L→R DJ KATSU(DJ)、TOC(MC)

L→R DJ KATSU(DJ)、TOC(MC)

【Hilcrhyme】5周年に相応しい最高の
シングルができた

9月6日に初の日本武道館公演を控えるHilcrhymeの新たなる意思表示とも言えるニューシングル「FLOWER BLOOM」が完成! デビューから5年を経たからこその柔軟性や自由度、さらに覚悟と決意を実感させる意欲作について語ってもらった。
取材:石田博嗣

デビューから5年が経った今とこれから
のことを考えて作った

アルバム『FIVE ZERO ONE』が“5年目で一度0に戻り、1から作り出す”というものでしたが、ということは今回のシングルはそこからの一歩になるわけですか?

TOC
そうですね。新しい一歩にもなるし、今までのHilcrhymeを決算したようなシングルになったかなと思っています。

デビュー5周年第二弾であり、武道館公演前であり、次のステップでもあり…と、いろいろな意味を持つシングルだと思うのですが、このタイミングではどんなものを出そうと思っていたのでしょうか?

TOC
まず音の作りはふたりで話し合って決めましたね、「FLOWER BLOOM」に関しては。で、テーマは自分なりに考えて、デビューから5年が経ったHilcrhymeの今と、そしてこれからのことを考えて作りました。やはり5年目はひと区切りというか、節目の年だと思うので。武道館もあるけど、そこで“頑張ったね”みたいなひと段落という感覚ではなく、あくまでも未来に進むための分岐点にすぎない…武道館公演のサブタイトルが“Junction”で“分岐点”という意味なんですけど、そういう感覚ですね。ここからどう行くのかを考える時期という意味も込めて、この16枚目のシングルは5周年に相応しい、今までで一番良い最高のシングルができたと思っています。

《花は2度咲き誇るだろう》と歌詞にもあるように、ここから次のステップに向かうと?

TOC
実は“花は2度咲く”というタイトルにしようと思っていたんですけど、さすがにそれだとネガティブだなと思って。別に1回枯れたわけでもないので(笑)。桜とかそうじゃないですか。4月に咲いて、1回散ってしまうけど、また4月には咲き誇る、みたいな。そういう、ずっと存在し続ける花でありたいなという意味合いです。

だから、《地に張った根っこは残ったまんま》というフレーズもあって。気持ちにブレはないぞ、みたいな?

TOC
そうですね。あと、新潟にいるっていう意味が強いです。その地に張る根っこがあるというのは。なので、この曲のミュージックビデオは新潟で撮影して、思い入れのある土地で撮ったり、友人や地元の音楽仲間にも出てもらったりしていて。そういう今までの過去の決算をしつつ、ちゃんと前を向いている曲ができたと思います。

確かに、《離れたくない 産まれた場所》とも歌ってますものね。

TOC
そこはストレートに。なので、歌詞は書いてて楽しかったです。《綺麗に花壇 並べられた花》というラインは、新潟にいる自分たちから見た東京というか。やっぱり全部が集中しているのは東京だから。けど、東京に住むことはなかった。ほとんど仕事の場は東京なんですけど、東京に住むのじゃなくて、地元に根を張りつつ東京には仕事の時に行くっていうスタイルを、今後もしていきたいなと思っています。

東京に住もうは思わなかったのですか?

TOC
デビュー前は何も分からなかったから、東京に行くことが音楽の成功の第一歩みたいなふうに固定観念があったんですけど、ふたりで話し合って、それは違うんじゃないかという結論に至って…だから、最初はちょっと思ってましたね。
DJ KATSU
俺は個人的に東京へ遊びに行ったりもしてたんですけど、東京は住むところじゃないなって。あまりにも新潟と東京の差が激しいから。あと、当時はずっと新潟でクラブイベントをやっていたんで、東京に行ってしまったら今までやってきたことが意味なくなるというか…むしろ、それを突き詰めるのもひとつのやり方かなと思ってたし。曲を作るのは東京にいても、新潟にいても作れるから、その時は別に行かなくていいんじゃないかっていう結論に至って。結果、メジャーデビューしてもやっぱり新潟在住でやれてるし。

今はネットもあるし、わざわざ東京に行くこともないですしね。

DJ KATSU
そうですね。であれば、やっぱり自分の生まれ育った街にいれるのがいいですよね。

では、「FLOWER BLOOM」の話に戻りたいのですが、TOCくんがさっき言っていた音の作りの部分で、どんなものをやろうと思ったのでしょうか?

DJ KATSU
まず、今年は5周年だし、武道館もあるっていうことで、3曲構成はどうかという提案があったんですね。今までシングルはカップリングを入れて2曲…デビューシングルだけ3曲だったかな? 最近のシングルは2曲体制だったから、今回は5周年ということも含めて3曲でやろうと。で、「FLOWER BLOOM」はざっくりとしたラフができていたから、それをシングルとして仕上げようとなったんです。ある程度曲の内容が固まってからブラッシュアップというか、曲の最後の展開とかを考えて。“花”をテーマにした曲だったので、デビューアルバム(『リサイタル』/2010年1月13日発売)に「ツボミ」という曲が入っているんですけど、そのフレーズを使ったりとか。そういう試みも入れていますね。

もともと“花”をテーマにしようと?

