L→R 結生(Gu)、ネロ(Dr)、ガラ(Vo)、健一(Gu)、テツ(Ba)

L→R 結生(Gu)、ネロ(Dr)、ガラ(Vo)、健一(Gu)、テツ(Ba)

【MERRY】“MERRYっぽい”を濃くする
のが今回のテーマ

約3年5カ月振りとなるアルバム『NOnsenSe MARkeT』が完成! ガラ(Vo)の椎間板ヘルニアの手術とリハビリのための活動休止、テツ(Ba)の頸髄損傷によるバンド離脱を乗り越え、改めて“MERRYとは?”を追求したという本作は、必然的にMERRYの深部が垣間見れる作品となった。
取材:土内 昇

馬鹿みたいなことを真剣にやっていたの
がMERRY

オリジナルアルバムとしては『Beautiful Freaks』以来、約3年5カ月振りなのですが、この3年5カ月というのはMERRYにとって波瀾万丈でしたね。

ガラ
結成10周年のシングルだった「群青」(2012年5月発売)を出した頃からアルバムの話はしていたんですけど、そこから僕の腰の手術があったり、ベースのテツさんの怪我があったりして、13年やってきた中でもこの数年というのは、MERRYにとって踏ん張りどころの日々でしたね。
ネロ
ネガティブな自分とポジティブな自分が常にいましたね。ネガティブなことを言ってしまうと、ネットを見れば他のバンドはバリバリ攻め続けていて、ライヴをやったり、作品を出したりしてるのに、“なんで、俺らだけこんなことばかり起こるんだよ!”って思ってしまったり。でも、ポジティブに切り替えられたのは、これはそんなバンドたちには味わえない貴重な体験なのかなって。それを乗り越えて強くなったことって絶大な財産にもなるし。
健一
ひとつのバンドの一生というか、その中で1回起こるか起こらないかっていうようなことが何度も起こって不運なところがあったと思うんですけど、それだけ他のバンドにはできない経験ができたと思ってます。常にバンドなり、自分を見直してましたね。
結生
長くやっていれば何かが起こる確率は絶対にあるわけで…それはバンドに関わらず。だから、これは必然的になことであって、当たり前のことなのかなって考えるようになりましたね。結成して13年になるんですけど、同じメンバーでずっとやり続けていることが何よりも誇りに思えるので、細かいことは気にしなくなりました。
ネロ
このアルバムが出来上がって思ったことなんですけど、ガラの腰の痛みはガラにしか分からないし、テツさんの首の痛みもテツさんにしか分からないんですけど、MERRYのことを一番に考えて動いてくれたことにすげぇ感謝しています。それで出来上がったアルバムだし…テツさんが最後にベースを入れたんですけど、ネット通信を使ってのレコーディングだったんですよ。そういうのも今の時代だからこそできたことなので、そういうことも含めていろんな経験ができてます。

そんな中で、今回はどんなアルバムにしたいと思っていたのですか?

ガラ
「群青」を出した時にアルバムを出そうって話をしてたし、「ZERO -ゼロ-」(2013年11月発売)っていうシングルを出した時にはアルバム用の曲も作ってたんですね。だから、アルバムの構想だけでも3年ぐらい費やしてるんじゃないかな。でも、まだその時にはタイトルも決まってませんでしたし、コンセプトみたいなものもぼんやりとしてて、“ライヴ”だけをキーワードにして曲を作ってましたね。
結生
あと、その時期は『Beautiful Freaks』の延長っていうものをすごく意識していましたね。いろいろな経験をすることで、そういう小さいことじゃないものになったと思います。

そんな今回のアルバムなのですが、『Beautiful Freaks』のインタビューの時には“デビュー当時のMERRYを感じた”と言ったと思うのですが、今回はインディーズ時代のMERRYを感じました。

ガラ
そこは意識していなかったんですけど、このアルバムのタイトルを決めるのに、みんなとSkypeや話し合いをしていた中で…特にネロと話してたことなんですけど、“MERRYって何なんだろうね”って。で、ネロが言ってたのが、馬鹿みたいなことを真剣にやっていたのがMERRYなんじゃないかって。やっぱり、そこなのかなって思いますね。なので、そこをもっと磨こうっていう話をネロとしてました。
ネロ
何でもそうだと思うんですよ。ファッションにしても、ビジュアル系と呼ばれる括りの中だとしても。最初は“マジかよ!?”って思われるものであっても、自信を持って表現し続けていけば、それがいずれはカッコ良いものになり、流行りになっていくと思うので、“MERRYっぽい”というものをもっと濃くするのが今回のアルバムのテーマだと思ってました。

うんうん。だから、例えば前作が真っ直ぐなトゲだとすれば、今作はそれがグニャグニャなかたちだったり、ひん曲がっていたりするんですけど、さらに殺傷力が高まっている印象でした。で、改めてMERRYって変なバンドだなって(笑)。

ネロ
変なバンドですよ(笑)。
ガラ
そういうバンドが、この世の中にひとつぐらいあってもいいんじゃないかなって思いますね。今回のアルバムの取材を何回か受けている中で、“持っているナイフをすごく磨きまくって、尖らせまくった”って言っていたんですけど、その殺傷力の部分では、今言ってもらったようなことかもしれないですね。

曲がっている分、刺さると抜けないですからね。そんな今作ですが、制作期間が長かった分、アルバムの候補曲はいっぱいあったのですか?

