【POLYSICS】いつの時代でも聴ける、
時代感のない音楽を作り続けたい
ミニアルバム『eee-P!!!』から、わずか3カ月。3人になって活動再開した、POLYSICSのアルバム『Oh! No! It’s Heavy Polysick!!!』が完成。中毒性をはらんだ新鮮かつ斬新、過剰で過激な新生POLYSICSサウンドは激ヤバ!!
取材:フジジュン
アルバム『Oh! No! It’s Heavy Polysick!!!』が完成しましたが、新生POLYSICSの1stアルバムと言っても良い、勢いとフレッシュさのある作品に仕上がりましたね!
ハヤシ
そうですね。活動休止していた時から“早くこの3人でアルバム作りてぇな”と思っていたので、今はまず完成して良かったなって気持ちと、まさに1stアルバムみたいなフレッシュな気持ちで制作できたなって気持ちで。“ヤッターー!”って叫びたいくらいです(笑)。
バンドサウンドとデジタルサウンド、さらに3人のキャラの全てでグイグイ引っ張る勢いと求心力があって。新生POLYSICSのベーシックとなるであろう作品だなと。
ハヤシ
『eee-P!!!』はまだ3人でライヴをやる前に作った作品で、そこからライヴをやるようになってアルバム制作に入って。今の自分たちを認識しながらできたのが大きくて。
フミ
レコーディングのやり方も変わって、今回録音からエンジニアのアレックス(ニューポート)と一緒にやったり、3人になっての新しいやり方も見つけつつあって、勉強にもなったし。
ヤノ
すごい濃かったんで、“長かったな!”って気持ちもあるんですけど、出来上がってみるとアッと言う間ですよね。
フミさんの言う“3人になっての新しいやり方”というのは、具体的にはどんなやり方だったのですか?
フミ
3人の個性を出してってところが以前は想像でしかなかったんですけど、ツアーを経たことで具体的に見えてきたんですよ。例えば、ヤノのチューニングでも好みが全面に出るところがあったり、3人でのライヴ感みたいなものが曲作りやレコーディングでも出せたり。今回、1カ月まるっと作業に費やすことができたから集中して作業する中で入り込みやすかったし、3人の個性もより濃く抽出されたかなって。
レコーディングは復帰ツアーの後に行なったんですか?
ハヤシ
そう。曲は揃ってたんだけど、“もうちょっと作りたい”ってツアー後にまた曲作りして。「Bleeping Hedgehog」とか「Smile to Me」、「サブリミナル CHA-CHA-CHA」とか、また新しいアイデアもどんどん出てきて、アルバムの世界観もまとまってきた。それでアレックスが来日して、作業に入って。彼は頭の中に録りたい音があって、そこに近づける音作りをするんですけど、すごいこだわりがあって、ドラムの音決めで6時間くらいかけたりするんです(笑)。でも、すごい良い音ができていくのが分かるから、僕らもその時点で“良いかも”って手応えがあって。“Oh! No!”のひと言にもすごいこだわって…ね? アレックスが“その発音は違う”って、もう何度も何度もやり直して…。
ヤノ
次の日に繰り越したりして“Oh! No!”疲れした。
アハハ、“Oh! No!”疲れ。それはタイトルにも“Oh! No!”と入れたくなりますよね(笑)。
ハヤシ
そうそう、“ここが今回のレコーディングの山場だな!”と思って、もともとは“It’s Heavy Polysick!!!”だったんですけど、“Oh! No!”を足した(笑)。
制作前から、テーマや方向性はある程度見えていた?
ハヤシ
やっぱり“Heavy Polysick”って言葉が大きかったかな。1曲目「Heavy POLYSICK」は活動再開する時、ライヴの楽しいイメージを想像して作ったSEで。04年くらいにアメリカツアーに行った時、Tシャツに入れた言葉で気に入ってたんですけど、改めてPOLYSICSを意識したところ、このタイトルが一番しっくりくるなって。で、“Heavy Polysick”って言葉を意識して曲を作ったら良いんじゃないかと思ったし、そんな世界観でアルバムを作りたいと思って。やりたいことはいろいろあるけど、“Heavy Polysick”って軸がブレないように作ろうと思ったんです。
自分が重度のポリ病であることを自覚して、聴く人もポリ病に侵されるような作品をね(笑)。何度も聴きたくなる中毒性があるし、13曲目「Have a Good Night」を聴く頃にはPOLYSICSの新しいかたちがハッキリ見えてくるという。
ハヤシ
僕もこの曲ができて、“もっと自由な発想で曲作りできるな”と思って。僕のルーツはニューウェイブやテクノポップだったりするけど、そのままやってもつまんないし、フミは60・70’SのUKロックだったり、ヤノはメタルだったりを通ってるわけで。3人のパーソナルがギュッと集まって、いつの時代にも当てはまらないような音楽ができればって。POLYSICSはずっとそういう音楽を作ってきてるつもりだけど、今は特にいつの時代でも聴ける音楽、何十年聴いても色褪せない面白い音楽みたいなものを作っていきたいって気持ちがあった。逆に言うと時代感のないものを作り続けていきたいって気持ちがすごく強いんです。
その結果、POLYSICSでしかない音楽ってところにもつながるわけですね。そして感染源はPOLYSICS、治療方法もPOLYSICSにしか分からないPOLYSICKに侵される(笑)。
ハヤシ
今はもう、新しいアイデアがあって。また面白そうなことできそうだぞ!って思ってるんです(笑)。“こんな作品ができたから、次はこんなこともできる!”って、その繰り返しでずっと続いてきたバンドだし、これが完成形でこれを続けてくってのは面白くない。完成しちゃったら終わりですから。だから、あるものは出し切るけど、次はそれを良い意味で解体して、より良いものを作りたいって毎回思っちゃうんです。常に聴く人を驚かせ続けたいですからね。
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『Oh! No! It’s Heavy Polysick!!!』2011年03月09日発売Ki/oon Records
- 初回生産限定盤(DVD付)
- KSCL 1731〜2 3600円
ポリシックス:1997年3月に結成。結成当初から揃いのバイザー、特異なライヴパフォーマンス、爆音ギターとシンセサイザーやボコーダーなど、コンピューターミュージックを融合させた稀有なサウンドで注目を集める。日本武道館単独公演や250本以上の海外ライヴなど、精力的に活動。結成20周年となる17年、10月に新メンバーのナカムラ リョウを迎え4人体制となり、11月にはニューアルバム『That's Fantastic!』をリリースする。POLYSICS オフィシャルHP