【May J.】夏の名曲たちを新たなドラ
マとともに

テレビ番組のカラオケ採点対決で、圧倒的な歌唱力を武器に連覇を続け、“歌姫”の称号を不動のものにしたMay J.。最新カバーアルバムでは、夏の名曲たちをその豊かな表現力で歌い上げている。
取材:金澤隆志

今回のカバーアルバムは、テレビ番組への出演で注目を集める中、とてもいいタイミングでのリリースとなりますね。

去年の6月から番組に出させていただいて、カバー曲をカラオケで歌って対戦してきたんですけど、出演する度に反響がどんどん大きくなっていくのを感じたんです。Twitterやブログでもコメント数がどんどん増えていって、私の歌を初めて聴いたという人がたくさんいました。そんな中、私の歌に感動した、カバーアルバムを出してほしいというリクエストをたくさんいただいて、これほど求めてくださる人たちがいるのであれば、自分はしっかりとそれに応えたいという気持ちになったんです。

こういったかたちで注目を集めるのは、ご本人としては想定外だったのではないですか?

最初は“機械が歌を評価してくれるのってどうなんだろう?”と懐疑的な思いもあったんです。特にスタッフからは“プロが歌うま芸人や歌うまキッズに負けたらどうするんだ”と懸念する声もありました。でも、私はどんな場所、曲であっても、とにかく一生懸命歌って、観ている人に少しでも何かが届いてくれればいい、自分の歌を数多くの人に聴いていただける絶好のチャンスだと思っていました。

今回のカバーアルバム『Summer Ballad Covers』ですが、やはり選曲の基準となったのは“夏”でしたか?

リリースが6月ということで、ちょうど夏に向けてみなさんが楽しんでくれる作品になってくれたらいいなと思って、私が大好きな夏の名曲を選びました。候補曲を選ぶ時、私とスタッフでリストを挙げた中から20曲ぐらいに絞った段階で、みんなで一緒にカラオケにいったんです。なぜカラオケかと言うと、キーを上下させたり、テンポを変えることができるから。今回のコンセプトは“夏のバラード”なので、テンポを落とすとどうなるのかを試したかったんです。

あらゆる場面でカラオケ大活躍ですね(笑)。オリジナル曲にはない、カバーをやる際の難しさとはどんなところですか?

プロデューサーの大島こうすけさんとは、原曲をしっかりとリスペクトし、良い部分を残しながら、歌い方やアレンジを私なりに変えることで自分のカラーを出そうという話をして。例えば「波乗りジョニー」は、桑田佳祐さんが男性目線で歌っているわけですけど、それを女の子のMay J.がどのように歌うのかと話し合ったり。この歌詞には桑田さんならではのエロさが絶対不可欠なので、大島さんの実体験に基づくエロトークを聞いたり(笑)。

ただ単に歌詞をなぞるのではなく、曲に合ったストーリーをイメージしながら歌っていく、と。

そうです。例えば「少年時代」なら、小学生の頃に学校の裏にあった森で友達と一緒に基地を作ったことを思い返したり。「渚」のような抽象的な歌詞は、一行一行どういう意味なのかを考えて自分なりに解釈しました。そんな感じに、自分の思い出と重ねる作業が重要だったんです。実際に歌う時間も長かったけど、そうやってトークしている時間も同じぐらい長かったですね。

原曲が男性ヴォーカルの場合、レンジ(声域)などの技術的な部分で女性ヴォーカルの曲と違ったりしますか?

男性のキーってレンジが広いので、それを女性キーに合わせるととんでもない高低差になるんです。「波乗りジョニー」はそのいい例で。サビは本当に高いんだけど、ファルセットで歌ってしまうと感情が出ないので頑張って地声で歌いました。表現しながら高い音を出すのは結構大変ですね。

表現力を追求という部分で言うと、カラオケで高得点を叩き出すのとはちょっと違う作業ですよね。

カラオケで得点を稼ごうと思ったら音程や尺をピッタリと合わせて歌わなければならず、どうしても表現力を付けにくくなってしまう。今回はそういった細かいことは一切気にせず、表現の部分を追求して自由に歌いました。

「I Dreamed A Dream」は技術的にも難易度が高い曲だと思いますが、素晴らしい表現力が発揮されていますね。

この曲はレコーディングの一番最後の日に録ったんですけど、一番いいテイクを録り終えた後、曲に入り込みすぎちゃって大声をあげて泣いてしまったんです。この4年間苦しかったり、諦めかけたりしたことを思い出して。私にとっては、とても特別な曲になりました。

「First Love」は幼い頃から大好きな曲だったとか?

