【加藤ミリヤ】思いが強ければ強いほ

どこまでも止まらずに続いていく

『コカ・コーラ ロンドンオリンピック キャンペーンソング』としてCMでも耳にすることの多い「HEART BEAT」は、アスリートから放たれるビートを取り込んだ斬新なダンスナンバー。夢を追いかける姿勢に共鳴し、誕生した説明無用のアップチューンに身を任せよう!
取材:ジャガー

『コカ・コーラ ロンドンオリンピック キャンペーンソング』の「HEART BEAT」は、自然とリズムに乗りたくなるダンスチューンになりましたね。

お話をいただいてからコカ・コーラチームと私たちのチームで何度もミーティングを重ねていきました。今回の『コカ・コーラ ロンドンオリンピック キャンペーン』のテーマが“MOVE TO THE BEAT”ということだったので、ビートが感じられて、聴いた時に踊りたくなるような縦ノリ感を出した楽曲にしようというところに辿り着き、マーク・ロンソンによるワールドキャンペーンアンセムでアスリート音が使われていたので、そちらも使用しつつ、新たに日本でも伊藤沙月さんという女子ボクサーの方に協力いただいてボクシング音も加えました。例えば、ボクシングの音もパンチだけで何種類もの音が録れましたし、それ以外にも床を滑る音なども録ることができました。結果的に床を滑る音がスクラッチのように使うことができたりしたので、普段私たちがコンピュータ上で作る音と同じように、ひとつひとつが音としてもしっかりと成立し、かつ、生の音として斬新なサウンドを打ち出すことができました。そこが今までにない音であり、今までにない試みなので、ビートとして曲にしっかりと反映させたいと思いました。アスリート音を全面に打ち出した楽曲にして、ロンドンオリンピックとのリンクを目指しています。

ミリヤさんもアスリートの方々もオーディエンスに夢を与える存在であり、自らも夢を追い続けているという部分では通ずるかと思うのですが、アスリートの方々とお会いして感じたことはありましたか?

ストイックな人たちは本当に魅力的であるということ。普段の話す姿と、競技中のギャップも魅力的だと感じましたし、毎日ハードな練習を積み重ねていることには心から尊敬します。私もパフォーマンスのために、走りを中心としたトレーニングとピラティスをやっていますが、現状では足りないなと思うほど、もっと私も自分を追い込まなくてはと思わせられました。吹き出す汗がまた素敵でした。

まっすぐな言葉で綴られている「HEART BEAT」の歌詞からは、自分の気持ち次第で可能性はどこまでも広がっていくことを連想したのですが。

私たちの強い気持ちは、思いが強ければ強いほどどこまでも止まらずに続いていく。それは恋愛にも言えますし、自分の目標に向かっている場合にも言えることだと思います。そのさまを音楽が止まらないで楽しく踊り続けている情景と重ね合わせてみました。たくさんの人に向けた曲なので、難解な要素は一切入れず、普遍性を最も重要視しています。特に《I was born to love it!》は、コカ・コーラチームのみんなもすごく気に入ってくれた部分です! 私もすごく気に入っているし、CMもこの部分から始まるのでとても好きですし、パワーが出ます。いつの間にか、我々の合言葉のようにもなっている気がします。

歌声からは突き進んでいくんだという力強さと、幸せを噛み締めているような柔らかさが感じられました。どのようなお気持ちで歌録りに臨まれましたか?

歌う前にビジョンはしっかり作るようにしているのですが、『HEART BEAT』に関しては、AメロBメロは伸びやかに力を入れすぎずゆったり歌うイメージで。サビはパワー感を大切にして力強く歌うイメージでした。

DEXPISTOLS、MANABOONによるリミックスも収録されていますが、それぞれの良さが反映されたこの2曲を聴いた感想はいかがですか?

まずDEXPISTOLSさんには絶対にリミックスをお願いしたいと思い実現しました。また、MANABOONさんにも『HEART BEAT』の制作でお世話になり、その流れでリミックスもお願いしました。ともに“自由にやっちゃってください!”とだけお伝えして、私のヴォーカルもいじったり、加工しても問題ないですと。そこから、結果的にこんなにカッコ良いふたつのリミックスが仕上がりました。DEXPISTOLSさんらしいシャープさもあり、ギターのフレーズが印象的で夏っぽさを意識していただいた印象があって、MANABOONさんはもはや別曲として成立しているような、まったく違う方向性のアプローチを持った楽曲に生まれ変わって大変驚きました。

