仙台在住のシンガーソングライターRakeが、2ndアルバム『WONDERFUL WORLD』を完成させた。東日本大震災を被災地で経験した彼が歌う、絵空事ではない“素晴らしき世界”を感じてほしい。
取材:高橋美穂

震災以降に初めて制作したアルバムになりますね。

一時は、音楽活動はできないと思っていましたが、たくさんの人に助けていただいて。そこに対する感謝の想いというか、ミュージシャンであるないに関係なく、この時代に生きているひとりの人間としてさまざまな想いを感じたので、震災以降に作った曲には自然とそれが出ていると思いますね。それと、ひとりで落ち込んだりすることって誰もがあると思うんですけど、下を向いても希望とか光は落ちていないわけで。自分たちがそういう存在になっていかなきゃいけないなと。それも震災以降に思ったことです。

さらに昨年は『100万回の「I love you」』がヒットした年にもなりましたが、それによって感じたことも、アルバムに反映されたりしていますか?

9年前に作った曲なので、不思議な感じもあったんですけど。大切な人がいるから僕も今日を頑張れるし、言葉では伝えられないくらい“君”への想いがあふれてくるっていう歌詞で。それはありふれたことかもしれないけど、100年前も100年後も変わらない感覚だと思うし、去年みんなが一緒に歌ってくれたことで、それが再確認できたと思います。例えば、ミュージシャンという立場で発信する以上、他の人が思い付かないことを言わなきゃいけないとか考えてしまうこともあって…それができたらクールかもしれないですけど、必ずそうである必要はないっていうか。僕も普通の毎日を過ごしてきて、ちょっと人より音楽が好きなだけで、特別なことを歌えるわけじゃない。だけど、自分が毎日感じることや、震災も含めて自分が経験したことを自分なりの言葉で素直に歌っていけばいいんだって思えた曲ではあります。

アルバムでも「希望の歌」の《当たり前の毎日って いったいどんなだったろう》という一節は、震災を経験したことを彷彿させますよね。それでいて、さまざまなシチュエーションに当てはまる曲にもなっていますけど。

『希望の歌』は震災の後に作ったんですけど、僕も初めてライフラインのない生活を経験して、それまでの蛇口を捻れば水が出てきて、スイッチを入れれば電気が点くっていう生活が特別だったんだなって思ったんですよね。だけど、それを作品にするとなると、僕個人の歌っていうよりは、聴いてくれるみなさんの毎日にも寄り添えればいいなって。

「Town Beat」には仙台の風景が描かれていますけど、やはり仙台で音楽活動を行なうことにはこだわりがありますか?

仙台にいることは僕にとって自然なことなので。例えプロミュージシャンになれなかったとしても、生活しながら出てくる音のほうが大事だと思っていたので、これからもずっと仙台にいるんだと思いますよ。別に東京が嫌いなわけじゃなくて、仙台での日常から生まれる音楽が僕にとって自然なんです。昔とあるアーティストのインタビューで、“この街にいないと曲が作れない”と書いてあるのを読んで、そんなことないでしょって思っていたけど、最近はやっとその意味が分かるようになってきました。

Rakeさんの活躍は仙台出身の人間にとっても励みになっていますし、今後も期待しています。

僕が“仙台在住のRakeです”って言って全国を飛び回ることで、東北代表としての使命を果たしていけたらと思います。一生懸命、歌っていきたいです。

OKMusic編集部

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