L→R 安西卓丸(Ba)、内田万里(Vo)、石井竜太(Gu)

L→R 安西卓丸(Ba)、内田万里(Vo)、石井竜太(Gu)

【ふくろうず】バンドマンであるとい
うことは、エバーグリーンであるとい
うこと

移籍第一弾にして約2年振りのフルアルバム『だって、あたしたちエバーグリーン』が到着。“夜の遊園地”というテーマのもと、内田万里(Vo&Key)のインナーワールドを躊躇なく表現した独特のファンタジックなサウンドは瑞々しく、嘘偽りのないエバーグリーンに輝いている。
取材:清水素子

久々のフルアルバムかつ移籍第一弾ということで、何かこれまでと変化はありました?

内田
そうですね。今回は“夜の遊園地”をイメージして作ったんですけど、ここまではっきりとテーマを持って作品を作ったことは初めてだったかもしれないです。
安西
メンバーひとりひとりの個性を反映させたものを作るというよりは、内田の中から生まれるイメージをもとに、作品性の高いものに3人で一丸となって向かったという感じですね。前から1枚通して世界観のあるものを作りたいという気持ちはありましたし、もともと趣味や感性も近い3人なので、抵抗なく、すんなりと作業できました。
石井
寂れた遊園地とか自分もわりと好きですし、“夜の遊園地”というテーマは想像力が掻き立てられていいなぁと。
内田
とはいえ、そんなに特定のイメージがあるわけではないんです。同じ“夜の遊園地”でもパレードで賑やかなところもあるだろうし、寂れて物悲しいこともあるだろうし。そういう一切合切を引っくるめて“夜の遊園地”っぽい雰囲気が出たらいいなぁと、アレンジでもストリングスやオルガンを入れたり、曲の途中で急に三拍子になったりしてるんです。

おかげで幻想的かつミステリアスなムードが生まれていますよね。歌詞を見ると恋愛がらみの曲が多くて、特にラスト3曲は全て“キス”という単語が出てくるのですが。

内田
あ、ほんとですか? でも、そこは単なる偶然です。
安西
もともとラブソングが多い傾向はあるんですけど、考えたら遊園地って恋愛とは切っても切れないですからね。
石井
個人的には1曲目の「白いシャトー」で繰り返される“会いたいよ”っていう単語がすごく印象に残った。終盤の「春の王国」でも“会いにいくよ”ってあるからなおのこと。
内田
まぁ、昔から“会う”とか“会いに行く”って、歌詞に入れがちではあるけど…確かに、会わないと始まんないなっていう性格かもしれない。
石井
おまけに2曲目の「メリーゴーランド」で《あの日に帰りたい》って続くのが、すごくグッとくる。僕の解釈だと、夜の遊園地って普段起こらないことが起こりそうな場所だから、そこで会えない人に会えるんじゃないか…とか、いろいろ考えてしまって。

いや、分かります。本当に内田さんの歌詞って、深読みしたくなるんですよね。決して難しい言葉を使っているわけじゃないのに、描かれている情景がとてもファンタジックで、その奥に潜むメッセージを考えてしまう。

内田
そんなの別にないですよ!(笑) 普段、生活していて感じたことを歌詞にしているだけ。ただ、どう受け取るかは聴き手の自由だと思うから、そうやって想像の余地がある作品になっていたら嬉しいです。
安西
何か意味ありそうで、実はすごくシンプルなことを歌っていたりもするだろうから、それに振り回されてくれる人がいればいいなとは思いますね。

メチャメチャ振り回されましたよ。ラストの「エバーグリーン」なんて、世界の終わりが舞台で意味深すぎます!

内田
これは結構昔からある曲で、当時からタイトルはもちろん歌詞もほとんど変わってないんですね。で、久しぶりに聴いてみたら、我ながらいい曲だなぁと。自分の言いたいことも完璧に言えているし、自分の中では大切な曲になるなっていう確信も持てたので、アルバムタイトルもサビの一節を取って“だって、あたしたちエバーグリーン”にしたんです。
石井
あとはイントロを付けたらカッコ良いんじゃないかと、1曲目の「白いシャトー」を逆再生したものを、直前に“思い出か走馬灯”というタイトルで入れてます。そうやって時空をまたぐようなイメージは、自分が想像する“夜の遊園地”とも通じるし、同じものだけれど普段見れない裏側が見えちゃう…なんていう意味合いも持たせられたらいいなぁと。

ちなみに内田さんのおっしゃる“言いたいこと”とは?

内田
そこは素直に、死ぬまでエバーグリーンな気持ちでいたいってことですね。バンドをやってると、歳を取っても素敵な方がたくさんいらっしゃるんですよ。素敵な人って例外なく気持ちが若いから、自分もできればそうでありたい。普通に考えたら、いい歳して何やってるんだ!?っていうことでも、バンドマンだから許される感じもあるじゃないですか。要するに、このタイトルを言い換えると“だって、私たちバンドマンだもん”ってことなんです。私たちバンドマンです!っていう宣言。
安西
ある意味、開き直りですね。やっぱり気持ちは女子高生くらいの感覚でいたいんですよ。もちろん実際はいい歳の男なので、女子高生のマインドでいたらマズいんですけど(笑)、素直にかわいいものをかわいいと言ったり、ダサいものを切り捨てられる、あの天真爛漫な感じには憧れる。バンド活動においても、どれだけ余計な見栄を削ぎ落として純粋にやっていけるか?っていうことが、今はすごく大事だと考えていて。今作でかなりの程度それができたのも、何も考えずにやれば大丈夫!っていう自信が、枚数を重ねたことで少なからず生まれたからなのかなと思うんです。やっぱり自信がないと、どうしても虚勢を張ってしまったりするので。
内田
うん。今まで自分なりにカッコ付けてたこともあったけど、このアルバムで前より開き直ることができたのであれば、今後の活動も少し開けた感じになっていくかもしれない。8月12日のワンマンも、照明や映像を活用した、わりと作り込んだステージになりそうなので楽しみですね。コンセプトがしっかりしているので世界観も作りやすいだろうし、上手くいけばいいショーになるんじゃないかと思うので、すごく暇だったら来てほしいです。暇じゃない人は、できればCDを買って聴いてください(笑)。
『だって、あたしたちエバーグリーン』
    • 『だって、あたしたちエバーグリーン』
    • TKCA-74384
    • 2016.07.13
    • 2500円
ふくろうず プロフィール

ふくろうず:2007年に東京で結成。15年10月、ミニアルバム『ベイビーインブルー』をリリース。同月、3D映像ライヴを西麻布SUPER DELUXEにて開催すると、2回公演がソールドアウト。12月からは東名阪ツアーを開催。2016年1月から放送されたドラマ『ワカコ酒 Season2』のオープニングテーマに『ベイビーインブルー』の収録曲「いま何時?」が決定し、メンバーのカメオ出演も話題に。同年7月に5thアルバム『だって、あたしたちエバーグリーン』を発表し、11月にはアルバムリリースツアーを東名阪で開催した。ふくろうず オフィシャルHP
ふくろうず オフィシャルBlog

OKMusic編集部

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