【nano.RIPE】誰もが浮かべる“ザ・
田舎”の情景を感じてほしい!
この夏は『Animelo Summer Live』などのフェスに出演したnano.RIPEが、約5カ月振りのシングル「なないろびより」をリリース。温かくてやさしい情景が浮かぶ楽曲に仕上がった本作について、きみコ(Vo&Gu)が語ってくれる。
取材:榑林史章
表題曲「なないろびより」は、アニメ『のんのんびより』オープニング主題歌で、きみコさんの作詞作曲。『のんのんびより』は田舎に引っ越してきた都会育ちの小学生が、さまざまなギャップに驚く、“田舎あるある”みたいなアニメだそうですね。
物語に起伏がなくて、タイトルの通り本当にのんびりと進んでいきます。以前にタイアップさせていただいた『花咲くいろは』のようなドラマチックさとは対極にあるアニメ作品なので、最初はバラードのほうがいいんじゃないか?と思ったのですが、監督さんからは、オープニング主題歌だしパッと華やかなイメージがいいと。“田舎できみコが気持ち良く歌っているイメージが浮かべば、あとは気にせず書いてほしい”ということでしたので、自由に書かせていただきました。あと、田舎の景色が素敵なアニメなので、歌詞では一人称をなくして、景色が目に浮かぶことを意識しました。
きみコさんが想像した田舎って、どういうイメージ?
実家が千葉県の外房のほうなので、海や山がたくさんあって…そういう地元の風景ですね。監督さんとお話をした時も、誰もが思い浮かべる田舎というものをテーマにしようと言っていたんです。田舎で生まれ育った人はもちろん、田舎を知らない都会の人たちが想像する田舎も、結局は同じような情景に行き着くんじゃないかと。そういう、誰もが思い浮かべる“ザ・田舎!”みたいなものを描こうと。
魚が空を飛んでいるような表現も面白いですね。
あたし、空を飛んでいる夢をよく見るんです。ただ、鳥のように飛んでいたことは一度もなくて、たいてい泳いでいて。それもあまり上手くなく、ジタバタともがいているみたいな。そういう夢があって、こういう歌詞になったと思います。
サウンドは、すごくポップですね。
はい。キラキラした感じが出したくて、そこはササキジュンらしいギターが炸裂しています。どことなくノスタルジックなイメージもあるし、nano.RIPEのシングル曲の中でも一番ポップな曲調になりました。
《宝物を集めて》という歌詞が出てきますが、nano.RIPEにとっての宝物はやはりファンの存在ですか?
やっぱりライヴをやっている、あの瞬間です。それだけを頼りに生きていると言ってもいいくらいで、ステージから観える景色が、次への活力になっています。そういう意味では、初回限定盤に付くDVDには、5月26日に渋谷WWWで行なったライヴの模様が収録されているので、それもぜひ観てほしいです。自分でも自分たちのライヴDVDをよく観るのですが、いつも自分やメンバーを観るよりもお客さんの顔をじっくり観ていて。ステージから客席を観たアングルだけの映像が欲しいくらい。あの瞬間は、何ものにも替えられないです!
カップリングの「きせつの町」はギターのササキジュンさんの作曲ですが、季節や日常の風景を感じさせるテイストで「なないろびより」と少し似ていると思いました。
実は、「きせつの町」も『のんのんびより』のために書いた曲です。コンペってわけでもないけど、自分とササキジュンで1曲ずつ書いて提出して、どちらが採用されるかって。それで、今回は「なないろびより」が勝ったみたいな(笑)。
じゃあ、テーマ性が似ているはずですね。
同じテーマで作っていますから(笑)。ただ、「きせつの町」も本当にいい曲で、メンバー全員お気に入りです。アニメ内で使われることがないのは残念ですが、みんなにもぜひ聴いてほしいという気持ちが強くて収録することにしました。
ササキジュンさんは悔しがっていたでしょうね。
悔しがっていましたよ。でも、その代わりではないですが『のんのんびより』のネットラジオ番組のエンディングで使ってもらうので、少しは報われるんじゃないかな(笑)。
サビの歌詞は似た感じの言葉が並んでいて。でも、その分、たくさんの情景が浮かぶのがすごくいいですね。
一見言葉が並んでいるだけですが、よく読むと季節が巡っています。例えば《菜の花 向日葵 金木犀 舞い散る綿雪 溶けて桜雪》っていう具合に。1番のサビは目で見るもの、2番は鼻、3番目は耳で聴くものというふうに、それぞれで統一させていて。
なるほど〜!
だから、すごく悩みましたよ。過去ここまで悩んだことはないんじゃないか?というくらい何度も書き直しました。だからこそ、CDで最後までちゃんと聴いてほしいです。
もう1曲の「めまい」は、3曲中唯一のアップテンポで。
これは、今年に入ってすぐにできて、ストックしていたものです。3曲目には、11月にスタートするツアーでやりたい曲を入れようということで選びました。アレンジも完全にライヴを想定していて、前の曲が終わってすぐあたしの歌で♪め〜ま〜い〜って始まったら絶対にアガるよね!って。
タイトルの“めまい”とは?
めまいがするくらいの恋の歌なので。実は5 月にリリースした「サンカクep」の1曲目「スターチャート」の物語の続きを書いています。アンサーソングというかたちはたまにやるし、「影踏み」という曲の10年後をイメージして「手のひらのマリー」という曲を作ったことはありますが、同じ主人公のすぐ後の物語を書いたのは初めて。三部作にしたいと思って続きの構想を練っているので、楽しみにしていてください。
そして11月からのツアーですが、“スポットライター”というタイトルが付いていますね。
造語で“スポットライトを浴びている人”という意味。ライヴの時、ステージ側から観るとお客さんがライトを浴びているように観える瞬間もたくさんあって。ひとりひとりがその人の人生の主役で、スポットライトを浴びている…。そんなところから付けました。今回はいつもより本数も多めで、たくさんの地域にうかがいますので、ぜひ観に来てください!
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「なないろびより」2013年10月30日発売Lantis
- 【初回限定盤(DVD付)】
- LACM-34146 2200円
ナノライプ:前身バンドを経て2004年にnano.RIPEとなり、地元である千葉・東京を中心に本格的な活動を開始。08年、インディーズレーベルよりミニアルバム『空飛ぶクツ』を発売。草野マサムネ(スピッツ)など多くのアーティストから推薦コメントが寄せられ、話題となる。10年、Lantisよりメジャーデビュー。その後、メンバーチェンジを経て、現在はきみコとササキジュンのふたりで活動を続けている。nano.RIPE オフィシャルHP