DJ KATSU
最初はいろいろな候補のトラックがあって、この曲の1番…ワンコーラスくらいをTOCが上げてきた時に、そういうテーマだったから、その方向性で仕上げていって。で、3番で展開を変えて、そこで「ツボミ」のフレーズを使ったりするのはどうだろう?ということでやってみようって。

ということは、TOCくんはトラックを聴いた時に“花”というモチーフが思い付いたと?

TOC
最初に《flower bloom tries again》というワードが出てきて…そこはちょっと変えたんですけど、“花”がポンと出てきたのかな。そこに明確な意思はなくて、作っていったら出てきたという感じですね。でも、ちょうどいいタイミングに、ちょうどいい曲ができたなと思っています。

すごくシンプルで、ドラマチックで、開放的でもあって、まさに開花する感じのあるトラックだなと思ったのですが、そういうトラックがあって、このメロディーや歌詞が乗った?

TOC
サビのメロは毎回3小節目で一番トップに上がって、まったく同じメロディーをループするという自分のスタンダードな作り方なので、あまり意識せず、普段通りに作ったという感じですね。それでもキャッチーなものになるっていうのは、自分の中でもう確信しているので。一番上がるところ…《花は2度》で“に”って言いやすいんですよ。な行はすごく言いやすい。発音のアタック感とかもすごく良くて。次だったら《大きな》の“な”。歌詞の内容を重視しつつ、子音も考えて作っているんですけど、それがうまくハマったかなと思っています。

DJ KATSUくんはメロディーと歌詞が乗って、さらにトラックをブラッシュアップしていった感じですか?

DJ KATSU
そうですね。この曲はバースからサビまではコード的にループしているだけなので、3番に結構大きな展開を付けたんですよ。で、さっき言った「ツボミ」のフレーズを入れたりしたのも、完全に間奏としてそこのフレーズを聴かせてから歌い出すってのが演出的にいいんじゃないかと思って。ループしているんですけど、そのリズム感がすごくいい…あのくらいのテンポで4つ打ちっぽい感じだと、歩いて一歩一歩進んでいくような雰囲気になるので。そこから3番にかけての盛り上がりもいい感じになったし、すごいいい感じにまとまったと思います。

3番の展開が変わるところは、この曲の聴かせどころですよね。派手に変わって盛り上げるのではなくて、音数を極力なくすことで聴く人のイメージを掻き立てるみたいな。

DJ KATSU
そうですね。1回完全に抜けてピアノだけになったりとか。そこからまた戻っていくのはすごい歌詞にも合っているし。

この曲の歌入れは、どんな気持ちで臨みました? 言葉のひとつひとつが強いと思ったのですが

TOC
あー、そうですね。そういう覚悟とか決意みたいなのはあるかもしれない。あんまりラップ的には変えたつもりはないですけど、内面的なものが出てるかも。自分たちで立ち上げたスタジオでレコーディングしてるんで、録り方にもすごいこだわっているし…それは機材の面でも。太く、厚く、濃くヴォーカルを作りたいというか、録りたいんですよ。そういう音楽技術的な面じゃない部分なんでしょうね。どんな機材を使っても自信がなかったら、やっぱりそういうテイクになっちゃうだろうし。そう言っていただけるのは嬉しいですね。

さっきDJ KATSUくんが言っていた3番の展開が変わるところ、「ツボミ」のフレーズが入った後の部分はすごく響いてきました。

TOC
そこはミュージックビデオでも一番の見所というか、観ていてグッとくるところなので、初回盤に付いてくるDVDはぜひ観てほしいですね。

あそこは鳥肌ポイントですよ。

TOC
ありがとうございます。この曲の一番伝えたい部分なのかなと思いますね。

そして、2曲目が「鼓動」。これはどういう曲を作ろうと?

TOC
適当に鍵盤を叩いていたら、わりといいサビができたから、これは歌強めの曲にしようと思って。で、テーマはその時ちょうど子供が生まれそうだったので、その時の気持ちをそのまま書いたという感じですね。壮大な曲になればいいなと思っていて…A面ではないけど、生のストリングスが入っていたりとか。そんなイメージでした。ダンスミュージックからはかけ離れたものにしたかった。

歌詞は愛にあふれてますね。

TOC
僕以上の愛妻家はいないんじゃないかと思うくらい、愛にあふれていますね(笑)。

あふれているがゆえに、《怖くないと言えば嘘になる》というフレーズも出てくるのでしょうね。

TOC
そうですね。2014年に生まれた子供が20歳になった時、2034年の日本は激変していると思うし…今まさに激動の時代だし。どういう時代になるのかを考えると、この子が大人になった時に怖いなっていうのが正直あるけど、それでもしっかりと守りたいという。

あぁ、自分が父親になることの不安じゃないのですね。

TOC
それではないです。…いや、それも含めてですかね(笑)。

この曲に対するDJ KATSUくんの感想は?

DJ KATSU
“あ、こういう心境なんだろうな”と(笑)。本当、そのまま今の気持ちが歌になった曲だなと思いますね。

この曲を今回のシングルに入れるというか、このタイミングで出すというのは、何か意図があって?

TOC
いや、単なる偶然です(笑)。ただ、シングルを3曲入りにすると決まった時に「FLOWER BLOOM」と「鼓動」があって、もう1曲がすごいアップテンポだから、ものすごくいいバランスだし、バラエティーにも富んでいて、「鼓動」のこの曲調は今回のシングルにすごいハマりましたね。

OKMusic編集部

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