L→R 喜多建介(Gu&Vo)、後藤正文(Vo&Gu)、山田貴洋(Ba&Vo)、伊地知 潔(Dr)

L→R 喜多建介(Gu&Vo)、後藤正文(Vo&Gu)、山田貴洋(Ba&Vo)、伊地知 潔(Dr)

【ASIAN KUNG-FU GENERATION】アジカ
ンはアジカンを越え、最前線の先へ進

誰も越えていかないから自分たちが、俺
が越えていく

冒頭の「新世紀のラブソング」「マジックディスク」でいきなり新しいスイッチがバチーンと入る感覚がありますよね。

後藤
如実に入ってたと思います、新しいスイッチ。メンバーも分かんなかった時とかあるんだろうなと思いますよ、今から思えば。“行くよ、先に!”みたいな感じだったから。
喜多
今までと違って“どんどん先に行くよ”っていう感じで、ケツを叩くようなこともしないで先に進んで行く感じがあったんで。そっちのほうが逆に“やべえ! 頑張んなきゃ!”って思いましたね、こっちは。

その“新しいものを作るために、まず自分たちが変わるんだ”っていう気分の最たるものが「イエス」ですよね。“「繋いで」それだけを頼りに意気込んだ彼らの 屍 掻き集めるなら新しい何かを”って…。

後藤
アジカン殺しの歌ですからね(笑)。“屍だ”って言いきってるわけですから。

デビューの時から言ってましたからね。“自分たちの屍を乗り越えて、みんなでロックを先に進めてほしい”って。

後藤
言ってましたね、うん。自分たちで自分たちを殺して、もう1回アップデートしていくっていう。誰も越えていかないから、自分たちが越えていくっていうか、俺が越えていく!っていう。すごい選択ですよね(笑)。そういう潔さが、今回のアルバムになってると思うんですよね。今までの俺たちが積み上げてきた流れからもガラッと変わったような、血を入れ替えたような感じもするしね。

そんな“アジカン殺し”の曲が、ニューヨークでのレコーディングっていう新しい手段で制作されてるのもいいですね。

伊地知
不安も多かったですけどね。大金はたいて行って、失敗したらどうなるか分からないじゃないですか。向こうのエンジニアさんも1回も一緒にやったことない人だし。“ダメだったらダメだったでいいかぁ”ぐらいの気持ちで行ったんですけど…いやあ、良かったですね。
後藤
異文化に触れながらレコーディングできるし。気持ちの切り替えもできるしね。
伊地知
まず気分が変わりますね、何日かいると。それによって、曲の完成形が変わってくるんですよね、日本にいた時の完成予想図と。日本だとがっちり細かいところまで作り込んだほうが“完成度が高い”って思うんですけど、ニューヨークにいる時は“今、この雰囲気をパッケージングできたらいいな”って。そういうやわらかい気持ちを、そのままレコーディングできたなっていう。ちょっとのアラとか気にならなくなるし。
喜多
機材もスタジオにあったエフェクターを借りたりしてやったんで。いつものギターの音とは違う感じになってて。あと、作業が早かったんで、気持ち良かったですね。後から“ああしよう”“こうしよう”とかもなくて。気持ちの踏ん切りが付くというか。
後藤
なんか、そういうほうがいいと思うなぁ。建ちゃんのギターもそうだし、山ちゃんもそうなんだけど…みんな、馴染みの居酒屋に行って“いつもの”って言う感じの人たちなんですよ(笑)。“これがいい”っていうのがありすぎちゃうんで。音楽なんて出たとこ勝負みたいなところがあるんですよね。いくら頭の中で描いてたって、即興で出した音のほうが良かったら、“そっちで行っちゃおう!”っていう時もあるんだけど、そういうのって絶対に正解で。アジカンはすごく真面目なバンドだから、ついつい作り込んじゃうんだけど。“いいんじゃね? この辺で”ってもう日本でイメージ作りとかセッションとか終わってるからね。録る時は、もうエネルギーが録れればいいから。ニューヨークではそういういいムードの中で、げらげら笑いながら楽しく録れたんでね。すごく良かったと思います。

そして、これまで開催してきた『NANO-MUGEN FES.』とは違う試みとして、『NANO-MUGEN CIRCUIT. 2010』を7月に開催するわけですけど。

後藤
やっぱり、毎年『NANO-MUGEN FES.』をやるキツさっていうのがあって。2年に1回、3年に1回ぐらい休みたいっていうのがどうしてもあるんですよね。だけど、ただ休むのはすごい嫌で。だったら、普段来れないような人が住んでる場所に行きたい!って。今回は京都、東京、横浜、広島っていう感じになったんですけど、本当は四国とか九州とかの子に、洋楽のバンドをフラットに観てもらいたいなって。まあ、とにかく海外のバンドは地方に来ないですからね。東京にいたら、毎日どこかで面白いバンドが何かライヴやってるから。ずるい!って思う。そういう体験を、どうにかして地方の若い子とかにも届けたいと思うんですよね。

今回、RA RA RIOTと一緒に回るっていうアイデアはどこからきたんですか?

後藤
俺が“めちゃめちゃ良い!”と思ってずっと聴いてるんですけど、なかなか日本には呼ばれないし。NADA SURFに引き続きね、“観たいんだけど、このままじゃ日本に来ないな”っていう人たちは、自分たちからアプローチしていくしかないから。音もね、チェロとかバイオリンとかが入ってるバンドなんで、温かくて面白いし。あんまりスポーティーじゃないところからね、音楽の楽しみかたをもう1回見直してみたい気もするし。モッシュ、ダイブがないとライヴじゃないっていうのはおかしいと思うし。みんな好きに楽しめばいいと思うしね。

『NANO-MUGEN FES.』恒例の、キヨシくんデザインのゲストリアム・コーナーみたいな仕掛けはあるのですか?

伊地知
今のところはオファーも来てないですけど(笑)。
喜多
転換中に前説やるのもいいね。
後藤
ああ、なんか『NANO-MUGEN』っぽいものにできたらいいですね。キヨシ、なんかお店出しなよ。カレー屋とか。
伊地知
…うん。やっていいならね。
後藤
“カレー煮込んでて、アジカンのライヴ出れませんでした!”みたいな。“今、手ぇ放せないんです!”って(笑)。
伊地知
それ、本業変わってるし!(笑)
『マジックディスク』2010年06月23日発売Ki/oon Records
    • 【初回生産限定盤(DVD付)】
    • KSCL 1610〜1 3570円
    • 【通常盤】
    • KSCL 1612 3059円
ASIAN KUNG-FU GENERATION プロフィール

アジアン・カンフー・ジェネレーション: 1996年に関東学院大学の音楽サークルで結成されたロックバンドで、愛称は“アジカン”。2002年にミ二アルバム『崩壊アンプリファー』が話題を呼び、03年にキューンレコードよりメジャーデビューを果たす。以降、精力的に作品を発表し続けている。音源のリリース、ツアー、主催イベント『NANO-MUGEN FES.』と精力的に活動を展開。これまで多くの作品がタイアップに起用され、21年には劇場版『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』の主題歌、挿入歌を手掛け話題となった。同年、結成25周年を迎え、22年3月に10枚目となるアルバム『プラネットフォークス』をリリースし、全国ツアーを開催する。ASIAN KUNG-FU GENERATION オフィシャルHP

OKMusic編集部

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