)ぜひっ!
『MICROCOSM』2010年06月16日発売Ki/oon Records
    • 初回生産限定盤(DVD付)
    • KSCL1598〜9 3200円
    • 通常盤
    • KSCL1600 3059円
FLOW プロフィール

フロウ:KOHSHI(Vo)、KEIGO(Vo)、TAKE(Gu)、GOT’S(Ba)、IWASAKI(Dr)の5人組ミクスチャーロックバンド。2003年1月に発表した海援隊の「贈る言葉」のカバーで注目を集め、シングル「ブラスター」でメジャーデビュー。疾走感あふれるエネルギッシュなバンドサウンドと思わず身体が弾み出すようなメロディーを武器に、全国でイベント出演やライヴを繰り広げる。『NARUTO -ナルト-』『交響詩篇エウレカセブン』『コードギアス』をはじめ、多くのアニメにも楽曲を提供し、06年以来、海外での活動にも精力的に取り組み、アジア、北米、南米、ヨーロッパなど、これまでに19カ国59公演を超えるライヴ実績を持ち、ライヴバンドとして国境を越えて音楽を届けている。22年にデビュー20周年突入イヤーを迎え、11月にORANGE RANGEとのコラボ楽曲「デイドリーム ビリーヴァー」を含むシングルをリリースする。23年7月にはアニメ提供楽曲だけで行うワンマンライヴ『FLOW 20th ANNIVERSARY SPECIAL LIVE 2023 ~アニメ縛りフェスティバル~』を幕張メッセ国際展⽰場で開催予定だ。FLOW オフィシャルHP

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