【チャラン・ポ・ランタン】ほっとく
と哀しい曲ができちゃうんだよね
アコーディオン弾きの姉・小春と、唄うたいの妹・ももからなる話題の姉妹ユニットが、3部作の最終章となる新作『ふたえの螺旋』をリリース。ふたりの言葉を聞いてみよう。
取材:内本順一
今回は15曲入りの完全フルアルバムということで、制作期間も前の2枚の時より長かったんじゃないですか?
小春
う〜ん、長かったのかな。でも、今回の全体の内容とか曲順の感じとかを考えなきゃいけない段階で、実はまだ曲が半分くらいしかできていなかったんだよね。
前作『たがいの鍵穴』が出来上がった時点で、もうできていた曲ってどのくらいあったのですか?
小春
7曲くらいかな。だから、半分くらいは『たがいの鍵穴』ができたあとの数カ月で作ったんだよね。「歯車」とか「鍵穴」の新しいアレンジも考えてなかったし。
その半分くらいの曲は、できている曲を踏まえながら書いたものなのですか?
小春
うん。なんとなく全体のバランスは考えて作ったね。まぁ、こういう曲を書こうって思って、全然違うことになっちゃったのも何個かあったけど。
例えば、哀しい曲が多めだから明るい曲も書かなきゃと思って書いたりとか?
小春
そうそう。小春の場合、ほっとくと全部「みきちゃんの目玉焼き」みたいな哀しい曲になっちゃうから。
明るい曲を作るのは大変?
小春
大変! ホント、大変だった。
もも
うん。見ていて、すごく大変そうでしたね。
何でなんでしょうね?
小春
ね。時々、他のミュージシャンにも言われるんだよ。“マイナー調の曲ばっかだね”って。そういうふうに言ってくる人は明るい曲とか明るいフレーズを好んで食べて生きてるわけでしょ? 小春はただその反対ってだけだと思うよ。
ももさんはどうですか? 唄う際には明るい曲でも哀しい曲でもスッと入っていけるほうなんですか?
もも
私はそうですね。でも、確かに「最後の晩餐」(チャラン・ポ・ランタン史上、最もアッパーな曲)が小春から送られてきた時には変な感じがしました。小春からこういう曲が生まれるなんて珍しいな、と。「家なき子のドロシー」も明るいけど、あれは小春らしくないとは思わなかった。
小春
あれは唄の始まりがマイナーだからだよ。そういう部分で小春らしさが入ってる。あと、歌詞もじゃない? 「家なき子のドロシー」は歌詞もひねくれてるから安定している。
ひねくれたところが出てないと気持ちが悪いんですね。
小春
そうそう。素直なのとかってダメなんだよね。素直な感じを出さなきゃならなくなると息ができなくなるっていう(笑)。
今回はカンカンバルカン(女性だけのホーン隊+ドラム)をフィーチャーした曲もたくさんありますね。前作と前々作ではあえて一緒にやらず、3部作の完結編でドーンとやろうと?
小春
それは思ってたね。そのほうが盛り上がるから。今回もまたしゅーんって感じで終わるのもどうかなぁって思って。
ホーンの音に乗せて唄うのはどうでしたか?
もも
やっぱり伴奏の人が少ない状態で唄うのとは全然違いますね。自分の声も違って聴こえましたし。面白かったです。
さて、去年の9月から半年でアルバム3枚、計31曲も世に送り出したことになりますが、振り返っていかがですか?
もも
1枚目の『つがいの歯車』のレコーディングを思い出すと、ちょっと懐かしい感じもしますね。
小春
衣装が増えたみたいな感じ。うん。そんな感じだね。