L→R ハヤシコウスケ(Gu&Vo&Programming)、ハットリクミコ(Dr&Vo)、ヤマシタタカヒサ(Ba&Cho)

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【シナリオアート】孤独な数字“7”
から生まれた音楽

斬新なリズムと美メロが絶妙に融合している「ナナヒツジ」。アニメ『すべてがFになるTHE PERFECT INSIDER』のエンディングテーマであり、KANA-BOONとのスプリットシングルとしてリリースされる今作について語ってもらった。
取材:田中 大

「ナナヒツジ」はどういう経緯で生まれたのですか?

コウスケ
『すべてがFになる』のエンディングテーマのお話をいただいてから制作を始めました。まず原作を読んだんですけど、“7は孤独な数字なのよ”っていうキーワードとなる台詞が何度か出てくるんです。それが印象に残ったので、“これをもとに曲を作れないかな?”と。そこで思い付いたのが、7拍子を使うというアイデアでした。聴いていて収まりがいいのは、例えば8拍子だと思うんですけど、ひとつ足りないと、独特の印象になるんですよね。それがアニメのミステリアスな雰囲気に合うんじゃないかと思ったんです。

大成功ですね。キャッチーなものにもなっていますし。

コウスケ
ありがとうございます。ミステリアスな雰囲気が醸し出される分、サビで開放感が生まれて、よりキャッチーに聴こえるようになったんだと思います。
ヤマシタ
“7拍子で作りたいんや”っていうアイデアを聞いた時は“まさか!”と思いましたけどね(笑)。もっとストレートにキャッチーな方向でくると予想していたので。今までの自分からは出てこないようなフレーズがいろいろ生まれた曲にもなりました。やり甲斐がすごくありましたね。

ドラムを叩きながら歌うクミコさんはどんな様子?

コウスケ
むちゃくちゃ難しそうでした(笑)。
ヤマシタ
先日、初めてライヴでやったんですけど、リハの時からめっちゃ苦労していました(笑)。

(笑)。歌詞は常識の奴隷にならずに、自分の感性を信じることを呼びかける内容にもなっていますね。

コウスケ
はい。この歌詞に出てくる“羊”は、思考を止めているものの意味を込めています。
ヤマシタ
羊は群れで行動する動物ですけど、先頭が走り出すと、全部が何も考えないまま一斉にその方向にいく習性があるらしいです。人間にもそういうところがありますよね。
コウスケ
今の世の中はいろんな情報が飛び交っていますけど、それを受け止めつつ、考えているようで考えないまま動かされている部分もあるのかもしれない。そういうことに関する内容が、この歌詞には出ていると思います。

あと、この曲はヘッドフォンで聴く面白さもありました。いろんな音が動きますからね。

コウスケ
僕らの曲はどれもヘッドフォンで聴くと面白いと思います。ミックス直前の段階でも音の位置を変えたり、奥行きを調整したりしていますから。

スタジオ作業も好きなバンド?

ヤマシタ
そうだと思います。僕もコウスケも家でパソコンを使って音の研究をしていますから(笑)。音の位置が変わるだけでも曲って印象が変わりますからね。理論的には音がどこか当たっている部分も、独特の効果が生まれたりしますし。
コウスケ
わりかし不協和音が多いバンドだと思います(笑)。今回、生でストリングスも録ったんですけど、演奏していただいたみなさんのクラシックの感覚からすると、“ここ、音が当たってるな”っていうのがいろいろあったみたいです(笑)。

(笑)。絶妙なバランス感があるバンドですよね。ツインヴォーカルのコンビネーションもスリリングですし。

コウスケ
男女ツインヴォーカルというのも特徴ですから、そこも大事にしています。

では、カップリングのお話も。「トワノマチ」(初回生産限定盤A&通常盤に収録)は郷愁を誘うメロディーが印象的でした。

コウスケ
車の中で夕陽を見ながら作ったんですけど、その時に“オレンジ~”って出てきたんです(笑)。これはずっと夕暮れの、時間もすぎないし、歳も取らない街に閉じ込められた男女の話です。彼らは“時間が止まってほしい”と思いすぎたがゆえに、その街に閉じ込められたという設定です。“永遠に生きたい”とか、誰もが考えることがあると思うんですけど、もしそれが叶ったらどうなるのか、それを描きました。
ヤマシタ
永遠が実現したらどうなるんでしょうね? 移り変わるからこそ美しいというのもあるでしょうし。例えば日本は四季がはっきりしていて、移り変わるからこそ情緒を感じたりもしますからね。

そして、「ホシドケイ」(初回生産限定盤Bに収録)はクミコさんの作詞作曲ですね。

ヤマシタ
最初はバンドのアレンジで出来上がったんですけど、打ち込みの規則的なリズムを使ったものにすることになりました。この曲は時計の規則的な動きと、決して時計のように規則的には進まない感情の間にあるズレを描いているので、そういうアレンジのほうが合っていると思ったんです。
コウスケ
サビのメロディーが良かったので、ぜひかたちにしたいと思っていました。クミコさんと歌詞のやり取りを何度もして、“こっちのほうがいいかもね”というような提案もして作っていったので、僕も思い入れが強いです。

なるほど。ところで今回、KANA-BOONとのスプリット盤としてのリリースですが、それに関しては?

コウスケ
スプリット盤はインディーズバンドがよく出しているのを見て、憧れていたんですよ。KANA-BOONは同じオーディション(2012年に開催された『キューン20イヤーズオーディション』)を受けた同期ですし、すごく嬉しいです。
ヤマシタ
KANA-BOONとは飲みにいったりもしたことがある仲ですからね。でも、何を話したか覚えていない。音楽の話はしなかった気がします(笑)。“毎日何食べてるの?”とか、とりとめもないことを話したんでしょうね。

KANA-BOONの4人も“音楽の話はした記憶がない”と話してましたよ。

ヤマシタ
お互いにそんな感じなんですよね。すごく笑ったことだけは覚えています(笑)。
「talking / ナナヒツジ」2015年11月11日発売Ki/oon Music
    • 【初回生産限定盤A(DVD付)】
    • KSCL-2631〜2 1998円
    • 【初回生産限定盤B(DVD付)】
    • KSCL-2633〜4 1890円
    • 【通常盤】
    • KSCL-2635 1512円
シナリオアート プロフィール

シナリオアート:眩しいメロディーで、絵本のような幻想世界の“物語”を奏でる3ピースバンド 。2012年12月に関西最大級のコンテスト『eo music try 2012』にて前代未聞のグランプリとpocky賞のダブル受賞を果たす。13年4月にタワーレコード限定でシングル「ホワイトレインコートマン」をリリースすると、瞬く間に店頭から姿を消し、オリコンウィークリーインディーチャートで2位を獲得。14年1月にミニアルバム『night walking』でメジャーデビューを果たした。シナリオアート オフィシャルHP
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