取材:ジャガー

先日の日比谷野外音楽堂でのライヴを終えてみて、改めてあの日の感想をうかがいしたいのですが。

YUKA
やっぱり外のライヴっていいなって思いました。マイナスイオンが放出されているような独特な雰囲気がすごく気持ち良くて。演奏している時に、空に浮かび上がる満月とその下で聴き入ってくれているお客さんとを一緒に観れて、私たちがパワーをもらいましたね。

本当に晴れて良かったですね。

開演時間に近づくにつれ、天候が回復してくれたのでほっとしました。大きい会場だったので、ちゃんと観に来てくれるのか不安もあったんですけど、ステージに上がった瞬間に温かい客席を確認することができてテンションが一気に上がりました。

あの独特の空間がそうさせたのか、心なしかおふたりがいつも以上に弾けていたように思います。

YUKA
アッパーチューンでみんなで盛り上がったり、しっとりとした曲では楽曲の持つ世界観に聴き入ってもらえるように…だとか、ライヴ全体のバランスを調整して、お客さんが“あっと言う間に終わっちゃった”って感じるぐらいがいいなと思っていて。実際私もやってみて、あっと言う間でしたね。歌声がどこまでもどこまでも空に飛んでいくような感じだったり…本当に楽しめたんだなって。

その野音のステージでも披露された新曲「青い月とアンビバレンスな愛」ですが、こちらは昔からあったmoumoonにとって馴染み深い楽曲ですよね。

YUKA
デモは3年前ぐらいからあって、出すタイミングなどをずっと考えてたんですけど、なかなか音源化するに至らなくて。作った当初から良い曲になる自信がふたりともにあったけど、何度も繰り返し聴くことで伝わるものなのか、一発で覚えられるキャッチーなものなのかが見えなくなってしまったんです。やっぱり歌詞の内容も深いので、何回も聴いてもらわないと良さは伝わらないって話になり、3年前の原形からライヴで歌ってはお客さんの反応をもとに、どんどん改良していったり、歌詞も少し手を加えたりして、3年という時間をかけてやっと形にすることができました。

3年という月日は決して無駄じゃなかったということですね。どのように変化していったのですか?

90パーセントぐらいのイメージはもともとできていて。そこから大サビを作って、YUKAちゃんの歌詞が乗った時に曲全体がひとつの世界を形成した感じです。普通の恋愛の歌というよりも、心の中の深い部分の話を歌詞にしているので、それが大サビができたことによってまとまりを見せたように思います。
YUKA
曲を聴いた印象が、悲しい…痛さと綺麗いな感じと力強さがあって。展開のドラマチックさもずっと表現したかったもので、“この気持ちってなんだろう?”って考えて、辿り着いたのが“アンビバレンス”という感情でした。

好きなのに、辛くあたってしまったり、優しくできなかったり、相反する感情を抱いてしまう。ひと言では、説明しにくいテーマですが、その深い内容ばかりにとらわれるのではなく、凛とした美しさを感じました。

YUKA
最初はこの曲に全ての感情を詰め込むのは無理なんじゃないかなって思ったんですけど、大サビが加わることでもう一段階広がった…大サビが大切な役割を果たしてくれていますね。これがなかったら、もっとシンプルで、控えめな表現になってたかもしれない。すごく感情を揺さぶられる音だったから、言葉も鋭いことを付いているんだけど、音との融合によって綺麗に聴こえる。そういうマジックが起こった歌ですね。

聴き終えた後、温かい気持ちになれたのですが、すごく不思議と言いますか。自然と曲に導かれるような感覚でした。

YUKA
寂しさや喪失感が前に出てくるので、聴いた瞬間は“うわ!”ってなるかもしれないけど、聴いた後にこういう想いになったことがあるって感じてくれたらうれしいですね。“何で好きなのに優しくできないんだろう?”とか、“好きなのに嫌いって言ってしまった…”とか、みんなの中でいろんなストーリーがあるけど、悲しいだけじゃないんだよって。自分の心にフィルターがかかってしまって本当の想いがねじれているかもしれないけど、それだけ相手への想いが強いってことだから、ねじれを解くリセット曲として届いてほしい。そういう複雑な感情って、わりと隅に置きがちだけど、向き合うことで前へ進めることってあると思うんです。例えば、悲しい映画を観て涙を流してリフレッシュしたり。鋭い言葉がグサって心に刺さるんだけど、そのおかげで温もりを感じる歌なのかなって。

幸せなのに、不安に感じる時もあったり。それって裏を返せば、それだけ大切な存在だってことですね。突き刺さる言葉を綺麗に響かせるように、今回どのようなことに気を使いましたか?

YUKA
わりとリズムとかも無機質で淡々としていて、無表情な感じと言いますか。そういうところはクールにカッコ良い感じで。ライヴで歌い慣れているから逆に難しい作業でしたね。つたないファーストテイク的な仕上がりにするのに苦労しました。
なので、ライヴの時とは違うものになりましたね。あえて最初の歌に似せようと頑張ってました。ずっと歌ってきているので熟成された良さもあるんだけど、最初の良さっていうのももちろんありますからね。

ジャケット写真など、よりコンセプチュアルな仕上がりになっていて、イメージを膨らませますね。そう言えば、今までにここまで月をフューチャーすることはなかったのでは?

moumoonってユニット名で、“青い月”って…あれかなって思ったんですけど。
YUKA
この曲だけは許されたって感じですね。moumoonはやわらかいイメージで、この楽曲の月とはまた違う印象なので。
moumoon プロフィール

ヴォーカル YUKAとギター柾昊佑(まさきこうすけ)によるユニットで2005年結成。
フランス語の『mou(やわらかい)』と、英語の『moon(月)』をかけあわせて作った“やわらかい月”という意味の造語。
YUKAの柔らかく暖かな、それでいて鋭くエッジのきいた歌声と、柾が創造する印象的なメロディーが絶妙にマッチし、繊細且つ大胆なアレンジが施された楽曲が聴き手を柔らかく包み込む。

2006年7月に限定シングル「Flowers/pride」でデビュー。2007年8月ミニ・アルバム「love me?」でavex traxよりメジャーデビュー。
同年12月にリリースした1stシングル「Do you remember?」がラジオ、衛星波21局でパワープレイを獲得する。
2008年7月、自身初となるのワンマンライヴ(原宿ASTRO HALL)を行いチケットSOLDOUTとなる。同年12月(渋谷duo music exchange)、2009年5月(赤坂BLITZ)に行われたワンマンライヴでは両公演共にチケットが即日完売となる大盛況ぶりを見せた。
同年7月には通算5枚目となるシングル「On the right」のリリースが決定、10月には日比谷野外音楽堂でのワンマンライヴを行う。オフィシャルHP
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OKMusic編集部

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