【Mrs. GREEN APPLE】過去を総括し、
未来に挑む規格外の1stフルアルバム
登場!
噂の大注目新人バンド、Mrs. GREEN APPLEがついに1stフルアルバム『TWELVE』を完成させた。バンドの頭脳、19歳の大森元貴(Vo&Gu)の巨大な才能を中心に、メンバーとの固い絆が生み出したポップミュージックの未来。この音が2016年を変えていく。
取材:宮本英夫
今までのことを全部曲に落とし込んだの
で、この盤だけ聴いておけば大丈夫
“すごい”“カッコ良い”“面白い”、いろんな表現が思い付く中で、“びっくり”が一番いいんじゃないかなと。
1stフルアルバムなのに、音楽の幅広さと完成度の高さにびっくりしました。アルバムが出来上がった実感はいかがですか?
大森
いやーほんとに、次どうしようか?って感じですよ。
あはは。まだ出てないのに。
大森
ヤバイなというか、初めての感覚です。もちろん自分たちから出てきたものではあるんだけど、いろんな人が力をくれてできた作品でもあるので、“自分たち以上のもの”ができちゃった感じがすごくしたんですよね。これを噛み砕いて次に向かって行くってどういうことだろう?って、先に考えてしまいました。
なるほど。メンバーのみんなは?
髙野
ひとりひとりが成長したんだなということをすごく感じました。ずっとレコーディングしてきて、夏フェスや対バンもすごくいい刺激になったし、技術的にレベルが上がってきたなと思います。
山中
ポップなものからシリアスなものまで13トラック入るので、今までに出せなかったものも含めて、“こんなのも持ってるんだよ”ということをみなさんに知ってもらえるのがすごく嬉しい。ギミック的なこともたくさんしたし、“もっとできるぜ”というものも表せたと思います。
若井
挑戦的なアルバムだと思います。(山中)綾華が和太鼓を叩いたり、涼ちゃん(藤澤)がフルートを吹いたり、僕がずっとタッピングする曲があったりとか。マスタリングが終わって、帰り道に聴いた時には、ちょっと泣けちゃいました。
藤澤
今まで以上に自分がやるべきこと、音として残せることをちゃんとできたと感じてます。元貴が言ったみたいにいろんな人の力があって、メンバーもそれぞれが力を入れて、メラメラしてるものを感じつつ、レコーディングに臨めたので。ちゃんと音として残せたなという実感がすごくあります。
前作までのミニアルバム3枚には、1作ごとにコンセプトがあると言ってましたよね。それぞれに無常観、対人関係、娯楽性。そこで三部作が完結すると以前に言っていて。
それを踏まえて今回のフルアルバムには、どんなコンセプトがあったのですか?
大森
1枚通してのコンセプトというよりは、1曲の濃さですね。この“TWELVE”…“12”にはいろんな意味があって、1年が12カ月だったり、時計が12時間だったり、“TWELVE”以降は数え方が“TEEN”になっちゃうし。僕が音楽を始めたのが12歳だったんですけど、自分たちの今まで生きてきたパーソナルな部分がすごく出たなと思っています。音楽科でフルートを専攻していた涼ちゃんの経験も詰め込めたし、僕が中三、高一ぐらいの時に作った「藍」「キコリ時計」も入れられたし、これからやっていくことというよりも、今までのことを全部曲に落とし込んだので。ミセスを知るには“この盤だけ聴いておけば大丈夫”というものを作ろうと思っていたので、コンセプトはあまり決めずに、“本当にいい曲だけを作ろうぜ!“という話をしてました。
では、それぞれ思い入れの強い曲を教えてください。涼ちゃんはやっぱりフルートを吹いた「庶幾の唄」?
藤澤
そうですね。すごく嬉しかったです。中学からずっとフルートを真剣にやっていて、フルートで音大に行こうと思って高校も選んだし、すごく大事な楽器だったので。でも、元貴がバンドに誘ってくれた時に、曲もすごいし、人間的にもすごい力を持ってるなと感じたから、このバンドでは自分の経験はある意味邪魔になると思ったんですよ。それでそういうものを1回取っ払って、元貴からいろんなものを吸収したいと思って2年間活動してきたんですけど、今回、自分の人生とMrs. GREEN APPLEがつながる瞬間があったので、それがすごく嬉しかった。親にもメールしましたし(笑)。“アルバム聴いたらみんな泣くよ”って言いました。
大森
いつかやってほしかったんですけど、実際吹いてもらったら、本当に良くて。正直言って、アルバムの中で一番ぐらいに僕はこの曲が好きです。
ギタリストとして、お気に入りの曲は?
若井
さっき言った、ずっとタッピングが入ってる「藍」ですね。当時は全然できなかったんですけど、今回挑戦してみました。特別な曲ですね。
大森
『Introduction』(インディーズ1stミニアルバム)に入っていたものとは、まったくアレンジが変わってるんですよ。キーボードも16ビートでずっと難しいフレーズを弾いてるんです。“絶対に真似できないレベルまでこの曲はいこう”と言って。
大森
学生バンドが泣くような曲を作ろうと(笑)。涼ちゃんとふたりでスタジオに入って、確認してたよね。
若井
した。うまく絡まるようなフレーズを作ろうと思ってやってましたね。いいものができたと思います。