【宮野真守】もっと先の未来へ! 無
限の夢と可能性が広がったアルバム

10月4日に初の日本武道館公演を控え、注目を集めている宮野真守がニューアルバム『PASSAGE』をリリース。自身の作詞曲も収録され、アーティストとしてさらに逞しく成長した作品になった。
取材:榑林史章

何かを作り上げている感じはしない 僕
らがやってる感じを録れば作品になる

毎回アルバムはコンセプトを立てて制作されていますが、今回の『PASSAGE』はどういうコンセプトですか?

今回のコンセプトは“未来”です。音楽活動5周年、30歳という節目の年であり、初の日本武道館公演を10月4日に控えているということもあり、自分の歩んできた道を振り返りつつ、経験したこと全てを注ぎ込むことで、想いのこもった力のあるアルバムを未来に向けて発信できたらなと思いました。ですから“未来”と言っても、決してSFチックなものではなく、自分自身が目指す目標というか、その先にある未来というものを意識した作品になりました。

アルバムのオープニング「UNSTOPPABLE」は、1曲目らしいすごく派手なナンバーで。

詞曲はこれまでも数多くの楽曲を手がけてくださっているSTYさんで、自分のアルバムに対する想いやコンセプト、さらに1曲目に相応しい曲にしたいとお願いして作っていただきました。アルバム曲の中で、最初にレコーディングしたのが、まさにこの曲でした。

曲調についても宮野さんから提案したり?

はい。STYさんは音楽活動の中でドラムンベース・ユニットとしても活躍されているのですが、そのサウンドもとてもカッコ良くて好きなんです。僕もそのサウンドで楽曲を歌わせてもらえたら、新たな発見があるのではと思って、ぜひにとお願いしました。歌ったことがない世界観だったのですごく楽しかったし、STYさんのディレクションで気持ち良く歌わせていただきました。いつもそうなんですけど、気付けばあっと言う間に終わってしまって。今回も、もっと歌っていたかったな〜って思いました。

そのSTYさんとは、「passage,」という曲もですね。

今回のコンセプトの上でSTYさんに「UNSTOPPABLE」を作っていただいて、同じようにして作詞のucioさんと作曲・編曲のTSUGEさんにラストに入っている「未来」を作っていただきました。そこでもうひとつ自分の言葉でも、自分が掲げたコンセプトや想いをしっかり言葉にしたいと思って、自分の作詞曲を入れたいと思いました。贅沢なことに、STYさんと一緒にゼロから作らせていただいたのですが…僕が作詞したものをもとに、ふたりでスタジオにこもって、曲調などディスカッションしながら進めるという、今までやったことのなかった制作になりました。

歌詞はどういうイメージで書かれたのですか?

いざ書こうと思った時、僕の中に想いはあるんだけど、それをなかなか言葉にできなかったんです。詞先で曲を作るのも初めてだったので、なかなか進まずにいて。そんな中で刺激になったのは、ジャケット写真などの撮影で北海道に行ったことでした。いつもとは違う地に足を運んで、そこの空気を感じたことで思うことがたくさんあって…もっと言うと、北海道に行く時の機内から、すでに感じることがあったんです。雲を抜けて太陽の光が見えてきた瞬間、言葉が降ってきて、書きたい衝動が沸いて、そこで殴り書きのように書き始めたところから歌詞を進めていきました。結果、僕は自分にあったことしか書けないし、技巧的なことも未熟なので…自分の人生を言葉にしたい、なおかつその先に続く人生についても言葉にできたらと。“旅=PASSAGE”だし、“PASSAGE”は音楽用語でもあるので、この楽節(PASSAGE)に乗せて、言葉を紡いでいけたら素敵だと思って書きました。“PASSAGE”という言葉が出てきた時は、自分の中ですごくしっくりきたものがあって、アルバムタイトルも“PASSAGE”にしたことで、全てがひとつにまとまった感覚がありました。

歌詞には《変わらないままで変わってく》という一節が。これは具体的にどういうことを言っているのですか?

30歳になって何か変わりましたか?とよく訊かれるんですけど、僕自身10代から全然変わってないと思うところがたくさんあって。そういう自分の根本にある部分や、育ってきた環境の中で得てきたことは、きっと変わらずにずっと抱いていくものだと思うんです。同時に、知識や経験などを得ることで、確実に変わっていく部分もあって。確実に歳はとるし、見た目も変わる。でも、マインドは変わらないという…。その両方があって、今の自分は作られていると思うんです。子供の頃に好きなものは今でも好きだし、それが仕事にも反映されていて、何がどう巡り巡って今の自分に影響を与えているかは、誰にも分からないわけで。だからこそ、全てを大事にして受け入れていけば、違ったビジョン…未来が見えるんじゃないかなと。そんな気持ちを込めています。

サウンドは、アコースティックで温かいムードですね。

素朴な曲にしたくて、それこそギター1本とパーカッションだけで歌ってるようなイメージしました。面白いことにこの曲は、夜中に何かで煮詰まった時だったり、ひと呼吸置きたい時に、無性に聴きたくなるんですよね。やっぱり自分の中で、特別な曲になったのかなと思います。

宮野さんは「Calling」という曲でも作詞をされていますが、これは言葉の大切さについて歌っているのですか?

僕自身、便利すぎるがゆえのコミュニケーションの難しさを感じることが多々あって。同時にファンのみなさんの前に立ってパフォーマンスして、想いを共有することができている今がすごく幸せでもある。そんなところから書いていった歌詞です。

また、和テイストのダンスミュージック「Identity」も。

以前から、和のテイストのダンスナンバーの曲をやりたいと思っていたんです。映像でも和服をアレンジした衣装で歌って踊りたいと思っていたので、その世界観でミュージックビデオを制作することができて、とても嬉しかったです。作曲してくださったJin Nakamuraさんとは、前作に収録されている「BEAUTIFUL LIFE」の時、次はダンスナンバーをやりたいねって約束をしていて。Jinさんも海外で活動する中で、日本人のアイデンティティーについて思うところがあったそうで、お互いの想いが重なったことで生まれました。

歌詞は古めかしい言葉の言い回しがあるかと思えば、英語も入っていたりして、独特な世界観ですね。

ミクスチャーというか、新しい表現に挑戦できました。作詞は荘野ジュリさんで、古き良き日本の古語の世界を上手く採り入れていただきました。僕自身、声優としていろいろな作品に出会うのですが、『ちはやふる』という百人一首を題材にした作品に出演させていただいて、和歌の美しさや“わび・さび”に触れる機会があって。昔から朽ちることなく続いているものは、本当に美しいと感じたし、それはこれから先の未来にもずっと残っていく美のひとつだろうと思ったんです。今回、日本語の美しさを改めて感じたし、やわらかい妖艶な世界観の上にパッションが乗るのは新しい発見で、新鮮な気持ちで歌うことができました。目黒雅叙園で撮影させていただいたミュージックビデオは、すごく煌びやかな和のテイストと激しいダンスが融合した、観応えのある映像になったので、ぜひ観てほしいです。

OKMusic編集部

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