【DJ 片平 実】リスナーと音楽の出会
いのツールになれば最高

その時々のフレッシュなサウンドをかけ続けるロックDJとして、長きに渡り活動を続ける片平実が、前作『ROCK ON ROCK』から1年2カ月ぶりの、新作MIX CD『ROCK ON PARADE』を完成させた。
取材:土屋恵介

新作MIX CD『ROCK ON PARADE』ですが、今回はどんなテーマがあったのですか?

前作に続いてEMIから出させてもらっているので、“EMIに捧げる”って意味がありながら、リリースが夏だったので、“夏”というテーマがありました。MIX CDは4作目なんですが、いつも思っているのは、前作を超える良いもの、最初から最後まで聴けるどこを切っても美味しいもの、全曲で1曲みたいなところは今回も心掛けましたね。

MIX CDと普段のパーティーでのDJでは、作品作りという点で違いもあると思いますが。

そうですね。MIX CDは、曲をワンコーラスで切ってるけど、普段のDJではフルコーラスでかけてるんです。それは、原曲をそのまま共有したいという思いからなんです。そういう意味では、MIX CDはひとつの作品ということで別の視点がありますね。ただ、曲のキーやテンポを変えたりはしてないです。普段のパーティーでも変えてないんですよ。それも作った人の意志を尊重したいからです。それに、MIX CDを買ってくれた人で、家でテンポ変えて聴く人って少ないと思うんですね。切り取ったものではあるけど、原曲の良さをそのまま楽しんでほしいというのは根底にあります。

では、選曲の柱になった曲はありますか?

どれも自分の好きな曲ではあるので全部と言いたいとこですが、あえて挙げるなら、1曲目the telephonesの「It'sAlright To Dance (Yes!!! Happy Monday!!!) 」。僕は『Getting Better』以外にも、平日に『Happy Monday』ってパーティーをやってて、よく石毛(輝)が遊びにきてくれてて、そのパーティーにインスパイアーされた曲を石毛が作ってくれたんです。それが1曲目なら最高だなってのはありました

最新曲を中心に、以前の曲も織り交ぜて、ロックからダンスミュージック寄りな曲など、バラエティーに富んでますよね。選曲やつなぎでこだわったところは?

曲調、音の感触とか違和感がないことが一番ですね。僕は何でもかんでもかけるDJじゃないので、脈絡とか、つなぐ時に意味があるほうが好きなので、そこは意識しました。例えば、バンド同士のつながり。the telephonesからアヴェンズ(avengersin sci-fi)はツアーで対バンしてたりとか。ほんと、厳選素材を選んで作った料理って感じですね。

片平さんの選ぶフレッシュな日本のロックといったところですね。このMIXのテーマのひとつでもある、夏向けのもので選んだ曲は?

Base Ball Bearの「PERFECT BLUE」、PE'Zの「Hale nosola sita~LA YELLOW SAMBA~(NICO NICO Ver.)」とか。あとDragon Ash⦆Feat.PES、VERBALの「BEAT SURF」とか、CDの真ん中辺りの部分は特に夏感がありますね」― あと、後半のa flood of circle、DOESからBlankey Jet⦆Cityへの流れはルーツを教えてる感じもありますね。「そこに気づいてくれたら嬉しいですね。毎回ですが、MIX CDは、リスナーと音楽の出会いのツールになれば最高だと思ってるんです。“これ誰だろう?”って探して、聴き手の音楽の世界が広がってくれればなって。ここではワンコーラスだけなんで、フルバージョンは各アーティストのCDで聴いてほしいなと思ってます。

布袋寅泰さん、氣志團、YOSHII LOVINSONから、GREAT⦆3、サニーデイ・サービスというビッグネーム、クラシックから、ラストは東京事変の「能動的三分間」で締め括っていますよね。MIX CD ってある意味、これが正解ですっていうものがないものじゃないですか。DJの作り出す世界観が全てでもあるし。片平さんが、この選曲でこの流れでいこうと決めた、最終的なジャッジはどういうものでした?

確かに、答えはないんですよね。音楽自体もそういうものだし。僕が良しと判断したのは、経験でしかないんです。良いものができたって感覚はものすごくあるので、あとは聴く人が最高と思ってくれたら嬉しいです。

そして、ボーナストラックに片平さんのプロジェクトのGarasの新曲が収録。「Days」は片平さんが作曲した、キラキラしたシンセハウスチューンですね。

僕のオリジナル曲を出すプロジェクトとして、前回からGarasを始めたんです。前回、石毛とホリエアツシ(ストレイテナー)くんにトラック作りを手伝ってもらったんですが、今回アヴェンズのコハタタロウがやってくれたんです。僕のデモはアコースティックギターで弾いた暗い曲だったんですよ。それをタロウに振ったら、思いっ切り元気な4つ打ちになって返ってきて(笑)。良い化学反応ですね。

元OCEANLANEの武居創さんが、歌詞とヴォーカルを担当してますが。

もともと彼の声に惚れ込んでて、僕の曲を歌ってくれたらなって夢みたいに思ってたんですが、お願いしたらOKしてくれて。歌詞は英語なんですけど、前向きな感じですね。朝の太陽が上がってく、新しい始まりの日って感じです。

「Days」に対してのご自身の手応えは?

もう、最高ですね。自分の曲を出す時って、世界が変わるんじゃないかってくらいのイメージがあるんです。もし変わらなくても、希望みたいなものがあって。それくらいの自信はあります。

今回も楽しくも聴き応えのある一枚に仕上がりましたね。

頭空っぽにして自由に楽しんでほしいですね。これをきっかけに、知らなかった音楽を聴いてほしいし。DJイベント、ライヴとか、現場に足を運んでいただければなって。リリースツアーも12月まで行っているので、アンセムまみれの濃いめのパーティーに、ぜひ遊びにきてほしいです。
『ROCK ON PARADE -MEGA ROCK MIX CD-』
    • 『ROCK ON PARADE -MEGA ROCK MIX CD-』
    • TOCT-29183
    • 2013.07.31
    • 2500円
DJ片平 実 プロフィール

カタヒラミノル:今年で17周年を迎えたROCK DJ PARTY『Getting Better』を主催し、全国のパーティーやロックフェスなどでも活躍するDJ 。2009年に初のMIX CD『ROCK THE MIX』を発表。新作『ROCK ON PARADE』を引っ提げ、全国でリリースツアーを7月から12月にかけて開催中!オフィシャルHP

OKMusic編集部

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