【やなぎなぎ】今まで見えなかった私
を感じてもらいたい

気持ちを静かに揺り動かす歌詞と、自然の匂いを感じる楽曲。それらを心に染み渡る透明な歌声で表現していく、やなぎなぎ。彼女の1stアルバムがついに完成した。多彩な音楽が詰まった今作品に彼女が込めた思いとは?
取材:桂泉晴名

まず、不思議なタイトルが目を惹きますね。

もともと“裏表”と書いて“うらうえ”と読む読み方があり、それをさかさまにして作ったタイトルが“エウアル”なんです。今までのシングルでも、“春と冬”とか取り上げていたのですが、ふたつの違うものが実はひとつの裏表になっているのかなと考えて、そういったものを集約したアルバムにしようと思いました。

しっとりしたインストの「本当」という楽曲から始まり、軽やかな「ユキトキ」、ウキウキとするような「青のパレード」と続きますが、途中激しいロックの「ラテラリティ」が入るなど、非常に変化に富んだ構成になっていますね。

これまでのシングル曲がとても濃かったので、それを大きな柱として散りばめました。自分の中ではアルバム全体で前半戦、後半戦というのがあって7曲目の「euaru」という曲でひと区切りというか、そこから違うセクションがスタートしますよ、といった流れにしています。

アルバムの真ん中にアルバムタイトル曲が収録されているのですね。

はい。「euaru」は歌詞が先だったんですけれど、このアルバムで一番書きたかったことをギュッと入れた曲です。アルバムのテーマの通り、表の自分と裏の自分がいて、「euaru」で分かれるイメージにしたかったので真ん中に置きました。

「euaru」はシンプルなピアノの音に加え、水音が入っていますが。

水音は、自分の中でも落ち着く音というイメージがありますね。今回はアンビエントの水音を最初のインスト「本当」と、最後の楽曲「嘘」にも入れていて。これも同じ音を入れることによって、ひとつのアルバムとして、始まりと終わりと真ん中という明確な位置付けをしたかったんです。

やなぎさんは自然の音を収集しているという話をうかがったのですが、それは楽曲に活かすためですか?

直接音を使うこともありますが、たとえ使わなくても、環境音ってその音を聴くだけで、行った時の景色や思い出を呼び起こす要素になると思っていて。録ってきた音を聴きながら、“この景色、きれいだったな”と思い出して、それをまた別の曲にする、といった作業をすることはあります。

どの楽曲でもやなぎさんの繊細で美しい声を堪能できますが、ご自身で作られた曲と、他の方が作曲された曲とでは、少し歌い方が違うように感じました。

他の方が書いてくださった曲のほうが、歌うことについて考える余地が多いです。自分で作ってしまうと、“こうだろう”とイメージが出来上がってしまうことが多い。他の方が書いてくださった曲は、声質や歌い方をどうしよう?と考える時間が多いので、その違いが楽しいですね。

ミュージカルのような明るさがある2曲目の「青のパレード」は、宮川弾さんの作曲で。

宮川さんは歌っている時のディレクションで、いろいろアドバイスしてくださったんですよ、“今の、もう少しかわいく”とか。歌詞に関しては、今まで他の作曲家の方とやっている時は突っ込まれたことはなかったんですけれど、宮川さんは歌詞も“ここの音だったら、このほうがいいね”といったことを話されて。そういうところもこだわっているんだ、と思って勉強になりました。

ご自身が作詞作曲をされている楽曲のひとつは、5曲目の「helvetica」ですね。

“helvetica”はフォントの種類なんですが、すごくきれいなフォントなんです。私は目に見えるものを信用し切れないところがあって。文字だけだと、感情やその人が持っているものが分からないじゃないですか。すごくきれいに並んでいるんだけれど、それがだんだん分からなくなっていく感覚というか。“この人は今、何を考えているんだろう?”といった感情が、この「helvetica」という楽曲になりました。

やなぎさんらしい浮遊感のある楽曲ですよね。では、シングル以外で、ご自身でアルバムの幹になったと思う楽曲は?

アルバムのリード曲「ストレンジアトラクター」は作曲を林奈津美さん、編曲を古川貴浩さんにお願いしたのですが、アルバムテーマの要素をふんだんに入れ込んでくださって。片方では生音が鳴っているんだけれど、もう一方では完全にピコピコした音が鳴っているとか。ベース音が激しい一方、女性らしい繊細な感じもあって、華やかな楽曲になっていると思います。

リスナーの方には、記念すべき1stアルバムをどのように聴いてもらいたいと思っていますか?

初めて聴いていただく方はもちろん、シングルを聴いてくださっている方も、今まで見えている私はほんの一面であって、このアルバムを聴いて“今までこういう人だと思っていたけれど、アルバムを通して聴いたらまったく違った”といった驚きを感じてもらえたらいいな、と思っています。

初回限定盤には、メロキュアの「Agapē」や川本真琴さんの「1/2」など、ご自身が選んだカバー曲の特典CDも付いているそうですね。

私はデビュー前に自分でオケを打ち込んで、カバー曲を歌って発表していたので、昔から私の活動を追ってくださっている方の中には、カバー曲が好きだという方もいらっしゃって。ご存知ない方にも、こういう“やなぎなぎ”もいるんだ、といった感じ方もしていただけるかな、と思います。

少し先になりますが、10月には待望のワンマンツアーが開催されます。どんなライヴをイメージされていますか?

ワンマンは今回初めてですが、自分の世界観をより押し出せるステージだと思うので。音だけじゃなく、今まで温めてきた映像や演出を取り入れるなどして、いろいろな角度から楽しめるようにしたいですね。
『エウアル』2013年07月03日発売ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
    • 初回限定盤(2CD+Blu-ray付)
    • GNCA-1376 4410円
    • 初回限定盤(2CD+DVD付)
    • GNCA-1377 4200円
    • 通常盤
    • GNCA-1378 3150円
やなぎなぎ プロフィール

ヤナギナギ:2006年からライヴハウスやインターネット上で音楽活動を開始。12年2月にTVアニメ『あの夏で待ってる』EDテーマ「ビードロ模様」でメジャーデビュー。繊細な声質と印象的な楽曲の世界観で、活躍の場を広げている。13年7月リリースの1stアルバム『エウアル』はオリコンウィークリーチャート初登場4位を記録。13年10月には1stアルバム発売 記念ワンマンツアー『エウアル』、翌14年1月から2月にかけて『エウアル』アンコールツアーを開催した。やなぎなぎ オフィシャルHP

OKMusic編集部

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