【BRADIO】『FREEDOM tour 2017』20
17年4月30日 at 中野サンプラザ

撮影:木場ヨシヒト/取材:田山雄士

 2ndフルアルバム『FREEDOM』を引っさげたツアーのファイナルは、BRADIOにとって初のホールワンマン。それだけにスペシャルが盛りだくさんだった。開演前には、真行寺貴秋(Vo)が“ファンクネスの心得”などを面白おかしく伝授する場内アナウンスがライヴへの期待を膨らませる。バンド編成も超豪華で、真行寺、大山聡一(Gu)、酒井亮輔(Ba)、田邊有希(Dr)を含めて計10人がステージに! ルルルルズの奥野大樹(Key)が第2のメンバー的ポジションに入り、永田こーせー(Sax)、真砂陽地(Tp)、前田大輔(Tb)による通称“BRADIOホーンズ”と、黒人女性コーラスのイマニ&エボニーが両サイドから彩りを添える布陣だ。

 ウォームアップのインストを華麗にお届けして、オープニングナンバーは「彼女ハリケーン」。田邊と酒井が重心の低い音でじわりじわりと攻め、ホールを活かした照明もド派手にムーディーに輝く中、間奏では真行寺の歌と大山のギターがアドリブ感たっぷりで掛け合うなど、のっけからワクワクさせてくれる。そして、「Flyers」の威勢のいいイントロが鳴り響けば、まだ席に座っていた何人かのFPP(FUNKY PARTY PEOPLE)たちもたまらず立ち上がり、両手を掲げてダンシング! 「HOTEL エイリアン」でハイテンションはさらに加速し、それに呼応してホーン&コーラス隊まで踊りまくっている。

 “BRADIO最長のツアーで12本目、夢の中野サンプラザやって来ましたーーー!!!”という真行寺の雄叫びに、会場へ詰めかけたFPPが長く温かい拍手と歓声を贈る。そんなFPPに対し、大山が最高デシベルの“Whooo!!!”をおねだり。“予想以上のWhooo!!!にドキドキしてます”と酒井も笑顔を見せると、田邊は“元気ですかー!! 今日は忘れられない夜にしたいと思うんで、よろしくお願いします!”と意気込みを示した。

 16ビートの疾走ファンク「-Freedom-」で開放感を爆発させ、ライヴはなおも勢いづく。真行寺+コーラス隊による息を呑むほど美しいアカペラで始まった「Overnight Superstar」では、お馴染みの“ぐるぐる旋風”で全員が熱く燃える。ソールドアウトの中野サンプラザ、ミラーボールが回る中でのその光景はただただ壮観! また、ビターなソウルチューン「蝙蝠」をしっとり聴かせたあと、特別な場でこれまでと違うBRADIOが見せられる喜びを真行寺が切々と語るシーンもあった。

 中盤~終盤にかけては、曲間で酒井、大山、田邊それぞれがソロも披露。そして、「You Make Me Feel Brand New」「思い通りにならない世界」「Ride On Time」は“ROOM BRADIO”と題したセッションで楽しませていく。ステージにシャンデリアが灯り、しばし座りパフォーマンスで、奥深いミディアムナンバーにゆったり浸るひと時。思いが高ぶったのか、途中からは立って熱唱してしまう真行寺だったが、そんなところにも彼らの実直さが窺える。

 “こういう場所でやれるのも、みんなに出会えたのもオカンのおかげかなと。産んでくれてありがとう。オカン、歌うぜ”という真行寺の言葉から《今ここにいることが誇らしく思える》と歌い始めた、『FREEDOM』の重要なピースである「ギフト」もグッときた。最大級の感謝を渾身の歌声と演奏で伝え、ライヴはクライマックスへ。

 「Revolution」では、敬礼ポーズでのコール&レスポンスも冴えわたり、いよいよ絶好調にノッてきたところで女性ダンサー3人がステージに乱入! 巨大なカラフルボックスも運び込まれて“早着替えか!?”と思いきや、姿を消した真行寺が突然1F客席の下手に現れるというイリュージョン演出で驚かせた。こうなったらもう止まらない。そのまま1階席をぐるりと練り歩き、FPPと肩を組んで歌ったりと大暴れ!! 《Bomb! Cute! Bomb!》の振付でお祭り騒ぎの「スパイシーマドンナ」、ソウルマナーたっぷりのダンスをもって会場が骨の髄までシンクロした「Back To The Funk」へとつなげ、熱狂のうちに本編を締めた。

 最高のムードを受け継いだアンコールは、一段とさわやかな光が降り注ぐ中で「All I Need Is You」。ラストに万感の「Colors」が披露されると、ステージには雪が舞い降り、場内はなんとも温かい雰囲気で包まれたのだった。加えて、終演後の集合写真撮影まで済んだところで、この公演をキャリア初のライヴDVDとしてリリースすること、さらにワーナーミュージック・ジャパンからメジャーデビュー決定という、まさかのサプライズ報告も行なったBRADIO。外タレのような圧倒的存在感で3時間のタフなショウを繰り広げた彼らは、本物のエンタテイナーに近づいてきている。新たにメジャーへと舞台を移し、その挑戦はまだまだ続く。

セットリスト

  1. 彼女ハリケーン
  2. Flyers
  3. HOTEL エイリアン
  4. Super Wonderful
  5. -Freedom-
  6. Step In Time
  7. Overnight Superstar
  8. 蝙蝠
  9. You Make Me Feel Brand New
  10. 思い通りにならない世界
  11. Ride On Time
  12. KAMISAMA
  13. Get Money
  14. ギフト
  15. Playback
  16. Golden Liar
  17. Revolution
  18. スパイシーマドンナ
  19. Back To The Funk
  20. <ENCORE>
  21. All I Need Is You
  22. Colors
BRADIO プロフィール

ブラディオ:日常の世界(Rule)に素敵な時間・空間のイメージを加え(Do Image On)、良き変化(Break)を。2010年に“日常に彩りを加えるエンターテインメント”をコンセプトに結成。楽曲ごとに異なるサウンドを鳴らすドラムンベースを軸に、さらに熱唱&ファルセットを使い分ける個性の強さが魅力のヴォーカリスト真行寺の歌声でライヴに来た“FUNKY PARTY PEOPLE”を虜にするエンターテイナー集団! 13年10月に1stミニアルバム『DIAMOND POPS』を全国リリースすると、14年夏には『イナズマロックフェス2014』に出演を果たし、その後も各地のサーキットイベントにも勢力的に活動を広げる。17年10月にシングル「LAPAPARADISE」でメジャー進出し、18年7月にはアルバム『YES』をリリース。19年、シングル1作品、20年に配信シングル1作品を発表し、21年4月に約2年9カ月振りのアルバム『Joyful Style』をリリースする。BRADIO オフィシャルHP

OKMusic編集部

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