【さかいゆう】さかいゆう、不器用者
たちと集う!

これまで多くのコラボレーション楽曲を発表してきた、さかいゆう。そんな彼から、過去のコラボレーション楽曲を中心に、新録・新曲3曲含む初のコラボレーションアルバム『さかいゆうといっしょ』が届けられた。さかいの幅広い交友とセンスがさまざまな昇華や融合、化学変化を伴って曲ごとに我々の耳を楽しませてくれる今作。そんな彼にコラボの魅力を紐解いてもらった。
取材:池田“スカオ”和宏

今作を聴いて、さかいさんのソウルフルさやソフィスティケイトされている面、リズムも大切にして歌ってきたところ、そして相手を立てて引き立たせる術に長けている人だったことに改めて気付きました。

僕自身、コラボ曲自体が、自分も立ち、相手も立たせるものだと定義しているんです。やっぱりトータルで良くないとダメで。それはマイルス(・デイヴィス=世界的な伝説的ジャズトランぺッター、故人)にしてもそうで。すごい刀を持っているんだけど、結局自分だけ目立っちゃったら、ただのワンマンじゃないですか。だけど、マイルスは自分だけ目立つのが嫌なタイプだったから、自分のソロが終わると、カーテンの奥に引っ込んで次のメンバーのパートに継いだり、あえてその人のソロの時に自分が横に立つことで、その人に目を惹かせたりしていたんです。プロレスで例えると、相手の技をしっかり受けつつ、自分の得意技で返す、みたいな。その自分の強さと相手の強さを両立に引き立たせる。特に僕がプロデューサーの際はそこをより意識してるかな。基本、僕はみんなで感動を作り上げるのが好きなタイプなので。

全体でどんな作品になるかを思い浮かべながら自身が歌を入れていると?

いわゆる総合芸術です(笑)。そんな中でも、ことコラボに関しては、器用にいろいろな技を使い分けている方よりも、技はひとつだけど、伝家の宝刀的なものを持っている人たちとやってきた感はあるかな。ある意味、不器用者の集まりかもしれない、この作品は(笑)。

不器用者って(笑)。まっ、当たらずと言えども遠からずとだけ返しておきます (笑)。

(笑)。例えば、唯一無二の声や歌唱、楽器の演者だったら、その一音がまさにその人を象徴している…そんな人たちに惹かれて、一緒に作り上げてきたんだろうなと聴き返して改めて思いました。このコラボに関しては各曲、みなさん自分の一本刀やアイデンティティーをぶつけてきてくれたんで、それが埋もれるようなアレンジには決してしない…そんなことを常に心掛けてやってきたかな。

ちなみにコラボに呼ばれる際は、どのような意識を持って臨まれてますか?

何も考えてないですね。相手に合わせることもしないし、無理矢理自分のフィールドに持ち込むこともしない。“呼んでくださってありがとう”と、いちシンガーとして参加している感じです。なので、完成品を聴いて初めて、“あぁ、あの時は、こう歌っていたのか…”と改めて気付くことも多い(笑)。向こうもそれが欲しくて呼んでくださるんでしょうし。

コラボを依頼する場合の基準があったら教えてください。

流れや縁、つながりが多いですね。今回の日野皓正さんは、僕が好きでオファーしましたが。

その際に相手へのリクエストなどは?

実際のレコーディングに入っちゃうとお任せになっちゃうけど、事前にはかなりディレクションしちゃいます(笑)。とはいえ、毎度そんなには必要なくて。一緒に作っているとビジョンも一緒になっていくから、自然と自分が望んでいるものになっていくんですよね。

先ほど、縁とつながりがコラボを生んできたとおっしゃられてましたが。

時系列に並んでいるところも関係しているんだろうけど、今回の作品なんて特に自分のつながりや縁の歴史を感じます。竹内朋康がKREVAさんやRHYMESTERを紹介してくれて、そこからどんどんつながっていったし。途中、長年の友人だったOvallともようやく一緒にできたし。憧れだった冨田ラボさんに作品参加させてもらったり、最近だと頼もしい後輩のLittle Glee Monsterと出会って…とはいえ、僕自身はこれらの作品に限らず、作品にしろ、ライヴにしろ、常にサポートメンバーたちとコラボや共同作業をしている感覚なんです。

それにしても、今作は日野皓正さん(72歳)からLittle Glee Monster(女子中高生)まで、その参加の年齢差もすごい!

いつかこの2組でセッションしても面白いかも(笑)。作品は和気あいあいでやってそうに聴こえるけど、どのアーティストさんとも緊張感がありましたよ。現場では常に真剣勝負でしたから。失敗したら共倒れなので、お互いがぶつかり合って、全体で良くしていく意識がないとダメで。Little Glee Monsterとの「薔薇とローズ」の再録にしても、新しく生まれ変わった感があったし。瑞々しさや生命力、神々しさが新たに加わったかな。自分が彼女たちより20歳年上なんだなと改めて実感しました(笑)。

他の新曲に関してはいかがですか?

「Mirror feat.お客さん」では、お客さんに手拍子で参加してもらいました。「闇夜のホタル」での日野(皓正)さんは、まさに包み込むような妖精のような方でしたね。“何でもいいよ、その代わりピュアに音楽やろうぜ”と両手を広げている中で、一緒にセッションした感じで。そうそう、日野さんは結局最後まで僕に気付かなかったみたいです。当日はいろいろとディレクションをしていたので、アレンジャーだと思われてたみたい。JINO(日野JINO賢二=日野氏の息子でベーシスト。さかいのバンドメンバー)にレコーディング終了後、“そう言えば、シンガーの女の子は来なかったな”って言ってたらしいんです。しかも、歌声で女の子と思われていたという(笑)。
『さかいゆうといっしょ』2015年02月04日発売Ariola Japan
    • 【初回生産限定盤(DVD付)】
    • AUCL-175~6 3996円
    • 【通常盤】
    • AUCL-177 3186円
さかいゆう プロフィール

さかいゆう:高知県出身のシンガーソングライター。2009年にシングル「ストーリー」でデビュー。14年は話題の楽曲「薔薇とローズ」収録の3rdアルバム『Coming Up Roses』がオリコンデイリーチャート5位にランクインしたほか、映画『LOVE SESSION』で初主演も果たし話題を集める。11月には初の中野サンプラザホールを含む大阪、東京でのスペシャルライヴも開催。15年2月4日に初のコラボレーションアルバム『さかいゆうといっしょ』をリリースする。さかいゆう オフィシャルHP
SonyMusic アーティストページ

OKMusic編集部

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