L→R NOHANA(Ba)、AIMI(Vo&Gu)、SHIHO(Dr)

L→R NOHANA(Ba)、AIMI(Vo&Gu)、SHIHO(Dr)

【ステレオポニー】恩人の死と向き合
い、決意を新たにした
ステレオポニー初のバラード

映画『天国からのエール』の主題歌でもある、シングル「ありがとう」をリリース。最後まで伝えることのできなかった大切な人への想いを込めた、感涙のバラードに仕上がった。
取材:榑林史章

「ありがとう」は、ステレオポニーの育ての親である仲宗根 陽さんの実話をもとにした映画の主題歌ですね。

AIMI
仲宗根さんのことは、みんな“ニイニイ”と呼んでいて。恩師と言うには固すぎるし、家族みたいな存在でした。だから、2年前にニイニイが亡くなって、いつかニイニイのことを歌にしたい、しないとダメだと思っていたんです。でも、ニイニイに伝えたかった言葉は一曲には収まりきらないし、逆にそれをひとつの曲にしてしまうのは怖いという気持ちもあって、なかなか踏み出せずにいて。でも、この映画をきっかけにやっと作ることができました。

ステレオポニーも練習していたという、仲宗根さんの作った“あじさい音楽村”はどういう場所だったのですか?

AIMI
みんなが通っていた学校のすぐ裏にあって。もともとはお弁当屋さんで、10年くらい前から音楽スタジオもやっていたんです。白いベンチがあって、いつもみんなそこでお弁当を食べて、他愛のない話をして。バンドの練習して、勉強を教わったりもしたし。寝る時以外はずっとそこにいたので、本当にみんなのおうちみたいな場所でしたね。

歌詞には、その白いベンチも出てきますね。

AIMI
あじさいといったら、白いベンチだよね。
NOHANA
ベンチでさんぴん茶を飲んで、しゃべって。
SHIHO
その白いベンチにはニイニイの特等席もあって。そこは誰も座っちゃいけないんです。

練習スタジオは手作りだったそうですが、それは自分たちの手で建てたのですか?

NOHANA
初期のスタジオは当時の先輩たちが建てて、もうひとつあるスタジオは自分たちも参加しました。ひと夏をスタジオ作りに費やした感じですね。高校の登校時間よりも早く行って、スタジオを作って、練習してっていう。
SHIHO
自分たちでセメントを練ったり、コンクリート運んだり、ペンキ塗ったり。結構な力仕事もやったよね。
AIMI
その時にいつも履いていたズボンは、良い感じにペンキが付いていて。それは今も宝物です。

そんな「ありがとう」はアコースティックのバラードで、しっとりとした楽曲ですね。どんな気持ちで作ったのですか?

SHIHO
伝えたい想いというよりも、ニイニイに対する自分の中の感情を大事に演奏しました。心の中のいろいろな感情って、ちゃんと込めれば音から伝わるんじゃないかと。録った後には、力強さの中に優しさもある良いテイクだったとみんなから言ってもらえて嬉しかったです。すごく良い経験になりました。
NOHANA
ニイニイは、いつもみんなのことを見てくれている人だったから、今も見守ってくれていると思いながら、温かい眼差しを感じて演奏しました。
AIMI
歌は沖縄で録って。みんなでニイニイのお墓に行って、“ニイニイ録ってくるね”って、挨拶してから録ったんです。沖縄っぽいメロディーの部分は、自然と出てきたもの。もしかすると、デビュー前に沖縄で曲作りしていた時の気持ちと近かったのかなって思います。

《お願い神様つれてかないで》のくだりは、聴いているほうも泣けてしまいます。

AIMI
実は、最後の最後までニイニイは容態を私たちに知らせるなと周りに言ってたみたいなんです。だから、私たちはずっと何も知らず、ニイニイはいつも通り元気なのだろうと思っていて。それで、連絡を受けてすぐニイニイのもとに行ったのですが、最後の瞬間には立ち会えませんでした…言いたいことがいっぱいあったのに!って、その時はそんな気持ちだったんです。でも、こうしてその時伝えたかった気持ちを込めることができたし、それをみんなに聴いてもらうことでやっと向き合えたし、またここからスタートできるって思いました。

きっと天国で聴いて“よくできた”って言ってくれるのではないですか?

NOHANA
いやぁ~、それはないでしょう(笑)。
AIMI
“よくできた”なんて絶対に言わないよね。そういうことを口にする人じゃないから(笑)。
SHIHO
基本的には厳しいけれど、ふとした行動や言葉にすごく優しさがある人でしたね。きっと笑いながら“もっと頑張れ”って言ってるんじゃないかな?(笑)

カップリング「ツキアカリノミチシルベ」のアコースティックバージョンも含め、今回は一枚を通して、すごくしっとりしたバラード作品になりましたね。

AIMI
10代の頃は、静かな曲をやるという考えはなかったですよね。抵抗があったわけではないけど、ちょっと違うっていうか…賑やかな曲のほうが好きだったし。でも、今回をきっかけにこういう静かな曲をステレオポニーでやるのも良いなって思うようになりましたね。もっともっと歌っていきたいと思う一枚になりました。
SHIHO
バラードは聴くのは好きだけど、自分でやるとなると結構難しくて。勢いだけじゃダメで、今回もサビでバーンと行きたくなるところをセーブするのが大変でした。もっといろんなタイプのバラードにチャレンジしてみたいです。
NOHANA
新しい挑戦になったし。今までのステレオポニーを知ってる人たちが、一体どういう反応をしてくれるのかなって。すごく楽しみですね。

10月から始まるツアーが見ものですね。

NOHANA
対バンツアーはあったけど、ワンマンツアーは1年半振りくらいです。
AIMI
もっとお客さんと近くなれたらなって。ワンマンだからできることをいっぱいやりたいなって思います。
SHIHO
まだライヴでやったことのない曲がたくさんあるから、それをやるのが楽しみだし。とりあえず、ぶっ飛ばしたライヴにするつもりですので、よろしく!
AIMI
少し大人になったライヴを楽しみにしてください。
ステレオポニー プロフィール

未成熟で、無防備。が、ゆえに、美しい。そんな表現が似合うAIMI(vo&g)、NOHANA(b)、SHIHO(dr)から成る沖縄出身のガールズ・ロック・バンド。葛藤と劣等、もちろん恋や友情など、どれもが一番濃い時期だから、こんなにも純粋無垢な音なのだろう。

『懐メロの最新型』というとまるでアベコベだが、しかし確実に懐かしく、そして彼女たちの同世代にとってリアルでしかない、ステレオポニーの世界観。その多感さを象徴するかのように、尖っていて、切なくて、同時に清々しくもある。怖いもの知らずだけど、怖いものだらけな10代をかき鳴らす、その煽情的なロック・サウンドで、ティーンたちのアジテーターとなるのだ——。ステレオポニー オフィシャルサイト
オフィシャルHP
公式サイト(レーベル)

OKMusic編集部

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