本当に一番好きな曲ですね。宇多田さんは日本の歌手で一番最初に好きになった憧れの存在です。それだけに“上手く歌おう”という思い入れが強くなりすぎてしまったんです。“もっとMay J.らしさを出したほうがいいよ”とスタッフに言われて、小5の頃の“歌手になりたい”という気持ちや当時片思いしていた気持ちを思い出しながら歌いました。

ZONEの「secret base ~君がくれたもの~」は、レゲエビートが夏らしさを倍増させていますね。

私はまさにこの世代なんですよね。夏休みになると昼ドラの『キッズ・ウォー』を毎日観てましたから(笑)。私にとって“夏と言えば?”の3本指に入る曲なんです。レゲエのビートは、アルバムでいろいろなカラーを出したかったので。ちょうどこの曲のテンポ感にピッタリ合いました。

9月から11月にかけて全国9カ所を回わるツアーが行なわれますが、どんなものになりそうですか?

今回はみなさんにゆっくり座って観てもらいたくて、全席指定になっているんです。ツアーとしては初めてフルの生バンドと一緒ですし、本当に楽しみなんです。カバーアルバムはもちろん、ベストアルバムの曲も織り交ぜたいと思っています。
『Summer Ballad Covers』2013年06月19日発売rhythm zone
    • CD+DVD
    • RZCD-59307/B 3500円
    • CD
    • RZCD-59308 2800円
May J. プロフィール

1988年生まれ。
日本、イラン、トルコ、ロシア、スペイン、イギリスのバックグラウンドを持ち多彩な言語を操るマルチリンガルアーティスト。日本で生まれ育ちながらも、家庭環境により培われた語学力、和の心を持ちつつ様々な経験によりソングライティングやダンス・パフォーマンス、ピアノの弾き語りをもこなす。

2006年にミニアルバム「ALL MY GIRLS」でデビューし、現在までにシングル3枚、ミニアルバム1枚、アルバム1枚、DVD1枚をリリース。
自身の作品では、Verbal(m-flo)、KEN-U、TARO SOUL等と共演、REMIXではSTUDIO APARTMENT、FPM、BUZZER BEATS、 DJ WATARAIらも参加。また、feat.での参加作品はZEEBRA、DJ PMX、”E”qual、 WISE、クレンチ&ブリスタなどのHIP HOPシーンから、キマグレン、鈴木雅之などのポップフィールドまで、多くのアーティストと共演する。

ずば抜けた歌唱力と表現力、また彼女独自のエキゾチックなフレイヴァを武器に、2008年、rhythm zoneに移籍。また、同年より世界180の国と地域に放送されているNHK WORLDの音楽番組「J-MELO」のVJを務める。(NHK総合テレビでも放送)May J. オフィシャルHP(アーティスト)
May J. オフィシャルブログ
May J. オフィシャルTwitter
May J. オフィシャルFacebook
May J. オフィシャルYouTube
May J. オフィシャルインスタグラム
Wikipedia

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • the Homeground
  • Key Person
  • 気になるワードでディグる! 〇〇なMV

ギャラリー

  • Tsubasa Shimada(PRIZMAX) / 「Wet Crate」
  • SUPER★DRAGON / 「楽楽★PAINT」
  • Yun*chi / 「Yun*chiのモヤモヤモヤ」
  • OLDCODEX / 「WHY I PAINT ~なぜボクがえをかくのか~」
  • 魔法少女になり隊 / 「魔法少女になり隊明治のあったりなかったり」
  • みねこ美根 / 「映画の指輪のつくり方」
  • 嘘とカメレオン / 「猫を抱いて蝶と泳ぐ」
  • エドガー・サリヴァン / 「東京文化びと探訪」