【aiko】夢を紡いだ2年振りのアルバ
ムが完成

シングル「あたしの向こう」「夢見る隙間」「プラマイ」「もっと」を含む、全13曲を収録した約2年振りのニューアルバム『May Dream』。夢を紡ぐようにさまざまな感情を楽曲として昇華させ、aikoの“今”を瑞々しく描き出した最高傑作の誕生だ。
取材:もりひでゆき

制作の最初の段階から予感していたよう
に、また新しい雰囲気を持った一枚が作
れた

完成したニューアルバムは、aikoさんにとってどんなものになりましたか?

前作(『泡のような愛だった』)からの約2年間で自分の中に起こったことや感じたことが、このアルバムには全部入ったんじゃないかなって思います。Oster projectさんと川嶋可能さんにアレンジをしていただいたアルバムは今回が初めてなんですけど、サウンド的にすごく新鮮なところもあったし、いろんなことをお話ししながら一曲一曲大切に作っていくことができました。制作の最初の段階から予感していたように、また新しい雰囲気を持った一枚を作ることができたと思います。

歌詞やメロディー、歌において、新しい表情を感じるポイントが多い印象はありますよね。

『劇的ビフォーアフター』みたいな変化はないかもしれないけど、“ちょっと新しいタンス買いました”くらいな感じはあるんじゃないかなって思ってます(笑)。

あははは。さりげない変化だけど、部屋の印象は明らかに変わっているっていう。

そうそう。その上で、今までずっと聴いてくださってるみなさんには、“あぁ、aikoのアルバム聴いたな~”ってちゃんと思ってもらえるんじゃないかな。そう思ってもらえたらすごく嬉しいです。

“May Dream”というアルバムタイトルはどんな想いで決めたのでしょうか?

ちょっと季節感を出したタイトルに戻ってみようかなって思ったんです。昔はリリースされた季節に合わせて、“桜の木の下”“夏服”“秋、そばにいるよ”“暁のラブレター”っていうタイトルを付けていたんですけど、そうするとその時期、その季節のことがパッと思い出せるんですよね。なので、今回はリリースされる月を入れようかなって。

なるほど。5月の“May”なわけですね。

そう。それがひとつ。あとはね、アルバムを作るのって夢を紡いでいるようなものだなって改めて思ったんです。私は小さい頃から“こうなったらいいな”“ああなったらいいな”って妄想することも多かったし、これからもきっと夢を食べて生きていくと思うんですよね。そうしないとアルバムを作ることができないから。なので、今回は“可能”という意味を持つ“May”に“Dream”を付けた造語にして、“夢を叶える”っていうタイトルにしたいなって。

すごく素敵なタイトルですよね。アルバムには過去の自分と今の自分を重ね合わせた上で、未来にも想いを馳せている「かけらの心」という曲がありますが、ここでも“夢”という言葉が象徴的に使われていますよね。

うん。今回は“夢”という言葉を使ってる曲が多いですね。この曲は大阪の庄内でひとり暮らしを始めた頃のことを思いながら、そこに今の自分を重ねて作りました。サウンド的にはすごく牧歌的な雰囲気で、とっても好きな一曲ですね。

歌詞には《いつも帰るの始めの線へ》というフレーズがありますが、過去に抱いていた夢…例えば、音楽を志した時の気持ちなどを見失ってしまいそうになることもあるのでしょうか?

音楽に対する想いをなくしたことはないけど、昔を思い出して、その頃の気持ちをちょっと羨ましく思ってしまうことはありますね。例えば、自分から出てきたメロディーを最初に歌った時の感動って、今も同じように味わうことはできないんですよ。だからこそ、その気持ちを忘れないようにしたいなって思うんです。でもね、そういった過去の大切なことはありつつも、それ以上に楽しいことが未来にはきっと待っているとも思っていて。だから、私はこれからもずっと歌い続けたいんです。そういった意味でもこの「かけらの心」は、自分がへこんだ時に聴き返したいなって思える曲にもなりました。

OKMusic編集部

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