この春、高校を卒業する沢井美空が紡ぐ卒業ソング。卒業と同時に近づく恋のタイムリミット…胸を締め付ける片思いの嬉しさと切なさをさわやかに歌い上げている。
取材:ジャガー
これまでのシングルはピアノが主軸だったので、打ち込みが前面に押し出された「卒業メモリーズ~サヨナラ、あなた。~」は印象が変わりますね。
私自身、高校卒業というひとつの節目に立っているので、今作は一歩踏み出すためのメモリアルな一枚にしたいと考えていました。この曲が浮かんだ時は、ちょっと古風な…柔らかい春をイメージしたメロディーと《あなたに会いに学校に行く あなたのために早起きをする》という冒頭部分の歌詞が同時に浮かんだんです。古風なメロディーに打ち込みが入るのは今までになかったので、新しい風が吹きましたね。
打ち込みが入ることで、疾走感も出ていますよね。
“現役女子高生シンガーソングライター”という肩書きが外れるため、新しい一歩を踏み出すイメージとしてスピード感は大切でした。実は、アコースティックバージョンも作ったんです。両方とも本当に良い仕上がりでギリギリまでどっちをシングルリリースするかで悩んでいたんですけど、今回は新しさを選びました。
“卒業”だけにスポットを当てたわけではなく、学生生活の何気ない日常と片思いが綴られていますが。
タイトルも初めは“学校”で考えていたので、好きな人に会うために学校に行く気持ちとか、好きな人と廊下ですれ違った時の嬉しさだったり、逆に会えない時はとことん落ち込んでしまう感情の起伏を盛り込んで、片思いのタイムリミットがきちゃうっていう場面を学校の雰囲気込みで忠実に描きました。“ただ好きな人が学校にいるだけで、毎日が楽しくなるね”って話を友人としていたのをきっかけに、そういう全ての原動力になる女の子の気持ちを歌にしたいなと。でも、この曲を発表する時期が自分の卒業と重なるんですね。“現役高校生シンガーソングライター”として卒業の様子も含めて記録したくて、結果的に卒業ソングにしたんです。
いろんな場面が想像できる歌詞ですよね。例えば、好きな先輩が卒業してしまう後輩の女の子の気持ちだったり。
そうですね。もしくは、好きな人は同級生で一緒に卒業してしまう…見方によっていろんな捉え方ができますよね。
学生からの卒業であり、実らなかった恋からの卒業でもあり。《好きなんだ》と繰り返される部分は、相手へ届けようとする気持ちと改めて自分はこんなにも好きになっていたんだなと気付かされているように感じました。美空さんも片思いをするとこういう心境ですか?
んー…大きく分けるとこういうタイプなんだと思います(笑)
《またすぐ会えるよ》の自分と相手に広がる温度差が妙にリアリティーがありますよね。
相手は軽く捉えてるんですよね。こっちにしてみたら、恋が終わってしまう重たいタイムリミットなのに、相手にとってはただ学校を卒業するだけって感じで…切ないですよね(笑)
(笑)。カップリングも魅力的ですよね。2曲目の「愛しい人」は普段素直になれない気持ちを静かに打ち明けていき、3曲目の「青空恋模様」では三拍子が印象的に響いてきます。
表題曲とはまた違うチャレンジができるのがカップリングの面白さなので、ぜひ聴いてもらいたいです。今回は『卒業メモリーズ~サヨナラ、あなた。~』は最近、『愛しい人』は高校2年生、『青空恋模様』は高校1年生という時期に作っているので、私の高校三年間を総括したシングルでもあります。これで心置きなく“現役高校生”という肩書きから卒業できるぞっていう自信作です。
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「卒業メモリーズ 〜サヨナラ、あなた。〜」2012年03月14日発売Sony Music Records /MASTERSIX FOUNDATION
- 初回生産限定盤(DVD付)
- SRCL-7896〜7 1500円
サワイミク:1993年9月16日生まれ、大阪出身のシンガーソングライター。“音楽で気持ちを表現したい!”という気持ちから、作詞作曲活動を開始。聴き手の心に訴えかける歌詞、美しい旋律、耳に残る柔らかな歌声が魅力。11年5月にシングル「あたし、今日、失恋しました。」でメジャーデビューを果たし、13年6月に待望の1stアルバム『センチメンタル。』を発表。その後、TVアニメ『キルラキル』のエンディングテーマ「ごめんね、いいコじゃいられない。」など、アニメタイアップなども手がけるようにもなり、15年3月に2ndアルバム『憂鬱日和。』をリリースした。沢井美空 オフィシャルHP
Sony Music Records