【ヒステリックパニック】俺らがロッ
クをやっちゃえば、何でもヒスパニに
なる
ヒステリックパニックの2ndアルバム『ノイジー・マイノリティー』! これはヤバいっ!人気、実力ともに急上昇中の“ラウドロックモンスターバンド”の勢いをそのままパッケージした、超次元の傑作の誕生だ!
取材:帆苅智之
2ndアルバム『ノイジー・マイノリティー』は、ヒステリックパニック(以下ヒスパニ)が自分たちのできることを躊躇することなく、しかも堂々とやってのけたアルバムだと言えるのではないでしょうか?
Tack朗
そうですね。改めて作ったものを聴いてみると、インストがあって、バラードがあって、メタルもコアもあって、日本で一番幅広いバンドだと思うんです。何でもできるというか、俺らがロックをやっちゃえば何でもヒスパニになるという、そんな確信を得たアルバムです。
$EIGO
全員、別々の畑で育った者たちが歳をとって、今はさらにひとりひとりが違う畑を突き進んでいっていると思っていて。で、みんなが“今やりたいのはこういう感じなんだよね”というピースが集合するとこうなってしまうと思うんですよ。
何しろ1曲目「The New Beginning」がいきなりおかまのねねさんによるひとり語りですからね(笑)。まぁ、これをやれるのがヒスパニなんでしょうが…。
とも
僕らがやれるというよりも他はやらないだけだと思いますけど(笑)。でも、ヒスパニのCDって毎回1曲目のハズシ感があって、多分ファンの子は気付いていると思うんで、“次は何をしてくれるんだろう?”という想いに応えつつ…ということです。
「The New Beginning」は“ピー”が多いですし、何かいけないものに手を付けた感じがしますよねぇ。
そう。アルバムタイトルの“ノイジー・マイノリティー”に関連付ければ、のっけから“これはメジャーなものではない”と宣言しているようでもあります。4曲目には「エクストリームおっぱいダイナマイト8000」なんて楽曲もありますし、どこかアングラ感があるんですよね。
とも
“ヒスパニあるある”として、オケがカッコ良いと歌詞でマイナスにしたくなるところがあって。あの曲は$EIGOから届いたトラックがめちゃめちゃカッコ良かったんで、これでありふれたことを歌ったら普通のロックバンドになっちゃうなと。こういう本気でラウドな音を鳴らす曲で、カッコ良いことを言いたくないなと思ったんですよ。
なるほど。ただ、このアルバム、前半こそ若干間口が狭い印象もありますが、後半に進むに従って、どんどん堂々たる演奏が表れて、そこが見逃せないところです。個人的には6曲目「Adrenaline」が白眉で、あのスリリングな演奏は素直にカッコ良いと思いますよ。
やっち
この曲はヒスパニの中で唯一と言っていいほど、自分100パーセントなんですよ。今まではどこかで自分を抑えて“ヒスパニらしくしなくちゃ”みたいなところがあったんですけど、この曲は$EIGOさんとTack朗さんが持ってきたメロディーとギターに対して、“それなら俺はこうしたい”というのが素直にスパンと出ちゃった曲なので、“今の自分はこれ!”みたいな感じです。
おかっち
この曲、僕の中では初期のヒスパニっぽくて。今までで一番Tack朗さんっぽい曲だとも思うし、そこに$EIGOさんが今まで培ってきた音楽をまんまプラスできて、ほんとに今のヒスパニの集大成っぽい曲ですね…あくまで“ぽい”ですけど(笑)。
12曲目「Holograph」もいいですね。楽曲が進むに従ってアンサンブルが変化していくさまが素晴らしいと思います。
やっち
この曲、変拍子になった経緯がまったく思い出せないんですけど(苦笑)。
$EIGO
それは俺が言ったんだよ。“今回、変拍子ないね”って。今回は真っ直ぐな曲が多かったので、“これはつまらなすぎるぞ”と。で、やるならここしかないと。
やっち
で、$EIGOさんのギターフレーズや要望に応じて作っていく中で、アクセントだったり、ハットワークだったりでリズムの動きを出したり、そういうのは考えましたね。
おかっち
「Holograph」は初めて5弦ベースを使ったんです。今まで出してこなかった低音部分がこの曲にはすごくマッチして、低音部分からいい土台が作れて、そこからの変拍子。で、空間系もバッチバチに使ってみたし、僕の中でこの曲はチャレンジして成功した例ですね。
さて、そのアルバム後半では、歌詞が別れは後ろ向きでもないし、だからと言って前向きでもないという、言わば“諸行無常”とでも言うべき世界観に着地しますよね? これはどう受け止めたらいいのでしょうか?
とも
今回はアルバムらしい流れや構成を大事にしたいと途中から意識し出して。一応、7、8、9曲目は自分の中では連作で、その後2曲くらい馬鹿っぽい曲を挟んで、12、13曲目がまた連作という感じで歌詞を書いたんです。9曲目「ハナウタ」もそうなんですけど、13曲目の「おわかれかい」は自分から誰かが別れていくことは初めから決まっていて、出会ってもいつか離れていくことは分かっているという内容…まさに“諸行無常”ですね(笑)。サウンドが前向きなものが多いので、そこまで後ろ向きに聴こえないんですけど、その無常観は自分の中にずっとあるテーマなので、「ハナウタ」や「おわかれかい」はそれが出てきたのかなと思います。
「おわかれかい」は、このメロディーなら別れを前向きにとらえた歌詞が乗っても不思議ではない感じですが。
でも、そうしないところに、むしろロックを感じます。
とも
“笑顔でお別れしよう”みたいなものに対して、“しょうもなっ! そんなにいいもんじゃねぇよ!”って唾を吐くような感じですね。曲がいいんで、捻くれたことを歌っていても、そこまで嫌なことを歌っているように聴こえない。メロディーの良さを隠れ蓑に毒を吐いているんですよ(笑)。
- 『ノイジー・マイノリティー』
- VICL-64602
- 2016.07.20
- 2484円
ヒステリックパニック:超絶ハイトーンのTack朗×凶悪スクリームのとも×極上コーラスの$EIGOのトリプルヴォーカルが織りなす唯一無二のハーモニーは中毒性抜群。ラウド、エモ、ハードコア、メタル、J-POPと、ジャンルの垣根を気軽に飛び超えながら音を紡ぐ、通称“ヒスパニ”が新たに生み出す、これが最新式のエクストリームなJ-POP。2015年4月にシングル「うそつき。」でメジャーデビューを果たした。ヒステリックパニック オフィシャルHP