【Suara】聴いてくれる人がいる限り
は心に響く歌を歌いたい

今年の1月2日と3日に行なったワンマンの模様を収めたライヴ作品をリリースするSuara。当日のライヴの感想について訊くと同時に、1stミニアルバム『アマネウタ』を再販するあたって再確認したという歌に対する想いについても語ってもらった。
取材:石田博嗣

今年の年明けに行なわれたライヴの映像作品とCDが発表されますが、まずは当日の感想をうかがいたいのですが。

2日間のワンマンライヴって初めてだったので、どう走り抜ければいいんだろうっていう感じでしたね。なんで、いつも以上に緊張してました。ワンマン自体が1年半とかに1回のペースなので、前回よりもいいライヴを…当たり前のことなんですけど、自分の中でハードルを上げていたし、曲の構成もアップテンポものからアコースティックなものまであって歌でメリハリを付けないといけないということもあったし。それに年始めでもあるので、今年そのものの私の活動だったり、今後のSuaraというものを左右すると思って、かなり気合いを入れて臨みました。個人的なところでも結婚後初めてのワンマンだったので、ファンの方の反応が気になったし…

すごいプレッシャーですね(笑)。でも、客席ではサイリュームが振られていたりして、お客さんと一緒にライヴを作っている感じでしたよ。

そうですね。毎回感じることなんですけど、今回は特にお客さんあってこその私だなって感じました。お客さんのパワーをもらった瞬間に自分の力に変わっているのが実感できたというか。理想のライヴができたという感じです。

4thアルバム『キズナ』の発売記念ライヴでもあったわけですが、『キズナ』で強まったロックテイストも表現できたのでは?

終盤にバンドサウンドの曲を持ってきたんですね。歌に対する想いを語った後に、『天使がみる夢』というロックテイストの曲に入っていったんですけど、その流れが作れたことはすごい成果でした。だから、ある時はアニソン歌手であり、ある時は演歌歌手…

演歌っすか!?

アコースティックコーナーとかは歌謡曲っぽい曲を歌い上げているので(笑)。で、終盤ではロックテイストの曲を吐き出すような感じで歌う歌手であるっていう。ひとつのライヴでいろんな面を観てもらえたんじゃないかって思いますね。

確かに。では、このワンマンライヴで得たものというのは?

反省点が多いんですけど、“次は何ができるんだろう?”ってこれからのSuaraの活動が純粋に楽しみに思えましたね。自分で限界を決めてしまうところがあったのが…例えば、“Suaraはアコースティックが真骨頂”みたいなことをファンの方が思っていて、私もそういう自覚があったんですけど、終盤の流れでそういうものが壊せたというか。だから、これからもっといろんなことができるんじゃないかって思ってます。

映像作品にはMCが入っているのですが、やはり「天使がみる夢」の前に話された歌に対する想いの部分は印象的でした。ステージに一度登ってしまったら自分の意志では下りられないという。

『天使がみる夢』を歌う前のMCだから、あの言葉が出てきたんですよ。“終われない夢のなか 立ちすくんだまま”ってアカペラで始まるんですけど、“終わらない夢”じゃなくて“終われない夢”っていうところが重要で…作家さんに書いていただいた歌詞なんですけど、私の気持ちを表現してくださったなって。“歌い続けてほしい”っていうファンの声もいただいているし、自分ひとりの力でステージに上がれたわけじゃなくて、いろんな人の支えがあったからこそなんで、自分からステージを降りちゃダメだって思うんですよね。もちろん、自分も終わりたくないし。そういうことをライヴをやる度に強く思うので、その気持ちを正直に話したっていう感じです。

このライヴ作品がリリースされた翌月には、1stミニアルバム『アマネウタ』がリミックス&リマスターされてSACD(ハイブリッド盤)で再販されるとのことですが。

2006年に出した音源なんですけど、そこに『天音唄(あまねうた)』という新曲も入ります。7曲で作り上げていた世界観に合うものっていうところで作った…原点に立ち返って、このアルバムに入れるべき曲を作ってもらったという感じですね。歌詞は私が書いたんですけど、これまでの5年間のことというか、歌に対する想いや決意とかを描いてみました。そういう意味では、今年の9月でデビュー5周年になるんですけど、この時期に一枚目を再販して、さらに“今の私はこれです”という曲を追加して出せるのは深い意味があると思いますね。歌詞の中に“運命(さだめ)のまま 私は歌う”っていうフレーズがあるんですけど、まさしく運命なのかなって(笑)

原点を振り返ってみて、自分にとっての歌というのものは、歌い始めた頃と変わりました?

そこが一番難しい…。ずっと“自分にとって歌って何だろう?”って問い続けてきたし、その答えを探すためにこれからも歌い続けていくんだろうなって気がしてますね。やっぱり、デビューした頃とは明らかに変わってると思うんですよ。環境も変わったし、お客さんの目というものもあるから“何を求められているんだろう?”っていう葛藤があったりするし、商業ベースの中に入ってしまうと“売れたい!“とか考えるようにもなるし(笑)。歌詞にある“浅き夢に 心奪われ”という部分はそういうところだったりして、“私は何のために歌っているんだろう?”って悩んでしまうこともあるんですけど、聴いてくれる人がいる限りは心に響く歌を歌いたいという思いは変わらないなって。“アマネウタ”というのは“あまねく響き渡っていきますように”という想いを込めて作った造語なんですけど、“心に響く歌を歌い続けたい”という気持ちはデビューした時から変わってないですね。だから、『アマネウタ』を再販するにあたっていろいろ振り返っていくと、行き着くのは“あまねく響く歌を歌いたい”というところなんだっていうのを再確認できました。
Suara プロフィール

スアラ:学生時代からバンド/ユニットを組み、精力的にライヴ活動を行なう。2005年9月に「睡蓮-あまねく花-」でデビュー。TVアニメ『ToHeart2』のエンディングテーマ「トモシビ」、同じくTVアニメ『うたわれるもの』のオープニングテーマ「夢想歌」を歌うなど、その歌声がアニメ・ゲームファンをはじめとする広い層に届き、注目を集める。10年から香港・韓国などでライヴを行ない、韓国や台湾でもCDを発売するなど、ワールドワイドな広がりをみせている。“Suara”とはインドネシア語で“声”を意味する。Suara オフィシャルHP

OKMusic編集部

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