L→R TOC(MC)、DJ KATSU(DJ)

L→R TOC(MC)、DJ KATSU(DJ)

【Hilcrhyme】大切な人に自分は何を
残すのか、何を残せるのか

メ~テレ50周年特別ドラマ『ゆりちかへ ママからの伝言』の主題歌として書き下ろされた「想送歌」は、大切な人への愛情をストレートに歌ったバラードである。同曲が誕生に至るまでの思いをTOC(MC)に訊いた。
取材:ジャガー

シングル「想送歌」はメ~テレ50周年特別ドラマ『ゆりちかへ ママからの伝言』のために書き下ろしたとのことで。

今回、“主題歌をHilchymeに”って名指しで話がきたんですよ。たくさんいるアーティストの中から俺らを選んでくれたことは単純にすごい嬉しかったし、このドラマの内容を知っていくうちに一番映えるような曲にしたいって意欲が湧きましたね。大前提として、俺らもこのドラマに共感して曲を作っているので、“Hilcrhyme×ゆりちかへ”の共作だと言ってもいいぐらいに世界観に積極的に関わっていきました。

具体的にはどのような作業だったのでしょうか?

まず、『ゆりちかへ ママからの伝言』のチームから8割ぐらい出来上がっていたドラマ映像が送られてきたので、それを観ることから始まって…間違ってもアップテンポじゃないなっていうのは感じました。しかも、その映像には“この場面にこういうかたちで音が入ります”っていう音が付いてたんですけど、そこに当てられていた曲が2ndシングル『春夏秋冬』だったから、そういう曲を求められてるんだろうなって。けど、もっとこのドラマに沿った楽曲にしたいっていうところから歌詞を煮詰めていって『想送歌』ができました。基本的には愛情あふれた作品だから曲もハッピーエンドにしたいけど、このドラマではハッピーな部分だけでなく、死というシビアな一面も描かれているので、『想送歌』でもちゃんとそこは描きたいなと思いました。で、三番で死を想起する部分を作ってるんですけど、その手法ってHilcrhymeが今までもやってきたことなんですよね。三番でガラッと印象を変えるっていう。だから、自然とハマりましたね。

その三番では、唯一旅立つ側の気持ちに視点が切り替わって歌われていますよね。

自分としても三番はものすごく気に入ってます。特にドラマの世界観とリンクする内容になっているし、音の抜け具合もバランスがいいし、歌メロもハマって…うん、すごく気に入っています。やっぱり死は誰にでも訪れるものだし、そう考えるとものすごい感情が入っていったんですよね。サビで≪大切なあなたへ≫と歌っているけど、実際に大切な人に自分は何を残すのか、何を残せるのかを考えた結論を歌ってる部分というか。さっきから何回も言っちゃってるけど、だいぶ好きですね(笑)

ここ一年は前へ突き進んでいくという姿勢が描かれた楽曲が多かったので、こういったシンプルに愛情を歌った曲というのは珍しいですね。

久々にこういうのがやりたくて…『春夏秋冬』以来かなっていう。普遍的なラブバラードは初めてじゃないけど、今やってみるとすごくフレッシュですね。ここ最近発表してきた曲たちとは違う方向性ですけど、こういうのも好きです。でも、良い歌詞って、良いメロディーと良いリズムじゃないと良くなんないんだなって改めて思いました。歌詞って字のごとく、歌の詞だからちゃんと聴かないと良さが伝わらないというか…この曲で本当痛感しましたね。この曲に乗っているから良い歌詞になるんだなって。普遍的なものを書くのはもともと好きじゃなかったんですけど、やっぱり音に乗せると自分でも納得できた。読むと小っ恥ずかしいんだけど、音が付くことによって感情も乗ってくる…またひとつ勉強になりました。歌い方も全然違いますし…それこそ同じバラードでも、『春夏秋冬』だったらラップにメロディーが付いた感覚でやってたんですけど、『想送歌』は完全なる歌ですからね。歌って感じになったのは、いつの間にかそう変化していったんですけど。

KATSUさんとはどんなやりとりを?

今回は“こういうのを作って”っていうイメージしていたものが先にあったので、トラックは結構指定しましたね。BPM遅め、コード主体、ビートもそんなに複雑にしなくていい…とか。とにかく歌いやすくさせてほしいと伝えました。ストリングスとギターは生じゃないと相当ニュアンス変わるだろうし、レンジが狭まるから、生楽器で。おかげでだいぶ広さのある感じになりました。

始まりからサビにかけてじわじわ広がっていくような歌だから、そういった楽器の温もりのある音が映えますね。

そうですね。サビだけが聴きどころじゃないな、全部ですね。全体的なバランスがいいです。少なくとも、2013年中は過去のものになってほしくないというか…ちゃんとリスナーの中で息付く曲になってほしいです。

熱っぽい歌声でより感情移入しやすかったです。

今、この曲をライヴに向けて歌ってみたりしてるんですけど、いいですね。他の曲と比較になんないくらい、自分でもくるものがあります。早くみんなの前で歌いたい曲ですね。

その反動で2曲目「Welcome Back」はダブステップに?

それはそういうトラックがきたから自由にやっていった結果なんですけど(笑)。これは超最近、本当に一番最近作った曲ですかね。相方(DJ KATSU)がこういうのをやりたかったみたいで、トラックがきたから乗っかってみっかと。『想送歌』と一緒に入ったから、ちょっと振り切りすぎたかなとも思うんですけど…どっちも自分たちだからいいかって。

このCDからHilcrhymeを知る人には刺激が強そうですね。

そうですね(笑)。そのへんはまた改めて整理していきたいなって思うんですけどね。歌詞の内容としては原点回帰をしてて、今の自分のモードとしては、普遍的なものもこういう前へ向かっていく姿勢を書いたものもどっちも書きたいですね。メロディーも好きだし、リズムも好きだし、ラップも好きだし…これからもやりたいことをやっていきます。
想送歌2013年01月23日発売UNIVERSAL J
    • 初回生産限定盤(DVD付)
    • UPCH-9838 1680円
    • 通常盤
    • UPCH-5786 1260円
Hilcrhyme プロフィール

ヒルクライム:ラップユニットとして2006年に始動。09年7月15日にシングル「純也と真菜実」でメジャーデビュー。2ndシングル「春夏秋冬」が大ヒットし、日本レコード大賞、有線大賞など各新人賞を受賞。ヒップホップというフォーマットがありながらも、その枠に収まらない音楽性で幅広い支持を集めてきた。また、叩き上げのスキルあるステージングにより動員を増やし続け、14年には初の武道館公演を完売。「大丈夫」「ルーズリーフ」「涙の種、幸せの花」「事実愛 feat. 仲宗根泉 (HY)」などヒットを飛ばし続け、24年7月15日にメジャーデビュー15周年を迎える。ライミングやストーリーテリングなど、ラッパーとしての豊かな表現力をベースに、ラップというヴォーカル形式だからこそ可能な表現を追求。ラップならではの語感の心地良さをポップミュージックのコンテクストの中で巧みに生かす手腕がHilcrhymeの真骨頂である。耳馴染みのいいメロディーと聴き取りやすい歌詞の中に高度な仕掛けを巧みに忍ばせながら、多くの人が共感できるメッセージを等身大の言葉で聴かせる。その音楽性は、2018年にラッパーのTOCのソロプロジェクトとなってからも、決して変わることなく人々を魅了している。Hilcrhyme オフィシャルHP

OKMusic編集部

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