そして、2曲目「楽園」ではミステリアスな雰囲気を漂わせていますね。

映画『アナザー Another』の主題歌のお話をいただき書き下ろしました。“ミリヤさんの自由に曲を書いてください”と言っていただいたので、試写に行かせてもらい、興奮のままを曲にしています。ホラー映画ですが、私は『アナザー Another』を観終えた時にノリノリになるようなダンサブルな歌が聴きたいと思ったので、あえてダブステップを取り入れたアッパーチューンにしました。そこへところどころミステリアスな要素の音も入れて。あくまでも、『アナザー Another』という作品があっての『楽園』ですので、この世界観を共有し、たくさん刺激を受けて出来上がった一曲です。主人公たちが互いに理解し合い、寄り添っていくさまを描きたくて、彼だけが自分のことを理解してくれて、受け入れてくれているという状況はまるで彼自身が彼女にとっての楽園のような存在なのではないかというテーマが見え…メッセージというよりは、その情景を私の曲からただ感じてもらいたいです。映画の世界観とひとつになりたいという思いで曲を書いたので、最終的に映画を観てそのメッセージを受け取ってもらいたいです。

テイストの異なる2曲となりましたが、作り終えた今の手応えを教えてください。

諦めずに新しいことに挑戦し続ける自分が、やっぱり自分らしいと思います。
加藤ミリヤ プロフィール

1988年6月22日生まれ、愛知県豊田市出身。ハスキーなクリスタルボイスを持ったシンガー・ソングライター加藤ミリヤ。13歳で「ソニーミュージック・オーディション」オーディションに合格し、作詞・作曲を本格的にスタート。03年9月、Reggae Disco Rockersが発売したアルバム『Reggae Magic』の1曲にゲスト・ヴォーカルとして参加、04年5月には童子-Tのシングル「勝利の女神 feat. 加藤ミリヤ」にフィーチャリング参加するなど、デビュー前からクラブシーンを騒がす存在に。

04年9月8日、<Sony Music Records/MASTERSIX FOUNDATION>から1stシングル「Never let go/夜空」でメジャー・デビュー。BUDDHA BRANDの名曲「人間発電所」を大胆サンプリングした「夜空」は話題を呼び、先行アナログ・シングルは即日完売。追加プレスのオーダーも殺到し、現在も入手困難な伝説の一枚となる。メジャー・シーンで活躍を続けつつ、コアなクラブ・シーンからの支持も厚いのが彼女の特徴だ。05年3月に発売した3rdシングル「ディア ロンリーガール」は、現役女子高生だったからこそ生まれたリアルなメッセージが同年代に共感を呼び、スマッシュ・ヒットを記録。9月に発売した4thシングル「ジョウネツ」でUA「情熱」(96年)を大胆にサンプリングして話題を呼ぶと、10月にリリースされた1stアルバム『Rose』が、オリコン週間チャート初登場2位を獲得した。

06年9月に発売した7thシングル「I WILL」では、初の本格派バラードに挑戦し、沢尻エリカ主演の映画『オトシモノ』主題歌に起用される。恒例となったc/wでのサンプリング楽曲には、RIP SLYME「One」をサンプリングした「So gooood」を収録。07年2月には、映画『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』の主題歌に大抜擢された「Eyes on you」をリリース。ポップなメロディに恋する女の子のストレートでポジティヴなメッセージを綴ったディスコ・チューンが話題に。先行アナログも限定発売され、クラブ・シーンで大ヒットとなり、現在もロング・セールスを記録中。3月には、4枚のシングルを含む2ndアルバム『Diamond Princess』をリリースし、初の全国ワンマンツアーも大成功を収める。

07年10月、若旦那(湘南乃風)トータル・プロデュース、MINMIトラック・メイキングによる「LALALA feat. 若旦那(湘南乃風)/FUTURECHECKA feat. SIMON、COMA-CHI&TARO SOUL」をリリース。初のオリコン週間シングルチャートTOP10入りを果たし、5日後には、若旦那と共に二人の母校である明治学院高等学校で凱旋ライヴを開催した。08年2月には、「19歳の今だから歌いたい」とあの名曲をモチーフに「19 Memories」をリリース。19歳のリアルを歌った意欲作となり、11月に発表した自身初のベスト・アルバム『BEST DESTINY』では、オリコン週間ランキングで堂々1位を記録。20歳4ヶ月26日での1位獲得は、シンガー・ソングライターのベスト・アルバムとしては宇多田ヒカルのもっていた21歳3ヶ月を抜く最年少記録を打ち立てた。オフィシャルHP
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OKMusic編集部

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