ガラ
みんな頑張って作ったんで、60曲ぐらいあったんじゃない?
ネロ
アルバム3枚分ぐらいはありましたね。iTuneに入れてるんですけど、シャッフルで聴いている時に3年前や2年前の曲がポッと出てきたりすると、もう若いんですよ。で、“この時はこんな心情だったんだな”って思ったり。さっき言った、よりMERRYっぽさを研ぎ澄ますっていう意味では、いい曲たちが出揃ったと思いますね。最初の頃…それこそ3年前ぐらいのデモは変に意識しすぎてました。
結生
期間が3年以上空いているんで、1stアルバムに近い感覚がありますね。同時期に全部作ってないから、3年前の曲もあれば、1カ月ぐらい前に出来上がった曲もあるんで、そう考えるとすごく深い。1stアルバムってそうじゃないですか。2ndアルバムからは…まぁ、バンドによりますけど、1年や2年に1枚ってなってくると、その時の自分たちを切り取ったアルバムになってきますけど、今回は3年半の歴史が詰まってると思います。ほんと、「群青」から始まったと思いますね。

アルバム用の曲を作る時も、さっきガラくんとネロくんが話してたという“MERRYっぽさ”というのを意識しつつだったのですか?

ネロ
それを一回、ぶっ壊したかったんですよ。そういうことを3年前に言ってたんですけど、この5人でやると結果的にMERRYっぽくなるんですよね。今なりのMERRYになるというか。2曲目の「NOnsenSe MARkeT」は最近できた曲で、今ならではのMERRYを哀愁のあるレトロックで出そうというテーマをもとに歌詞ができて…バンド初の詞先で作った曲なんですけど、それ以外の曲は挑戦や冒険から始まってますね。

そうやってMERRYらしさを壊したり、新たな実験や挑戦をしたというのは、逆に“MERRYっぽさ”が磨かれていく自信があったから?

ネロ
それが分かった上でしたね。
結生
逆にMERRYらしくないものを作るほうが難しいですね。常にそれに挑戦してるんですけど、結局はこうなるというか。それでいいと思うんですけどね。それだけ個人個人のキャラが強いってことだと思うんで。

健一くんは曲作りの時にどんなことを意識していました?

健一
自分は昔から作り方は変わらないですね。そこはマイペースにやってました。狙って作ろうとすると…ってか、狙って作るってことができないんで、基本的には自分がいいと思ったもの、好きなものを作ってました。それがアルバムの中で良いアクセントになればなって。

アルバムの方向性や進捗状況だったり、現在のバンド内のモードとかは、ちゃんとテツさんにも伝えていました?

ガラ
はい。これはテツさん本人が言ってたんですけど、ライヴから1年以上離れちゃっているし、逆に僕ら4人は常にライヴをやってて、日々いろいろな刺激を受けてるんで、その温度差みたいなものをすごく彼は気にしてたんですよ。曲出しをしても、他のメンバーが自分よりも1歩も2歩も先に行っている感じがするっていうか。僕ら4人は気付いてないんですけど、テツさんは外から見ているから、自分が追い付けていないってことを気にしていましたね。だから、そこはすごく話をして、曲ができたら“この曲はこういう想いで作ったよ”ってコミュニケーションをとるようにしてました。
結生
でも、俺らからしたらテツさんが作る曲が、今の自分らには絶対に作れないものだったんですよ。
ガラ
作れない! アルバムに入ってない曲もあるんですけど、昔からテツさんってマニアックっていうか、暗めの曲が多いんですね。今回は“これがどん底ってものなんだろうな…”って思うような曲が多かったんですよ。音楽ってその人の生活や置かれてる環境ってものが出るんだなって。仮歌もテツさんが歌っててメロディーも入れてあったんですけど、どれもが“俺は頑張って生きているんだ!”みたいなことを歌ってたし、そこに妙な説得力があったんですよ。それを聴いた時に“これは今のテツさんにしか書けないよな”って思ったし、もしかしたらそういう曲もアルバムに必要かもしれないっていう話をメンバーとしましたね。で、テツさんって現場にいなかった分、一番客観的にMERRYを見れた人物なんですよ。

そういう意味では、「Zombie Paradise ~地獄の舞踏曲~」は『THE ZOMBIE~地獄に堕ちた野郎ども~』というツアーに向けたライヴ仕様の曲だったのですが、テツさんの曲のせいか、ちょっと異質ですよね。

ガラ
テツさんがリハビリをしながら、俺らに“ライヴ、頑張ってね。頼むよ”って気持ちで作った曲が、この4つ打ちのダンスビートだったのかもしれないですね。自分もライヴしている感じというか。僕、正直言って最初に聴いた時は、MERRYにこういう曲調の曲がなかったから、“これはちょっとないな”と思ってたんですよ。でも、逆に“今までのMERRYになかったものにも手を出してみよう”という気持ちになったし、それがこのアルバムにもつながっていったんですよね。一歩踏み出してみようっていうきっかけになったのが、テツさんの書いた「Zombie Paradise ~地獄の舞踏曲~」でしたね。

OKMusic編集部

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