【UNISON SQUARE GARDEN】僕たちは単
純にロックバンドがやりたいだけ
昨年シングル「シュガーソングとビターステップ」がヒットし、バンドとして裾野を広げたUNISON SQUARE GARDENが完成させた、約2年振りのオリジナルアルバム『Dr.Izzy』。イジー博士とは一体誰か? ユニゾンを解剖して出てくるものは何なのか!?
取材:榑林史章
『Dr.Izzy』はオリジナルとしては約2年振りですね。
田淵
前のアルバムのツアー中に書き溜めた曲を中心に、ツアー後に作った曲と抜き差しして、2年かけて溜まった中で今出すに相応しい12曲を選びました。
斎藤
作品として、すごくバランスの取れたものになったと思います。基本的にあまり深く考えず、真っ直ぐ楽曲に臨んでいった感じで。今だからこそできるアプローチがたくさん詰め込めたし、それがひとつの作品として最後まで通して聴いてもらえるものになったので、達成感をすごく感じています。
鈴木
4枚目や5枚目はポップさに振り切ったので、明るいアルバムだったな〜とか、感想が言えるんですけど、今回は本当に何もしてなくて(笑)。でも、何かを意識しなくても、自然と出るものがあって。自分としては、今のUNISON SQUARE GARDENというバンドにすごく自信があるので、ちゃんといつも通りにやって作れば、自ずといい作品が作れると思って臨みました。ドラムに限れば、ようやく自分のドラムを素直に聴けるものになったと思います。なので、リスナーのみなさんも楽な気持ちで聴いてほしいです。
昨年「シュガーソングとビターステップ」がヒットしましたが、そのことは何か影響しましたか?
田淵
「シュガーソングとビターステップ」が売れたあとのアルバムなので、今までUNISON SQUARE GARDENを知らなかった人も期待するわけで、そこで間違った印象を植え付けてしまうのはよくないと思いました。ここでポップに寄せていこう”という選択肢もあったと思うけど、“それは気を付けよう”と。それで、「シュガーソングとビターステップ」のように明るくメロディーがカッコ良いものもあれば、ロックバンドらしいやんちゃな曲や、おどろおどろしい曲もある、バランスの取れたものになって、全体に“ユニゾンって楽しそうだな〜”というくらいの印象になればいいかなと思って、ラインナップしているんです。
例えば「マイノリティリポート」はサビは歌謡曲っぽくて。でも、演奏はいろいろミックスされているという。
田淵
歌はどうやったってしっかりする強いメロディーを書いたつもりなので、アレンジがどう転がっても成り立つ自信はあるんです。こういうことをできるのが、ユニゾンの強みみたいなところもあると思うので。
鈴木
でも、原曲が上がってきた時、原曲の時点ですでにやりすぎてると思いましたけどね(笑)。
斎藤
その同じ原曲を聴いても、各々で発想するものが違うんです。だから、アプローチは違うけど、それらがミックスされた時に面白いと感じたら、それはやるべきなんです。
田淵
変に正解を設けないように心がけています。デモはもちろん作るけど、自由に演奏してもらって。“え! そうくるんだ!?”という時もあるけど、5回くらい聴いて良かったら、それでOK。“これが正解だ!”と唯一はっきり言えるのは作曲者である自分だから、その自分から“これが正解です!”と示してしまっては、バンドはまったく面白くないと思うので。
「オトノバ中間試験」は歌ってて楽しそうですね。
斎藤
楽しいのは楽しいんですけど…楽しく歌っている姿をレコーディングでちゃんと残すために、必死の想いでやった感じです。言葉数の多さがデメリットになる時もあるんでしょうけど、それを突き抜けたところに、すでにユニゾンはいて。言葉が詰まってて、演奏との絡みがありつつ、サビではブワッとポップになるのが、僕らの武器だと思っているので。じゃあ、それでいけるところまで、ユニゾンにしかできない極地にまでいこうと思って歌いました。
“オトノバ”は“音の場所”みたいな?
田淵
そう受け取ってもらってもいいですけど、我ながら過去最大級にダサいタイトルだとは思っています。でも、それしか思い浮かばなかったので(笑)。
歌詞には古いネタもたくさん出てくるので、まるで“これ、分かるか?”と問題を出されてるみたいでした。
ということは、そうじゃなかった?
あと、何となくブラックっぽい感じもそこかしこにあって。
田淵
ディレクターからもブルージーな7thのコードが多いと言われました。それはきっと、たまたま7thの押さえ方を覚えたからで。できるようになると嬉しくて、調子に乗ってつい7thを使った曲をいっぱい作ってしまったっていうだけです。
そして、“Dr.Izzy”というアルバムタイトルの真意は?
田淵
タイトルは意味がないようにと思って付けていて。
意味がないんだけど、意味がありそうに感じさせますね。
田淵
深読みしたくなるんだけど、深読みしてもまったく意味はありません。キャッチコピーにある“ユニゾンを解剖する。”というところからの発想で、“Dr.”と付けたくらいで。
“解剖”という言葉には、ルーツを辿ったり原点回帰する意味みたいなものが含まれていますか?
田淵
そんな意識の高いものは、何もありません。特に前のアルバムがコンセプチュアルだったので、それがそのまま今の僕らのイメージにつながってしまったところがあると思って。それをゼロ基準に戻すための作業みたいなものは、今回狙ったところではあります。ユニゾンがやりたいことって、メッセージ性の強い楽曲とか音楽で革命を起こすとか、そんな大それたものではないんです。単純にロックバンドがやりたいだけ。それが嘘偽りなく伝わるようなものにしたくて、今回こういうアルバムが出来上がりました。
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『Dr.Izzy』2016年07月06日発売TOY’S FACTORY
- 【初回限定盤(2LIVE CD付)】
- TFCC-86564 4320円