【日之内エミ】自分の感じた思いを
素直に歌にして伝えたい
心にストレートに届く、説得力にあふれた歌を聴かせてくれるニューミニアルバム『VOICE』を携え、日之内エミが音楽シーンの表舞台に帰ってきた。
取材:土屋恵介
2008年のアルバム『ME...』から約2年半振りの新作発表となりますが、その間の活動を聞かせてください。
制作環境が変わりましたね。メジャーでの契約が終了したりネガティブなこともあったんですけど…ただ、私ってとことん落ち込んだとしても、すぐに次の行動へ移せるタイプなんですよ。“音楽続けられるのかな?”と悩みましたけど、その翌日には今後どうしていけばいいかを考えたり、曲を書いたりしてました。
悪い状況をもプラスにとらえて進んでいったと。
ほんとそうで、“これもまた良い曲書けるチャンスだ”って思ったりして(笑)。あと、その間に他のアーティストへ楽曲提供したり、プロデュースしたりと新しい挑戦もしたんです。すごく勉強になりましたね。
今までと違う経験を積むことで、ご自身としても日之内エミというアーティストのカラーがより見えたこともあったのではないですか?
ありましたね。前は手探りだったけど、自分のカラーや伝えたいことをしっかり掴めた気がします。私って、まっすぐな性格で、しかも人一倍不器用なんです(笑)。ただ、器用に生きるより、傷付きながらでも自分が信じた道を行ったほうが人生楽しいし、成長できると思っていて。そんな自分の感じたことを素直に歌にして、リスナーに近い視線で伝えたいって思いが強くなりましたね。
まさに今回のミニアルバム『VOICE』は、生きてく上での前向きさ、人間愛の詰まった作品になりましたね。
頭で考えるんじゃなく、感じたことを書いていったら自然とそうなったんです。みんな生きてると絶対何かにぶつかると思うけど、気の持ちようでどうにでも変えていける。せっかくの生命だし、ポジティブに生きたほうが楽しいってことを歌いたくて。歌詞も、恋愛から人生、自分について歌ったり、今までよりバラエティー豊かになりましたね。
歌い方も、高いところを目指して突き進んでいく思いを歌ったポップな「Catch Me!!!」はすごくパワフルですし、過去の恋愛を振り返るバラードの「Diary」ではウィスパーヴォイスと、曲それぞれで違いますよね。
歌に関しても、感情の流れに身を任せて歌ったら、自然といろんな表情が出てきたんですよ。
AZUさんをフィーチャーした「小さな光」では、生きていく道の先を照らすような温かさと力強さがありました。
この曲は、アーティストとしての気持ちが出てます。私って、泥臭くてロックな気がします(笑)。例えば、THE BLUE HEARTSや長渕 剛さんは音楽を通して生き方を見せて、みんなの心の支えになったりしているじゃないですか。それがしっくり来るし、私もそうなっていきたいなって。
頼もしいです(笑)。あと『VOICE』を聴くと、R&Bの枠を超えたアーティストになられたんだなとも感じました。
確かにそうですね。歌に目覚めたきっかけはR&Bだけど、アーティストとして成長していく中で、ロックやいろんな音楽を好きになって、作る曲もどんどんジャンルの枠が外れていった。その曲たちをまとめてるのが、自分の声だったんです。声で人に思いを伝えるだけじゃなく、私は音楽のイメージを膨らませたりもする。私の声は、音楽やる上で一番大事な楽器なんです。そんな気持ちが、タイトルの“VOICE”には込められてますね。
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